2010年3月31日水曜日

To Brooklyn Bridge (5);(2/2)

(昨日の続きです)
また、もし1行目から2行目を、"loft a bed ---- lamitモと少し間をおいて発声し、朗読をして、bed-lamiteが、bedmateがなまったように響かせることができるのであれば(できそうですが、苦しいでしょうか、Brooklyn訛りではどうでしょうか)、それはまたおもしろい、興趣に富んだことです。

もう少し説明を追加します。shrillには、pierceという種概念の含まれることから、これは、やはり、上述の意味ではbaloonの縁語であり、pierce(何かを貫通する)ということから、tiltingにも関係しますし、それになによりも、これは、Hart Craneの時代1900年代の初期に既に男色者がそういうことをしていたのかどうか、僕は解りませんが、今の米国の男色者は、確かにbalooningをしているのです。実際に、風船を膨らませ、女性との性交ができませんから、女性の肌以上に柔らかなその感触を楽しみながら、いわば幻想の性交を行っています。見たい方は、Googleのイメージ検索をkeyword, "baloon"でしてみてください。

ということは、Hart Craneの時代には、今のような風船のballooningではなくて、ここに詩人が文字で書いている通りに、shirt、シャツをballooningして、男色者としての自慰行為をしたという意味に解釈することができます。ここから、先は、米国の風俗の専門の研究家にお任せします。僕は、shirtをbalooningできると思います。このshirtは、帆船の帆の素材であるのかも、実際に、知れません。女性の肌以上に柔らかな、そのような素材でできた下着か、上着か、いづれにせよ、その代用となるものです。

もしこの仮説がなりたつならば、ここは、文法的には(僕の関心はあくまで文法的な正しい解釈にあるのです)、帆船のshrillの素材でできた、シャツ、あるいは下着のシャツでもいいと思います、そのシャツ、ウエアで、バルーニングをするという訳になります。何故こんなにここに拘泥しているかというと、語順が普通ではないからです。

普通ならば、A bedlimateが主語で、ballooning shrill shirtというべきところを、

shrill shirt ballooning

と、ひとつの意味のまとまりとして、文字を配置しているからです。

もしballooning shrill shirtであれば、一般的な意味の順序になってしまい、the shrill shirt balooningという、これならば定冠詞をつけていえる、まとまりの意味が、失せてしまうことを恐れたのだと思います。それにこのように、句の中に鍵を潜ませるというのは、いかにもCrane好みです。そうは思いませんか?

それから、もうひとつ、

Tilting there momently, shrill shirt ballooning,

と、このように言葉を、というよりは、文字を配すると、それは、左右対称の、ブルックリン橋のようになる、そのような感覚も、僕は、働いていると思っています。

さて、これらのballooningの解釈は、それ以外のところで十分入っていますので、上の翻訳には入れておりません。いや、いれてもいいけれども、これ以上入れて一体もう十分ballooooonしているではないか。

男色の詮索は、これ位にとどめておいて、次に参ります。

ドンキホーテのような中世の騎士の槍の試合のこのtiltは、小姓を共に連れている、
第2連のsome page of figuresと関係していることは、既に第2連のところで説明した通りです。

the speechless caravanには、ここではや、第9連の、もの言わず、黙して祈りを一心不乱に捧げるカソリックの信徒の儀式の時間の姿に、意味が架けられ、その先蹤となっています。しかし、他方、第8連でもっと精確に論じますが、speechlessとは、世間のひとが口を開いて触れることができない、公にはとてもできないという意味でもあり、従って、the speechless caravanとは、そのa jestという主語と相俟って、男色者の仲間達のことを明瞭に意味しているのです。ああ、聖と俗、罪と罰、神と救済の混交の、循環をなす詩。

さらに、もうひとつ付け加えますと、この詩を読んでいて、久し振りに、ルターのドイツ語訳の聖書では一体このヨブ記をどのように訳していたのかと思い、書棚から取り出して、眺めたところが、驚いたことには、といはむよりは、僕の無知であったことには、Har Craneは、このエピグラフにTHE BOOK OF JOBの一節をひいた通りに、つまり、このTHE BOOK、聖なる書物の通りに、第1章と第2章の詩に、小文字で、本文の左または右に、註釈を施していたのでした。これは、ヨーロッパの伝統的な、聖書の註釈の仕方なのでしょう。Craneは、それに倣ってこのTTHE BOOK OF JOB、ヨブのジョブの記を著わしたのでした。僕は、まだこれらの詩篇の中に脚を踏み入れておりませんが、しかし、これは何がしかの意味をThe Bridgeの全体の中で持っていることでしょう。

(以下語釈は、引用の中身は、上の文章に関係のあるもののみを残し、紙幅の関係があるので、省略をします。了解ねがいます。ただ、どの言葉を調べて、上の訳としたかは、ある程度残しておきます。)

[語釈]
(1)scuttle
(2) cell
(2.1) convent
(2.1.1) congregation
(2.2) HELL
(2.3) conceal

(3) bedlimate
Function: noun
: MADMAN, LUNATIC
- bedlamite adjective

何故この言葉を詩人は選択し、madamanやlunaticを選択しなかったのか、それは上の註釈に記した通りです。

(4) loft
Etymology: Middle English, from Old English, air, sky, from Old Norse lopt; akin to Old High German luft air
1 : an upper room or floor : ATTIC
2 a : a gallery in a church or hall b : one of the upper floors of a warehouse or business building especially when not partitioned (living in a converted loft) c : HAYLOFT
3 a : the backward slant of the face of a golf-club head b : the act of lofting
4 : the thickness of a fabric or insulating material (as goose down)
さすがにWebsterには、載っていないが、loftには、その形状から、お尻という意味がある。屋根裏の空間で、上が狭くなっている空間、あるいは空間であれば、例えば、キャンプをするのにテントを張って、雨露を凌ぐのに丁度よいような、岩の切れたような三角形の空間が天然にあれば、これはloftです。お尻を少し上げるようにして、それを後ろから見ると、形状がloftになります。

ここは、Googleのイメージ検索にとてもお世話になりました。余禄があって、美しい女性達のlofts専門のウエッブサイトを見つけ、勿論そこには、packagesも一緒に置いてありましたので、それにブックマークもつけました。Thanks so much, Hart Crane!

