2013年11月30日土曜日

【Eichendorfの詩 49】Das Bilderbuch(絵本)

【Eichendorfの詩 49】Das Bilderbuch(絵本)

【原文】

            Das Bilderbuch

Von der Poesie sucht Kunde
Mancher im gelehrten Buch,
Nur des Lebens schöne Runde
Lehret dich den Zauberspruch;
Doch in stillgeweihter Stunde
Will das Buch erschlossen sein,
Und so blick ich heut hinein,
Wie ein Kind im Frühlingswetter
Froehlich Bilderbuecher blaettert,
Und es schweift der Sonnenschein
Auf den buntgemalten Lettern,
Und gelinde weht der Wind
Durch die Blumen, durch das Herz
Alte Freuden, alten Schmerz―
Weinen moecht ich, wie ein Kind!


【散文訳】

    絵本

多くの人たちは、学術的な専門の本の中に
詩情についての知識を求めるものだ
生命の美しい輪舞だけが
お前に魔法の言葉(呪文)を教えるのだ;
沈黙して奉納された時間の中でこそ
その本は、その秘密を開くものだ。
そして、そのように、わたしはその本の中を今日覗く
春の気候の中にいる一人の子供のように
陽気に何冊も絵本をぱらぱらとめくっている
そして、太陽の輝きが
多彩に描かれた文字の上に漂っている
そして、温和に、風が吹いている
花々を通って、こころを通って
すべての喜び、古い苦しみを通って
わたしは泣きたいのだ、一人の子供のように!


【解釈と鑑賞】

1冊の絵本の中に、自然との関係をみつけて、何か絵本がひとつの世界であるかのように(そうして実際にそう歌っているわけですが)歌っています。

沈黙に奉納された時間の中でこそ、絵本がその秘密を証し、その呪文を教えるという言葉に、わたしは惹かれるものを感じます。




2013年11月23日土曜日

Der Bestseller(ベストセラー):第48週 by Johannes Bobrowski(1917 - 1965)


Der Bestseller(ベストセラー):第48週 by Johannes Bobrowski(1917 -  1965)



【原文】

Der Bestseller

Oh epochales Ereignis! Fortan wird die Kunst sich nach seinem Mass definieren, hier liegt Neubeginn vor; ein Jahr Null.
Schon überziehen die heutigen Vandalen das Land: die Verleger,
Preise hagelts - und dann? Schnee vom vergangenen Jahr.


【散文訳】

ベストセラー

ああ、画期的な事件だ!これからは、藝術はその間尺(尺度)に合わせて自分自身を定義するだろう、ここに新しい開始が間違いなくある;一年はゼロだ(何も起こらなかった)。
既に、今日のヴァンダル人は、その国土を侵略している:多くの出版社、多くの賞が、(左右の手で懸垂しながら)平行棒を伝わっている。そして、次には?昨年の雪があるということだ。


【解釈と鑑賞】

この詩人はドイツの詩人です。

この詩人のWikipediaです。


何かドイツばかりではなく、今の日本の出版業界を揶揄していると理解することができます。


ヴァンダル人はゲルマン民族の一種族で、強壮で野蛮な種族であったようです。そのようなヴァンダル人に出版社や賞を譬えています。あとには何も残らないという意味でしょう。

【西東詩集53-6】 Buch des Unmuts(不満の書)


【西東詩集53-6】 Buch des Unmuts(不満の書)


【原文】

ALS wenn das auf Namen ruhte,
Was sich schweigend nur entfaltet!
Lieb' ich doch das schöne Gute
Wie es sich aus Gott gestaltet.

Jemand lieb' ich, das ist nötig;
Niemand hass ich; soll ich hassen,
Auch dazu bin ich erbötig,
Hasse gleich in ganzen Massen.

Willst sie aber näher kennen,
Sieh aufs Rechte, sieh aufs Schlechte;
Was sie ganz fürtrefflich nennen
Ist wahrscheinlich nicht das Rechte.

Denn das Rechte zu ergreifen
Muss man aus dem Grunde leben,
Und salbadrisch auszuschweifen
Dünket mich ein seicht Bestreben.

Wohl! Herr Knitterer er kann sich
Mit Zersplitterer vereinen,
Und Verwitterer alsdann sich
Allenfalls der Beste scheinen.

Dass nur immer in Erneuung
Jeder täglich Neues höre,
Und zugleich auch die Zerstreuung
Jeden in sich selbst zerstöre.

