2010年3月31日水曜日

To Brooklyn Bridge (8): (3/3)

さて、いよいよ大詰めです、最後に、何故Craneは、このような男色を裏に織り込んだ連には、必ずsomeを入れたのでしょうか?僕の答えは、簡単であり、それは感嘆であります。

それは、 an unknown, undetermined, or unspecified unit or thingであり、an unspecified number of somethingであり、an unspecified amount or number であり、すなわち、定義されない、まだ生まれえぬ原始と原初の状態の、接頭辞un-のついた生々しい形容詞(形容詞、です;the desert whiteといい、as apparitional as sails that cross some page of figures to be filed awayと詠った、あの言わば、揺れる形容詞)であり、また同時にしかし、眼にぞ著(し)るく、REMARKABLE, STRIKING であり、すなわち隠にして顕であり、更に、論理学的な定義では、少なくとも一人、1であり、つまり、ある概念を定義するときの、類概念に対する種概念であり、あるいは上位概念に対する下位概念であり、つまりは、今までこのTo Brooklyn Bridgeを読んで来て、いつも辞書に戻り考えたように、そこには、Crane の詩作の秘密がありました。それは、最初に僕達の意識に昇ってきた言葉を辞書でひき、その意識で求めた言葉(すなわち先入観)を見つけてきて、Craneの詩を読んでも、それはfractioned idiomに過ぎません。意味が分裂して,何が何だか解らない筈です。Craneは、いつも辞書をひいて、その概念を類概念とする、その下のsubclassの言葉を、そうして更にその下のsub-subclassの言葉に、あるいはもっと下の意識と言葉に光を当てて、今までみてきたように、次元を増やして、階層化し、詩を構築しているからです。この理解の仕方がどんなに正しいかは、もうこのessayのあちこちで証明した通りです。Craneの詩を理解するには、個人の生活史を幾ら調べても、詩の歴史との関係を論じても、それはそれで価値がないとは言いませんが、率直に、こうして訳し通した今振り返って言うならば、それだけでは、とても詩の理解の足しにはなりません。これは、そのような詩人なのです。具象を詠っているのでは在りません、抽象を詠っているのですから。あるいは抽象化のプロセスを。

さて、ここでの最初の問いに戻りましょう。

何故Craneは、このような男色を裏に織り込んだ連には、必ずsomeを入れたのでしょうか?

それは、someとは、sameと同義であり、ギリシャ語で、homosという意味だからです。

そうしてみれば、第3連の最後に、the same screenと記(しる)したCraneの、もし僕達がこの印に気付かなければ、水島さん、草葉の陰で、一体どんなa jestを、the caravanの仲間と一緒に笑ったことでしょうね。また、そうして、実は、第3連のthe same screenが、第5連の"a bedlamite speeds to thy parapets"のparapetsと同じもの、互いに男が役割を交換しながら互いのpenisを保護して傷つけずにする性的な道具を裏の意味で指していると、もし僕達が理解できなかったとしても、そうして、そのparapetは、騎士の攻撃するお城の胸墻(きょうしょう)であるばかりではなく、

2 : a low wall or railing to protect the edge of a platform, roof, or bridge -- called also parapet wall

という辞書の意味からも、bridge、即ちBrooklyn Bridgeが、男性の性器、a long stride、しかし、成人の男性のではなく、Thomas MannがTonio Kroegerで描いたような芸術家、即ちprophetの運命、男に生まれながら、ローマン・カソリックの教会堂の大伽藍の中で、女性のソプラノの美しい声を出して聖なる歌を詠唱しなければならないがために、あの去勢された男のソプラノ歌手の持つ、幻想の、visionの、少年の柔らかなpenisであると、もし気付かなかったとしても、きっと、Craneのことですから、決して馬鹿になどせず、優しい沈黙を護ったことでしょう。Hart Craneの生前のその笑いを一度見たいものだと、僕は思います。それは、間違いなく、少年の純潔と、柔らかなその心臓から生まれた微笑であると、僕は、思うのです。