I have found a lot of beautiful packages in some loft

と和製Craneは、本家Craneに敬意を表して、詠うことに致しましょう。

[語釈の註釈]
昨日、この詩人の子供時代、少年時代の詩があれば、そこにその後の人生において著わす作品のすべてがあり、人生があると書きましたが、詩人が17歳の時に書いて世に出たという詩、C 33という題の詩が、今こうして読んでいる「The Complete Pems of Hart Crane」(Liverright; edited by Marc Simon)にありますので、その13行のうちから、その中の2行をここに引用して、この語釈に関係のある所だけを抽出して、そのことをお目にかけます。

And he tented with far truths he would form
The transient bosoms from the thorny tree.

これも、論じはじめると、この語釈の註釈が独立して、一遍のエッセイー、essay、すなわち論文になることでしょうから、それはまた、日とページをあらためることにします。

ここにあるtentは、いわばloftの動詞であり、そうしてこの2行を読むと、真理も疑うことになり、truthを辞書でひくと、ここにある言葉の組み合わせで、真理が真理ではなくなり、transientな形容をもらったbosoms(独身の女性の胸)も、thorny treeも、To Brooklyn Bridgeにあるように、すべて全く別の光を当てられて、そうしてTo Brooklyn Bridgeと少しも変わらずに、組み直されていて、別のcontextが現れます。"tented"には、勿論、loftの形をしたテントを張る意味も掛けています。

また、この詩の中には、Crane好みの前置詞ofもあるし, onもまたあり、

Of dreaming on the desert white

こうして、the white desertとはいわずに、the desert whiteというTo Brooklyn Bridgeの詩人が既にここにいるし、

(また、第5連の詩の中にあるthe speechless caravanという形象も、"or loft a bed"と発声した瞬間に、この17歳の詩、C 33に"the desert white"とあるからには、既にこのときに、砂漠、しかし、白い砂漠ではなく、初等論理学に基づいて機能的に表せば、白き(砂漠、X)何かであるもの又はことの(文字通りに)景色を旅する男色者の隊商であり、その笑い声も、軽蔑のわらいではなく、parcelsを以て意志の疎通の仲間達の、否定形を使って互いを肯定することの解る、そのような笑い声であるということになるでしょう。)

こうして読んでくれば、また次の2行も別の含意があるし、言葉と発音の連想もふんだんに架けられているし;

From penitence, must needs bring pain,
And with it song of minor, broken strain.

strainもcontextによっては、lofty strainとなってloftを高貴に高く、上げて保つことになり

と、こうして、詩の途中の言葉から引用して書きはじめても、To Brooklyn Bridgeと同じ主題、というよりは、同じ方法でこの12行を書いたことがわかるのです。また、C 33という題名も、Thomas Mannの18歳のVisionという題名がそうであったように、この少年の一生に透明に響いている筈です。もう、既にして、出来上がっている。これは、ひとによれば、Oscar Wildeが男色の罪で牢獄に繋がれたときの、cell(牢獄の個室)の番号であるそうですが、しかし、そうだとしても、それはそれ、少年がこのとき、ニューヨークというThe Cityに旅立ち、またその中で旅する人生の最初に当たって、俺の人生の時間の長さは33年間だと決めたのだといいたくなる程です。CはCraneのC。抽象化し、記号化した自分の、少年の、純潔の、無垢の人生を。やはり、C 33は、この少年の、人生の計画だったのだと、僕は思います。後日また、この少年の、人生の計画書を読むことに致しましょう。

(5) speed
(5.1)Godspeed
(6) parapet
(7) titlt
(7.1) incline
垂直でも水平でも無い姿勢であるので、落下する。不安定だから。どこにも帰属していない姿勢。他方cellということから、牢獄。しかし、その牢獄(cell)がなければ、詩人は詩を書くことができないという2重の苦しみ。ヨブ記で、地下の煉獄を、行ったり来たり、歩いて昇ったり降りたりと、まさしく悪魔、サタンのいう通りです。
(途中辞書の引用略す)
(11) jest
(11.1) deeds
deedsが欄干から海へと落ちて行く。Hart Crane自身のように。そうして実際に後年そうであったように。ドンキホーテの騎士。近代では滑稽な勘違いの。しかし、神を忘れた冒?者は、どっちなのだ?
(11) speechless
(12) caravan
車のファイリングしている列という意味。fileとは、きちんと小学校の体育の時間のときのように、動作と姿勢の規則に従って一列に並ぶこと。ですから、これは、第9連のbead thy pathに架かっています(段々、文字が掛けるから架けるに変化してしまいました)。ここは、そのための前触れでもあります。今はキャラバン、隊商の列ですが、これが第9連では、祈りの数珠となるのです。

勿論第9連を読むと解りますが、speechlessとは、理屈をいわず、もの言わず、ただひたすら祈りを捧げるという意味です。しかし、他方、第8連でもっと精確に論じますが、speechlessとは、世間のひとが口を開いて触れることができない、公にはとてもできないという意味でもあり、従って、the speechless caravanとは、そのa jestという主語と相俟って、男色者の仲間達のことを明瞭に意味しているのです。勿論自動車は、speechlessです。もともとものいわぬという意味で。

(以下明日に続く)

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