Dies der Landsmann wünscht und liebet,
Mag er Deutsch, mag Deutsch sich schreiben,
Liedchen aber heimlich piepet:
Also war es und wird bleiben.



【散文訳】


恰も名前の上に憩ふているかの如くにあるとは
沈黙するままに、ただ開いて行くものが!
わたしは勿論美しい善を愛する
それが、神から生まれ出て形成されるに従って。

誰かをわたしは愛する、それは必要なことだ;
誰をもわたしは憎まない;わたしは憎むべきなのだ
そのための覚悟もしているのだ
すべての有象無象ごと、今直ぐ憎むがいい。

有象無象を、しかしお前は、より近く知りたいと思う
正義を見よ、悪を見よ;
有象無象が全く優れていると呼ぶものは
多分正義ではないのだ。

何故ならば、正義を捕まえて理解するには
根底から生きなければならないからであり
そして、インチキの治療をしながら逸脱することは
わたしには、浅瀬で努力をすることのように見えるからだ。

その通りだ!折り目屋は、
散らかし屋とひとつになることができる
そして、風化屋は、してみると
いつでも一番だというように見える。

いつも新しくある中にだけ
誰もが毎日新しいことを耳にするということ
そして、同時に、気散じも
誰をも、それ自体では、破壊するということ。

これを、同国人は願い、愛するのだ
それがドイツ(Deutsch)人であれ、トイツ(Teutsch)人と綴るのであれ
しかし、小さな歌を密かにぴいぴと鳴らして歌うのだ;
つまり、今まではこんな具合であったし、これからもそのままなのだ。



【解釈】

有象無象の生き方を、「インチキの治療をしながら逸脱することは
わたしには、浅瀬で努力をすることのように見えるからだ」という譬喩で表すこの譬喩は、実にぴったりとした譬喩だと思います。

インチキの治療というのがいい。その場凌ぎの、処方と処世で生きる有象無象をよく言い当てています。



【Eichendorfの詩 48】Die zwei Gesellen(二人の仲間)

【Eichendorfの詩 48】Die zwei Gesellen(二人の仲間)

【原文】

            Die zwei Gesellen

Es zogen zwei rüst'ge Gesellen
Zum erstmal von Haus,
So jubelnd recht in die hellen,
Klingenden, singenden Wellen
Des vollen Frühling hinaus.

Die strebten nach hohen Dingen,
Die wollten, trotz Lust und Schmerz,
Was Rechts in der Welt vollbringen,
Und wem sie vorübergingen,
Dem lachten Sinnen und Herz.―

Der erste, der fand ein Liebchen,
Die Schwieger kauft' Hof und Haus;
Der wiegte gar bald ein Bübchen,
Und sah aus heimlichem Stübchen
Behaglich ins Feld hinaus.

Dem zweiten sangen und logen
Die tausend Stimmen im Grund,
Verlockend' Sirenen, und zogen
Ihn in der buhlenden Wogen
Farbig klingenden Schlund.

Und wie er auftaucht' vom Schlünde,
Da war er müde und alt,
Sein Schifflein das lag im Grunde,
So still war's rings in die Runde,
Und über die Wasser weht's kalt.

Es singen und klingen die Wellen
Des Frühlings wohl über mir;
Und seh ich so kecke Gesellen,
Die Tränen im Auge mir schwellen―
Ach Gott, führ uns liebreich zu dir!


【散文訳】

二人の仲間

二人の強壮な仲間が往くのだった
初めて家を出て
このように歓声を上げながら、まさしく、明るい
響いている、歌っている波の中へと
一杯に満ちている春の波の中へと

二人は高いものを目指して進んだ
二人は、歓喜と苦痛をものともせず
この世界で正しきものを完成させたいと思った
そして、二人の通りかかった人には
感覚とこころとが笑いかけた

一人目は、恋人を見つけて
姑(しゅうとめ)が庭と家を買った
一人目は、じきに一人の坊やを揺り籠であやした
そして、秘密の小部屋の中から
心地ちよく外の野原を見た。

二人目に歌い、嘘をついたのは
根底にある幾千の声であった
誘惑するサイレンたちであった、そして
二人目を、戯れる大波の中へと引き入れた
多彩に響く奈落へと

そして、二人目が奈落から浮かび上がったときには
疲れて、年老いていた
彼の船は、根底に在ったわけだが
かくも四囲は静かであった
そして、海の上を風が冷たく渡っていた。

波が歌い、響く
春の波が、確かにわたしの上で;
そして、わたしはかくも勇敢なこの仲間の
眼に涙が膨れるのを間近かにみる
ああ神よ、私達を愛情豊かにあなたの所へと導き賜え!


【解釈と鑑賞】

この詩を読むと、一人目も二人目も、これらの若者達は、詩人アイヒェンドルフの分身であるかのように思われます。

即ち「秘密の小部屋の中から/心地ちよく外の野原を見」るというこの本当にbehaglich(心地よい)という感じのする世界にいるアイヒェンドルフと、サイレンの声に惹かれて「戯れる大波の中へと引き入れた/多彩に響く奈落へと」アイヒェンドルフです。

こころの世界の冒険を生き生きと眼の前に見えるように絵画的に表現する能力がこの詩人の素晴らしい力なのだと思います。この力に、わたしも惹かれて、延々と幾百か幾千かこれからある筈の詩をこうしてこつこつと訳しているのでしょう。

ここまでで48の詩を訳し、この時点で、この詩集の全体の14%を訳したに過ぎません。

この詩に歌われた若者達のように、神を信じて訳し続けることに致します。




2013年11月16日土曜日

der augenblick(瞬間):第47週 by Siegfried Kessemeier(1930 - 2011)

der augenblick(瞬間):第47週 by Siegfried Kessemeier(1930 -  2011)



【原文】

weg
hinweg
fliegt
der augenblick
zeit

jeder
hat seine
handvoll

fest
zu halten
ist nichts
als das
ende

weg 
hinweg
fliegt
der augenblick
zeit


【散文訳】

あっという間に行ってしまう
行ってしまうんだ
飛んで
一瞬という時間が

誰もが
自分の時間を
手に余る程に

確かに
捕まえること
は、何も無く
ただ終りだけを捕まえるのだ

あっという間に行ってしまう
行ってしまうんだ
飛んで


【解釈と鑑賞】

この詩人はドイツの詩人です。

この詩人のWikipediaです。


簡明な詩ですが、小文字で書いてある事、一行が短いこと、その一行が言わば投出されたような言葉の配置であることで、何か乾いた諦念と、それでいて詩人のそれに抗する意志を感じることができます。

【西東詩集53-5】 Buch des Unmuts(不満の書)


【西東詩集53-5】 Buch des Unmuts(不満の書)


【原文】

WENN du auf dem Guten ruhst
Nimmer werd' ichs tadeln,
Wenn du gar das Gute tust
Sieh das soll dich adeln
Hast du aber deinen Zaun
Um dein Gut gezogen,
Leb' ich frei und lebe traun
Keineswegs betrogen.

Denn die Menschen sie sind gut,
Würden besser bleiben,
Sollte nicht wie's einer tut
Auch der andre treiben.
Auf dem Weg da ists ein Wort,
Niemand wird's verdammen:
Wollen wir an Einen Ort,
Nun, wir gehen zusammen.

Vieles wird sich da und hie
Uns entgegen stellen.
In der Liebe mag man nie
Helfer und Gesellen,
Geld und Ehre hätte man
Gern allein zur Spende,
Und der Wein, der treue Mann,
Der entzweit am Ende.

Hat doch über solches Zeug
Haffs auch gesprochen,
Ueber manchen dummen Streich
Sich den Kopf zerbrochen,
Und ich seh nicht was es frommt
Au der Welt zu laufen,
Magst du, wenns zum Schlimmsten kommt,
Auch einmal dich raufen.


【散文訳】

もしお前が善の上に憩うているならば
わたしは金輪際非難はしないだらう
もしお前がおまけに善をなすならば
それはお前を高貴な者にせずにはいないだろう
お前が、しかし、お前の柵を
お前の善の周りに拵(こしら)えるならば
わたしは自由に生きて、そして、誓って言うが
決して騙されることなく生きるだろう。

というのは、人間達、確かにこれは善きものであるが
もしある者がなすように、他の者がしないのであれば
人間達はもっとよりよくいられるだろうに(実際はそうではない)。
その道の途中には、一個の言葉が在って
誰もその言葉を非難しないだろう:
わたしたちが一カ所に集まりたいと思うならば
さてそういうわけであれば、一緒に参ろう。

多くのことが、あっちでもこっちでも
わたしたちの邪魔をするものだ。
愛においては、助っ人も仲間も決してほしいとは思わず
お金も名誉も
喜んで黙って施しにくれてやるだろう
そして、酒と信頼のおける男が
最後には、二人に不和をもたらすのだ。

しかし、そういった物については
ハーフィスは勿論既に話していて
幾多の愚かな打撃について
頭を悩ませたのだ
そして、わたしは、この世から逃れて走り出ることに
役立つことがあるのを見る事がない
お前が、もし最悪の事態に至ったならば
実際一度お前を(雑草を引き抜くみたいに)そこから引き抜くがいい。


【解釈】

世間を厭うゲーテのこころが歌われています。



【Eichendorfの詩 47】Hippogryph(ペガサス)

【Eichendorfの詩 47】Hippogryph(ペガサス)

【原文】

           Hippogryph

Das ist das Flügelpferd mit Silberschellen,
Das heitere Gesellen
Emporhebt ueber Heidekraut und Kluefte,
Dass durch den Strom der Lüfte
Die um den Reisehut melodisch pfeifen,
Des Ernsts Gewalt und Totenlärm der Schluefte
Als Frühlingsjauchzen nur die Brust mag streifen;
Und so im Flug belauschen
Des trunknen Liedergottes ruest'ge Soehne,
Wenn alle Höhn und Täler bluehn und rauschen,
Im Morgenbad des Lebens ew'ge Schoene,
Die, in dem Glanz erschrocken,
Sie glühend anblickt aus den dunklen Locken.


【散文訳】

  ペガサス

これが、銀の鈴の付いた有翼の馬だ
この明朗なる仲間は、荒れ地の草と谷の割れ目の上を高く昇るので
旅行帽を主題にして旋律豊かに笛吹いている
その空気の流れを通って
真剣の力と墓穴の死者の騒音は
春の悦びの叫び声として、ペガサスの胸を僅かにかするだけかも知れない;
そして、飛行しながらそのように聞き耳を立てているのだ
酔っぱらった歌の神の、強壮な息子達は
もしすべての高み(山)と谷が花咲き、そしてさわさわと音立てるならば
生命の朝の湯浴みの中で、永遠の美が
光輝の中で驚いて
暗い巻き毛の中から、燃える様な眼差しで、高みと谷を眺めるのだ。


【解釈と鑑賞】

これは、ペガサスに、歌の神の息子達が乗っているところを想像すると理解の出来る詩です。

息子も複数ですから、ペガサスも複数のペガサスが飛んでいるのではないでしょうか。

ペガサスは余りに高いところを飛ぶので、真剣の力も墓穴の死者の騒ぎの音も、ただ一寸ペガサスの胸を軽く刷(は)くようにさっと触るだけだというのです。




2013年11月10日日曜日

【西東詩集53-4】 Buch des Unmuts(不満の書)

【西東詩集53-4】 Buch des Unmuts(不満の書)


【原文】

ÜBERMACHT, ihr könnt es spueren,
Ist nicht aus der Welt zu bannen;
Mir gefällt zu konversieren
Mit Gescheiten, mit Tyrannen.

Da die dummen eingeengten
Immerfort am staerksten pochten,
Und die Halben, die Beschraenkten
Gar zu gern uns unterjochten,

Hab' ich mich für frei erkläret,
Von den Narren, von den Weisen,
Diese bleiben ungestoeret,
Jene möchten sich zerreissen.

Denken, in Gewalt und Liebe
Müssten wir zuletzt uns gatten,
Machen mir die Sonne trübe
Und erhitzen mir den Schatten.

Hafis und Ulrich Hutten
Mussten ganz bestimmt sich rüsten
Gegen braun- und blaue Kutten;
Meine gehen wie andre Christen.

》Aber nenn uns doch die Feinde!《
Niemand soll sie unterscheiden:
Denn ich hab' in der Gemeinde
Schon genug daran zu leiden.



【散文訳】

お前達は感じることができるだろう
強大な力(軍勢)を世界から、禁じて締め出すことができないことを
わたしは、会話をすることが好きだ
聡明なる人々と、暴君達と。

愚かに狭い所に生きる者たちが
いつも、一番強く叩いたものだから、
そして、中途半端な者達や、限界のある者達が
わたしたちを、おまけにやり過ぎて圧制したものだから

わたしは、自分が自由であると宣言したのだ
愚者達から、賢者達から
後者は、邪魔されないままでいるものだし
前者は、自分を引き裂きたいと思っているのだ。

考えてもみるがいい、暴力と愛の中で
わたしたちは、遂には媾合せずにはいられないのだし
わたしには太陽を曇らせずにはいられないのだし
そして、わたしには影を熱くせずにはいられないのだ。

ハーフィスとウールリッヒ•フッテンならば
全く間違いなく装備を整え、武装することだろう
茶色と青色のカトリックの僧衣に反抗して;
わたしの僧衣は、他のキリスト教徒と同様に征(ゆ)くのだ。

》しかし、呼べるものなら、わたしたちを敵と呼んでみるがいい!《
だれも敵を見分けることをしてはならないのだ:
何故ならば、わたしは、この共同体にあっては
既にもう充分に、そのことに苦しまなければならないからだから。


【解釈】

含蓄のある詩です。

暴力と愛の中で
わたしたちは、遂には媾合せずにはいられない

とあるのは、本当にその通りだと思います。

ウールリッヒ•フッテンという人は、騎士であって、当時のカソリックのあり方に叛旗を翻した者のようです。


ウールリッヒ•フッテンのWikipediaです。

http://ja.wikipedia.org/wiki/ウルリヒ・フォン・フッテン

最後の連は、世俗に生きながら、そのことに距離を措く苦しみが歌われています。

》Aber nenn uns doch die Feinde!《

のdochが、如何にも効いています。

2013年11月9日土曜日

An mein Gedicht(わたしの詩に):第46週 by Wislawa Szymborska(1923 - 2012)

An mein Gedicht(わたしの詩に):第46週 by Wislawa Szymborska(1923 -  2012)



【原文】

An mein Gedicht

Im besten Fall
wirst du, mein Gedicht,
aufmerksam gelesen, kommentiert und
in Erinnerung behalten.

Im schlechteren Fall
nur durchgelesen.

Die dritte Möglichkeit -
du wirst zwar geschrieben,
aber sofort in den Papierkorb geworfen.

Und einen vierten Ausweg hast du noch:
du verschwindest ungeschrieben
und brummst zufrieden vor dich hin.



【散文訳】


わたしの詩に

最良の場合には
お前は、わたしの詩よ、
注意深く読まれ、註釈を付されて、そして
記憶に留められる。

最悪の場合には
ただ流し読まれる。

第三の可能性は
お前は、成る程書かれはするが
しかし、直ちに屑籠に投げ入れられる。

しかし、第4の逃げ道を、お前はまだ持っている:
お前は、書かれずに姿を消し
そして、満足して、呟(つぶや)いて、ひとりごちるのだ。


【解釈と鑑賞】

この詩人はポーランドの詩人です。

この詩人のWikipediaです。


1996年のノーベル文学賞を受賞しています。

詩を書こうとしたひとになら、だれでもわかる詩ではないでしょうか。

しかし、詩を書かないひとにも、この詩の歌っていることは、いつも、そうであるように思います。

題名のAn mein Gedichtを、わたしの詩にと訳しましたが、もっと言えば、わたしの詩に直に言いたいという意味です。


【Eichendorfの詩 46】Rettung(救助)

【Eichendorfの詩 46】Rettung(救助)

【原文】

           Rettung

Ich spielt, ein frohes Kind, im Morgenscheine,
Der Frühling schlug die Augen auf so helle,
Hinunter reisten Stroem und Wolken schnelle,
Ich streckt die Arme nach ins Blaue, Reine.

Noch wusst ich's selbst nicht, was das alles meine:
Die Lerche, der Wald, der Luefte blaue Welle,
Und träumend stand ich an des Fruehlings Schwelle,
Von fern riefs immerfort: Ich bin die Deine!