追伸1:さあ、しかし、更に、ニーチェの創造したキャラクター、主人公、Zarathustraのように、僕もこう叫ぶことに致しましょう。さあ、もう一度。もう一度、この大循環の円環に乗って、第1連から第11連までを、表と裏の二つの訳、黒と白の二つの訳、昼と夜の二つの訳を(こう書いていても、僕が実に語の配列に於いて自由であることを感じることができる。)、また最初からやり直してみることに致しましょう。こうして第8連を以て、すべての連をwalk throughし、この詩全体を振り返ってみると、また新しい発見があり、複合的な解釈が生まれます。僕が訳して来て、まだひっかかっていて、釈然としないのは、次の言葉です。

(1)第1連のpivot, ring
(2)第2連のinviolate curve
(3)第6連のderricks
(4)第8連のskim
(5)第11連のthe curveship(何故theをつけたのか。今こうして書いていながら気が付きましたが、これも論ずる)

さて、これ以外の言葉との関係でも、上の言葉の意味(言葉の意味とは一体何でしょうね?それから、言葉とは、そもそもが)を明らかにしながら、再度大循環の流れにcloud-flown(そう、これもCrane好みの表記、表現であった。それは何故かも、一緒)に、考えることに致しましょう。そうして、何故Craneは、To Brooklyn BridgeをProemと題したのかも、11連の訳を通して明らかになりましたから。

追記2:Chaplinesqueと、このTo Brooklyn Bridgeと、Craneの17歳の最初の詩、C 33と、そうして、Merrian-Webster Onlineにも感謝を。なぜならば、これ以外にほとんど何も頼みにせずに、ただただ、ひたすら、ひたぶるに、言語と、詩人の詩、その文字、用語、概念の言はむとするところにのみ、耳を傾けて、詩人の人生を思ってみながら、このessayを書いて来たからです。これは、Merrian-Websterの定義にいう通りの"an analytic or interpretative literary composition usually dealing with its subject from a limited or personal point of view"であると、僕は、この詩の全ての連を読み、それらの連の関係を、自分の頭で、1個のpersonとして考え抜いた今(ソフトウエアのエンジニアの使う言葉を借りれば、思考の産物(product)に関する構想設計書や仕様書やmanualををwalk throughしたといいたいところです)、全くその通りだと思っています。これらの詩篇と辞書にも感謝を致します。それから、Hart Craneを優しく薦めてくれた、詩人水島直己さんにも、言うまでもなく。


追記3:この連載をしているうちに、(To Brooklyn Bridge, Hart Crane)で検索すると、日本語圏のGoogleで、1位、英語圏のGoogleで、93位になっていました。日英ともに分母は同じ17、000です。こうなったら、別のdomain nameで、Hart Crane専門のwebsiteを、英語で、開設することにしよう。昨日同じ検索エンジンで、ドイツ語に翻訳されたThe Bridgeを見つけましたが、どのように訳したのか、興味もあり、またそのような翻訳者とも交流をしたいと思いますので、そういうためにも、このwebsiteは貴重だと思います。Japonesiaの、水島さん、第1歩でしょうか。海の上の。

以下someの意義と意味、すなわちsenseとmeaning、内包と外延、classとsubclass、1つの文を作文するための形式等々(いや、もっと多くのこと)を我がものとせむ。

[someの語釈]
(1) some
Main Entry: 1some
Pronunciation: 's&m, for 2 without stress
Function: adjective
Etymology: Middle English som, adjective & pronoun, from Old English sum; akin to Old High German sum some, Greek hamE somehow, homos same -- more at SAME
1 : being an unknown, undetermined, or unspecified unit or thing (some person knocked)
2 a : being one, a part, or an unspecified number of something (as a class or group) named or implied (some gems are hard) b : being of an unspecified amount or number (give me some water) (have some apples)
3 : REMARKABLE, STRIKING (that was some party)
4 : being at least one -- used to indicate that a logical proposition is asserted only of a subclass or certain members of the class denoted by the term which it modifies
(以下Websterの引用は省略します)

0 件のコメント: