It is to be learned―
This cleaving and this burning,
But only by the one who
Spends out himself again.
今日はこの連を翻訳します。しかし、その前に、もう既にやはり、これはTo Brooklyn Bridgeで見たような同じ思想で構築された詩であるからには、まづ第1連に戻って、表の訳と裏の訳を訳して、それから、第3連に入ります。
僕は、率直にいいます、このひとの詩をこうして訳していて、とても幸せだ。それは、理解しているという確信、即ち疑いがないということと、それを人が疑い得ないということを知っているということから来る安心感ではないかと思います。まだ、だれとも、この詩と翻訳を巡って議論をしたことが、僕はありません。しかし、あなた、ご来訪多謝、詩とは一体何でしょうか。
それは、恰もこの詩にあるように、詩が詩であるだけで信じられている、その沈黙があるからだと思います。
さて、参ります。
As silent as a mirror is believed
Realities plunge in silence by . . .
〔表の訳〕
ある鏡があって、それが鏡であるという理由で、そのまま
信じられている、何故ならそのままその人の姿を映しとるから
だから鏡とは何かという議論なく、
静かに、沈黙しているのと同様にして、
数々の現実が、byという前置詞と共に
本物の沈黙の中に闖入する。そうして. . .
〔裏の訳〕
男色の鏡、即ち、自分の姿をそのまま相手に映してくれる
スクリーン、男色の男が互いに二人で共有する用具が
それがそのまま安心させてくれ、男同士であるが故に
(男と女の場合とは異なり)互いに言葉を交わすことがなく
互いに信じ会うことができるわけだから
その沈黙の程度に応じ、その深浅に応じて、
数々の現実が、そのような神聖なる沈黙の中へと
闖入し、また海の上を走る帆船が舷側を海に浸して
また水夫や船員が舷側に海の波や水を掛けて、
舷側を洗うのと一緒に、その男色の沈黙の罪を洗うために
数々の現実が、その沈黙の中へと、闖入し、無理やりに強いられて
灼熱の肛門性交が行われる. . .
何故このように訳したのか、その説明は、後日また一冊のebookにまとめたときに、改めて、書く事にします。ご了解されよ。
まてないという方は、今までこのブログに連載したTo Brooklyn Bridgeをお読み下さい。
さて、第3連の訳に参ります。
It is to be learned―
This cleaving and this burning,
But only by the one who
Spends out himself again.
〔表の訳〕
僕達人間の、この鏡に対する、疑うことなき信頼感、忠誠心と
この灼熱の思いは、
何があっても、また再びの勇気を以って、
自分自身の持てるものすべてを蕩尽し、人のために尽くす覚悟のある
(身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ)
人間によってのみ、学び得るものなのだと、道徳や倫理の本には書いてある通りだ。
〔裏の訳〕
この、自分の姿と瓜二つの、男色の相手との交情への
疑うことなき忠誠心と、そうして、その灼熱の肛門性交の
燃える思いは、いや、しかし、
解った、ようしもう一回やろうぜと、自分自身が消尽するまで射精する
そういう精力的な人間によってのみ、習得されるべきものなのさ。
〔註釈〕
(1)"It is to be learned"は、既にTo Brooklyn Bridgeの第2連にそうあったように、契約書の用語、あるいは法令の用語。これをそのまま、詩人はdally or tallyしているのです。Bloomのいうならば、Whitmanという男色詩人の伝統に則って、しかし、更にCrane流に一歩を進めて。
それで、敢えて、道徳や倫理の本と、文字にしたのです。僕の、この連載の訳は、Craneの思想を伝えるためなので、解り易い、散文的な訳を採用します。すなわち、何故かと問われて、その用語の選択の根拠が常に明確であるようにしておきたのです。
(2)spend out or spendというときには、Craneは、いつも射精の形象と同時に、そのまま死んでしまう、すべての力を使い果たし、消耗して死んでしまうという意味を、一緒に詠っています。
どの詩でもそうです。そう思って、お手もとの詩を読んで御覧なさい。To Brooklyn Bridgeならば、第4連の、
Some motion ever unspent in thy stride、―
これが、そうでした。
Someは、same, homosで、同性愛の男色者の暗号、あるいは符号であり、strideは、penisの抽送を意味していることも。それも、ホストのリズムにあわせて、ゲストが同期するという。
裏の訳は、だから、お前、聖なるブルックリン橋よ、お前のそのホストとしての、精力絶倫の、何度射精しても尽きることのない、リズムと出し入れの、そのモーション、すなわち、男色の肉体の動き、という意味でした。
【問い】
ここまで訳してきて、何故題名は、Legendとしたのか、それと鏡の関係は如何にと、これが立てるべき問いです。
考えて見ましょう。何故、詩人は、詩を伝説と題し、鏡で詠い始めたのかという問いです。
実は、この問い自体が、Craneの詩を理解するための問い、あなたへの問いなのです。なぜならば、この問いに答え得たら、あなたはCraneの詩の何たるかを知ることができるからです。
つまり、本質的な問い、それが、これが、その一つです。
今日の結局詩:
結局
詩とは
対応関係の明確化に
あるのだ。
(何と何の?)
〔語釈〕
(0) mirror
ror
Pronunciation: 'mir-&r
Function: noun
Etymology: Middle English mirour, from Old French, from mirer to look at, from Latin mirari to wonder at
1 : a polished or smooth surface (as of glass) that forms images by reflection
2 a : something that gives a true representation b : an exemplary model
- mir・rored /-&(r)d/ adjective
- mir・ror・like /-"lIk/ adjective
鏡の定義
鏡とは、反射または反映によって、形象を形成する、(ガラスとしてある、つまり透明なる)磨かれ又は円滑な表面、すなわち、そこに真実の対応関係の全体(representation)を
与える何ものか、具体的に現実に応用の利くモデル、または模型を言う。
こうしてみると、モデルということから、少年ならば、プラモデルの模型を、少女ならば、リカちゃん人形のまま事の世界を思えば、よりわかり易いのではないでしょうか。
そうして、何故人間は、そのようなミニチュアの世界、現実そっくりな模型の世界、細密画の世界を愛するのか、考えてみることは、今近代文明の鬼子というべきアメリカ合衆国が、中近東、すなわちイスラム文明と戦争をしているのかを考える、大切な契機になると、僕は思います。
(1)cleave
Pronunciation: 'klEv
Function: intransitive verb
Inflected Form(s): cleaved /'klEvd/; or clove /'klOv/; also clave /'klAv/; cleaved; cleav・ing
Etymology: Middle English clevien, from Old English clifian; akin to Old High German kleben to stick
: to adhere firmly and closely or loyally and unwaveringly
synonym see STICK
このcleaveには、くっついて離れないということから、忠誠心のあるという外延があります。また、そもそもその人の権利を放棄しないでという意味も。
これも契約用語です。ですから、Craneは、いつも自分の男色が法律に違反する、反社会的な、公序良俗に違反しているということを、To Brooklyn Bridgteの第2連を読むと、言われていることが判りますので、どの詩を読んでも、この社会性を反語的に有しています。だから、Craneの詩は、いづれも、ユートピア、理想の社会を思い描いているのです。それが、Legendであり、To Brooklyn Bridgeであり、Garden Abstractであり、その他の詩の題名になっているのです。
(2) spend
Pronunciation: 'spend
Function: verb
Inflected Form(s): spent /'spent/; spend・ing
Etymology: Middle English, from Old English & Old French; Old English spendan, from Latin expendere to expend; Old French despendre, from Latin dispendere to weigh out -- more at DISPENSE
transitive senses
1 : to use up or pay out : EXPEND
2 a : EXHAUST, WEAR OUT (the hurricane gradually spent itself) b : to consume wastefully : SQUANDER (the waters are not ours to spend -- J. R. Ellis)
3 : to cause or permit to elapse : PASS (spend the night)
4 : GIVE UP, SACRIFICE
intransitive senses
1 : to expend or waste wealth or strength
2 : to become expended or consumed
3 : to have an orgasm
- spend・able /'spen-d&-b&l/ adjective
- spend・er noun
Craneは、この動詞を使うときには、いつも男色の行為で射精をし、疲労困憊するほど、エネルギーを消尽するという裏の意味で使っています。
これは、To Brooklyn Bridgeでもそうでした。もちろん、これら以外の詩においても同様です。
それは、自分の持っている才能から何から、財産から、すべてを捧げて、つまり、絶対的に安心して、そうするということを、性的な含意とともに、言っているのです。
0 件のコメント:
コメントを投稿