Da kam ein alter Mann gegangen,
Mit hohlen Augen und bleichen Wangen,
Er schlich gebogen und schien so krank;
Ich grüßt ihn schön, doch für den Dank
Fasst' er mich tückisch schnell von hinten,
Schlang um die Arme mir dreifache Binden,
Und wie ich rang und um Hülfe rief,
Geschwind noch ein andrer zum Alten lief,
Und von allen Seiten kamen Menschen gelaufen,
Ein dunkelverworrner, truebseliger Haufen,
Die drängten mich gar tückisch in ihre Mitte,
Führten durchs Land mich mit eiligem Schritte.
Wie wandt ich sehnend mich oft zuruecke!
Die Heimat schickte mir Abschiedsblicke;
Die Büsche langten nach mir mit grünen Armen,
Es schrien alle Voeglein recht zum Erbarmen.
Doch die Alten hörten nicht die fernen Lieder,
Summten düstere Worte nur hin und wieder,
Führten mich endlich in ein altes Haus,
Da wogt' es unten in Nacht und Graus,
Da war ein Hämmern, ein Schachern und Rumoren,
Als hätte das Chaos noch nicht ausgegoren.
Hier hielt der Alte würdig und breit:
》Mein Sohn《, sprach er zu mir, 》das ist die Nützlichkeit!
Die haben wir so zum gemeinen Besten erfunden.
Das betrachte hübsch fleissig und sei gescheit.《―
So liessen sie mich Armen allein und gebunden.

Da schaut ich weinend aus meinem Kerker
Hinaus in das Leben durch düstern Erker,
Und unten sah ich den Lenz sich breiten,
Bluehende Traeume ueber die Berge schreiten,
Drüber die blauen, unendlichen Weiten.
Durchs farbige Land auf blauen Flüssen
Zogen bunte Schifflein, die wollten mich Grüßen.
Vorüber kamen die Wolken gezogen,
Vorueber singende Voeglein geflogen;
Es wollt der grosse Zug mich mit fassen,
Ach, Menschen, wann werd't ihr mich wieder hinunterlassen!
Und im dunkelgrünen Walde munter
Schallte die Jagd hinauf und hiunter,
Eine Jungfrau zu Ross und blitzende Reite―
Ueber die Berge immer weiter und weiter
Rief Waldhorn immerfort dazwischen:
Mir nach in den Wald, den frischen!

Ach! weiss denn niemand, niemand um mein Trauern?
Wie alle Fernen mir prophetisch singen
Von meinem kuenft'gen wundervollen Leben!

Von innen fühlt ich blaue Schwingen ringen,
Die Haende konnt ich innigst betend heben―
Da sprengt' ein grosser Klang so Band wie Mauern.

Da ward ich im innersten Herzen so munter,
Schwindelten alle Sinne in den Lenz hinunter,
Weit waren kleinliche Mühen und Sorgen,
Ich sprang hinaus in den farbigen Morgen.
          

【散文訳】

 救助

わたしは、陽気な子供で、朝の輝きの中で、遊んだ
春が、かくも明るく、眼を打った
河の流れと雲が、速い勢いで向こうへと旅していた
わたしは両手を、青色の中へ、純粋なるものの中へと伸ばした。

まだわたし自身は知らなかった、こういったことがみな何を意味しているのかを:
雲雀、森、空気の青い波
そして、夢見ながら、わたしは春の閾(しきい)に立っていた
遥か彼方から、それは、いつも叫んでいた:わたしはお前の者(女性)だ!

そこへ、一人の老人がやって来た
虚ろな眼と青白い頬をしていた
背を曲げて、忍び歩き、そして、かくも病気であるように見えた
わたしは、礼儀正しく挨拶をしたが、しかし、感謝言葉の代わりに、わたしを狡猾にも、素早く後ろから捕まえて
両手を三重に紐で縛ったのだ
そして、わたしがなんとかしようとして、助けを叫ぶと
更にもう一人の老人が、その老人のところへ素早く走り寄って来た
そして、あらゆる方面から、人間が走り寄って来た
暗い混乱した、陰鬱な群衆
これがわたしを狡猾にも、そのまん中へと押しやり
わたしを、足早な歩調で、国中を連れ廻した。
わたしがどれほど、憧れて、屢々(しばしば)もとに還ろうとしたことか!
故郷は、わたしに離別の視線を送っていた:
草むらが、緑の腕(かいな)を以て、わたしを求めていた
すべての鳥たちは、まさしく憐憫の情を以て叫んでいた。
しかし、老人達には、遠い歌は聞こえなかった
陰気な言葉を、ただ繰返してぶつぶつ言うだけで
わたしを遂には、一軒の古い家の中へと連れて来た
そこでは、家が、階下では、夜と恐怖の中にあった
そこでは、ハンマーで叩く音、誤摩化しの言葉や、喧噪があった
恰も混沌がまだすっかりとは発酵してはいなかったかの如くに。
ここで、老人は、厳かに、そして武骨な言い方でこう言った:
》わが息子よ(と、彼はわたしに言った)、これが有用ということだ!
われわれは、それを公益のために発明したのだ。
それを実に勤勉に観察せよ、そして聡明であれ《―
そういって、二人は、哀れなわたしを一人にした、手を結(ゆ)はえたままで。

