2010年3月31日水曜日

To Brooklyn Bridge (3) (2/2)

今日は昨日の続きです。

(*)このTo Brooklyn Bridgeが、Brooklyn Bridgeという橋を実際に、マンハッタン側とブルックリン側を連結するように、地上と天上、地下と天上に、垂直方向にまた垂直方向に、実に美事に架けられていることを発見しました。これはまた後日詳述します。この構造で書かれた詩篇の全体もThe Bridgeと題されてありますので、このPoem(詩の中の詩という意味、詩とはこのようなものをいうのだという意味、そのような詩)という名前を冠したTo Brooklyn Bridgeが、その先蹤、露払いで、つまり、Crane流の前置詞で、その後にくるすべての詩篇を同じ構造にしているのです。これがWhite Buildingです。どうも註釈から入るとは、これはもう相当Hart Crane流です。それでは、

今日の本題です。

[縁語釈]
(1) cinemas:
これは、第4連の"motion"に縁がある。
(2) panoramic:
1 b : a picture exhibited a part at a time by being unrolled before the spectator
2 a : an unobstructed or complete view of an area in every direction b : a comprehensive presentation of a subject (a panorama of American history) c : RANGE
3 : a mental picture of a series of images or events

(2.1) spectator:
Etymology: Latin, from spectare to watch
1 : one who looks on or watches
2 : a woman's pump usually having contrasting colors with a perforated design at the toe and sometimes heel

(3) sleights:これは、slyというadj(形容詞)に関係する名詞で、第5連のjestとあるように、a sly jestと使うことができ、jestとこのsleightsは縁語です。
(4) multitudes:a great number of people。群集
(5) bent (from bend) :
1 : to constrain or strain to tension by curving (bend a bow)
2 a : to turn or force from straight or even to curved or angular b : to force from a proper shape c : to force back to an original straight or even condition
3 : FASTEN (bend a sail to its yard)
4 a : to cause to turn from a straight course :

(6) disclosed:(開示された、閉鎖されない)。法律用語でもある。Craneの意識にこの辺り、foretellと言う動詞の意味の深層にもそうであるが、laws、法律や法則を意識していることがここに顕われている。しかも、それを受け入れなければならないという苦渋がある。またもや、Chaplinesqueへ。
(7) never disclosed:(開示されない、閉鎖された)と言う論理の他に、語そのものから、Websterによれば、
2 a : to expose to view b archaic : HATCH c : to make known or public (demands that politicians disclose the sources of their income)

さらに、このHatchをひくと、

(8) hatch:
1 : a small door or opening (as in an airplane or spaceship) (an escape hatch)
2 a : an opening in the deck of a ship or in the floor or roof of a building b : the covering for such an opening

単に閉鎖的であり、その秘密を開示しないという意味に掛け合せて、帆船の甲板のハッチ、外界に、ブルックリン橋の世界に開けていないという意味を持たせている。
(9) other eyes:
other eyesは、第2連のour eyesではない、僕達のではない目、それとは違ったものをみている目。
"other eyes"、これを、Chaplinesqueでは、"the squint with what innocence and what surprise!"と詠ったのだろう、そのようなこれは、真理を正視できぬ、精神的に斜視の目だ。

(10) screen:
the same screenのscreenとは;
1 : a protective or ornamental device (as a movable partition) shielding an area from heat or drafts or from view
2 : something that shelters, protects, or hides: as a : a growth or stand of trees, shrubs, or plants b : a protective formation of troops, ships, or planes c : something that covers or disguises the true nature (as of an activity or feeling) (his geniality is just a screen>)(以下略)

[註釈]
何だか、語釈というのを設けて、Websterを引用したら、それだけで註釈は不要になってしまった。何だか今日は詩の影響をうけて、すべてば転倒し、ひっくり返ってしまった。つまり、僕は、こうやってただ辞書をひいて読んでいるのです。この第3連だけを見ると、Craneの縁語と連想語のその関係の深さは、3次元だ(つまり、3階立ての建築であり、ビルディングだ)。でも、これからもっと深くなるのだろうな。何しろまた最初に戻るのだから、white building(階層化するということ、その成果であり、精華のこと)!を読みながら計算してみることにしよう。大した奴だ、このCraneという白い鳥、白鶴は。


この連の主語、最初の言葉が、そのまま第4連の主語として続いている。それゆえの、この連の最後の「;」なのです。この続きはまた明日に。

それから、もうひとつ、"but hastend to again"のagainは、第8連の最初のAgainに繋がっている。この連鎖も第8連で。

Hart Craneの作詩方法論:
こうしてこの詩人の作詩の方法論(methodology)をみてみると、普通の人ならば、最初に意識に昇らせた言葉を文字としてそのまま書き付けるところを、Craneは、たとえば、この連であれば、3層まで意識の下に降りていって、そうして、そこにある言葉を統合して、抽象的に見える、しかし、生々しい連を生み出しているのです。つまり、普通の人が書くそのような1次元の(つまり、時間の要因を含んだ言葉の連続をそう呼べば)、その時間を捨象した、倒立した像を結ぶことが、それによってできるし、そうすることが、詩人の生理に適っているのです。そうして、実感を失わずに、white buildingを構築することができるのです。僕は、そう思う。さて、これを日本語の世界でどうやって可能か。これを考えてみる。

分類1(和語)
(1)おふろば(風呂場)
(2)ふろ(風呂)
(3)ふね(船、舟)
(4)ゆぶね(湯船、湯槽、湯舟)
(5)ゆ(湯)

分類2(漢語)
(1)浴室
(2)浴槽
(3)湯浴み(か?。もう既に和語の世界だ)

分類3(アルファベット)
(1)バスルーム(bathroom)
(2)バス(bath)
(3)(この階層の言葉は日本語には無い):bathing

分類4(英語)
(1)bathroom
(2)bath
(3)bathing

これらをどうやって、階層化し、組み合わせるのだろうか?日本の白鶴よ、い出よ。だって、僕は、あたしは、今日は、バスルームの湯舟につかって、体を洗ったなどといっているのであるからなあ。湯浴みも、美しい日本語だ。さすがに、バスルームで湯浴みするとはいわないな。つまり、こういったことを、あなた、どうやって解決しますか?Oh, Hart Craneよ!

このような構造体をどうやって日本語(ひらかな、カタカナ、漢字、アルファベット)で表現したらできるか?安部公房が晩年、日本語はクレオールだという説を唱えていて、それは人間とその意識と言語との実に深い理解から来る、相当な論理展開をしておりましたが、それを、こうして見ると思い出します。クレオールとは何か、です。考えてみましょう。

See you AGAIN TO Brooklyn Bridge next time! Not being hastend to other eyes than ours!

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