そこで、わたしは泣きながら、わが牢屋の中から外を眺めた
陰気な出窓から生の中を
そして、下方に、春が広がっているのを見た
花咲く夢が、山々を超えて歩いているのを見た
山々の上には、青い、果てしない広さがあった。
色鮮やかな国を通り、青い河を通って
多彩な小舟が往くのだった、小舟たちはわたしに挨拶をしたいと言っていた。
雲が吹かれて通り過ぎて行った。
歌う小鳥達が飛んで通り過ぎて行った。
大きな引力がわたしを一緒に捉えようとしていた
ああ、人間達よ、お前達はいつになったら、わたしを再び向こうへやってくれるのか!
そして、暗い緑の森の中で、快活に
狩りの音が、上へ下へと響いて
ひとりの乙女が、馬に乗って、そして閃光の速さの騎行―
山々を超えて、更に更に遠くへ遠くへと
森の笛は、その間、叫んでいた:
わたしを求めて、森の中へ、新鮮な森の中へと

ああ!、誰が、誰が、一体、わたしの嘆きのことを知ろうか?
何と、すべての遠きことが、わたしに預言的に歌っていることか
わたしの将来の素晴らしい生命のことを!

内側から、青い振動が格闘しているのを、わたしは感じた
両手を、わたしは最も心深く祈りながら掲げた―
すると、大きな響きが爆発して、頸城(くびき)も壁も壊してしまった。

すると、わたしは、一番奥の心の中で快活になっており
すべての感覚が、春の中へとめくるめくように入って行き
小さな心遣いと心配は、遥か遠くにあり
わたしは、色鮮やかな朝の中へと飛び込んだ。


【解釈と鑑賞】

最初の連と最後の連が呼応しています。

その間は、この話者の語る一人称の苦しい旅の話です。

詩人と世間の関係を歌っていると理解しては、通俗的かも知れませんが、間違ってはいないでしょう。

アイヒェンドルフにとっては、いつまでも、いつも、森、春、小鳥、狩りと狩りの笛の音、山々、河が、永遠の象徴なのです。


2013年11月3日日曜日

【西東詩集53-3】 Buch des Unmuts(不満の書)


【西東詩集53-3】 Buch des Unmuts(不満の書)


【原文】

BEFINDET sich einer heiter und gut,
Gleich will ihn der Nachbar peinigen;
So lang der Tüchtige lebt und tut
Möchten sie ihn gerne steinigen.
Ist er hinterher aber tot,
Gleich sammeln sie grosse Spenden,
Zu Ehren seiner Lebensnot

Ein Denkmahl zu vollenden.
Doch ihren Vorteil sollte dann
Die Menge wohl ermessen,
Gescheiter waers, den guten Mann
Auf immerdar vergessen.


【散文訳】

或る者が、明朗で良い状態にあるならば
直ちに、隣人は彼を拷問したいと思うのだ。
有為な、才能のある者が、生きて、ことを行う限り
彼等は、その者を石で撃ち殺したいと思うのだ。
しかし、その者が、あとになって死んでしまうと
直ちに、彼等は、多大な布施を集めるのだ
その人生の苦難を顕彰して
一個の記念碑を完成するために。
しかし、そうすることで、彼等の利得を、次には
奴らは間違いなく測らずにはいないのだ。
そのよき男を、永遠に忘れることの方が
ずっと賢明なことだろうに。


【解釈】

全く、註釈不要の、辛辣なるゲーテの不満の詩です。

【Eichendorfの詩 45-5】Anklaenge(和音)

【Eichendorfの詩 45-5】Anklaenge(和音)

【原文】

                     4
Ewigs Traeumen von den Fernen!
Endlich ist das Herz erwacht
Unter Blumen, Klang und Sternen
In der dunkelgruenen Nacht.

Schlummernd unter blauen Wellen
Ruht der Knabe unbewusst,
Engel ziehen durch die Brust;
Oben hoert er in den Wellen
Ein unendlich Wort zerrinnen,
Und das Herze weint und lacht,
Doch er kann sich nicht besinnen
In der dunkelgruenen Nacht.

Frühling will das Blau befreien.
Aus der Grüne, aus dem Schein
Ruft es lockend: Ewig dein―
Aus der Minne Zuabereien
Muss er sehnen sich nach Fernen,
Denkend alter Wunderpracht,
Unter Blumen, Klang und Sternen
In der dunkelgruenen Nacht.

Heil'ger Kampf nach langem Saeumen,
Wenn suessschauernd an das Licht
Lieb in dunkle Klagen bricht!
Aus der Schmerzen Sturz und Schäumen
Steigt Geliebte, Himmel, Fernen―
Endlich ist das Herz erwacht
Unter Blumen, Klang und Sternen
In der dunkelgruenen Nacht.

Und der Streit muss sich versöhnen,
Und die Wonne und den Schmerz
Muss er ewig himmelwaerts
Schlagen nun in vollen Toenen:
Ewigs Traeumen von den Fernen!
Englisch ist das Herz erwacht
Unter Blumen, Klang und Sternen
In der dunkelgruenen Nacht.


【散文訳】

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遠いことを永遠に夢見ること!
遂に、心臓が目覚める
花々、響き、そして星々の下で
暗い緑色の夜に。

青い波の下でまどろみながら
その少年は、無意識に憩うている
天使が胸の中を通って行く
上の方、波の中に、少年は
果てしない言葉が消えて行くのを聞く
そして、心臓は泣き、笑う
しかし、少年は目覚めることができない
暗い緑色の夜の中では。

春が青色を解放したいと言う。
緑色の中から外へ、仮粧(みかけ)の中から外へと
青色は誘惑しながら叫ぶのだ:永遠にお前のものだ―
ミンネ(愛)の魔法の数々の中から外へと
春は、遠くを憧憬する
不思議の壮麗を思い出しながら
花々の、響きの、そして星々の下で
暗い緑色の夜の中で。

長い遅滞の後の神聖な戦い
もし愛が、光に触れて、甘く戦(おのの)きながら
暗い嘆きを発するならば!
苦痛の失墜と泡立ちの中から外へと
恋人、天、遠いことが昇って来る―
遂に、心臓が目覚める
花々、響き、そして星々の下で
暗い緑色の夜に。

そして、争いは和解しなければならない
そして、争いは、歓喜と苦痛を
永遠に、天の方向へ向かって
今や、総ての音を鳴らして、打たねばならない:
遂に、心臓が目覚める
花々、響き、そして星々の下で
暗い緑色の夜に。



【解釈と鑑賞】

下線部のところは、原文はすべて斜字体になっています。

第1連が他の連でも復唱されて、これが大切なテーマであることを示しています。

第2連の春の解放する青い色。青い色とは、ドイツ語のdas Blauですが、これは、空(天)の色ということから、憧憬や誠実を表すと辞書にはあります。

むつかしい言葉はひとつもないのですが、非常に抽象的な詩となっております。

すべては、暗い緑色の夜の中で起きることなのです。

これは、このまま受け取る以外にはありません。

一個の謎の、呪文のような詩です。

詩人の眼に映る現実なのだと思います。


2013年11月2日土曜日

Ein Stein rollt(一個の石が転がる):第45週 by Inger Christensen(1935 - 2009)


Ein Stein rollt(一個の石が転がる):第45週 by Inger Christensen(1935 -  2009)



【原文】

Ein Stein rollt

Ein stein rollt herab von den bergen
Sisyphos schiebt ihn hinauf
Ein stein rollt herab von den bergen
Sisyphos schiebt ihn hinauf
Ein stein rollt herab von den bergen
Sisyphos schiebt ihn hinauf
Sisyphos singt:
Ein stein fliegt hinauf über die berge

【散文訳】

一個の石が転がる

一個の石が山々から転がり落ちる
シーシフォスがそれを押して上がる
一個の石が山々から転がり落ちる
シーシフォスがそれを押して上がる
一個の石が山々から転がり落ちる
シーシフォスがそれを押して上がる
シーシフォスが歌う:
一個の石が山々の上を超えて飛ぶ



【解釈と鑑賞】

この詩人は、デンマークの詩人です。

この詩人のWikipediaです。


ギリシャ神話のシーシフォスを歌った詩です。

3回同じ文章が繰返されると、永遠の反復という感じがします。

最後の一行で、歌を歌うと、石が落ちずに、山々の上を超えて飛ぶということなのでしょう。

不可能を可能にするとも読めますし、奇蹟が起きる契機はこのようなものだという意味にもとることができます。その他、いかようにです。