2014年4月26日土曜日

【Eichendorfの詩 64】Chor der Schneider(仕立て屋の合唱)

【Eichendorfの詩 64】Chor der Schneider(仕立て屋の歌)

【原文】

Inermezzo

Chor der Schneider

Nur vom Ganzen frisch gerissen,
Eh die Ware ganz verschlissen,
Hier ein uralt gülden Stück,
Gibt so’n gewissen frommen Blick,
Hier ein bunter welscher Flick,
Drauf ein Stück Hausleinewand,
Macht das Welsche erst pikant.
Hie’nen Fetzen Baerenhaut,
Dass man auch das Deutsche schaut,
Drüber einen span’schen Kragen,
Das Erhabne wird behagen,
Frisch gestichelt, fein zum Werke,
Und wird auch nichts Ganzes draus,
Sieht es doch gar niedlich aus.


【散文訳】

間奏曲

仕立て屋の合唱

全体を新鮮に引き裂いて
そうして、むしろ、商品を全く小売りしているのです
さて、これが、大昔の金の一張羅です
かくなる敬虔な視線を以てご覧なさい
これが、色彩豊かな外国産の継ぎ布です
おまけに、室内壁用の亜麻布もご覧下さい
外国産(のもの)も、これでやっと、ぴりっとなること請け合いです。
これが、熊皮の小布です
実際、見れば、ドイツ製のものだとおわかりでしょう。
更には、スペイン製の襟をどうですか
高尚なものは、快適ですし
新鮮に縫い取りをして、繊細に仕上がるものです
そして、また実際、全体が、そこからは生まれることはなく
しかし、とはいへ、全くこぎれいであるように見えるものです。


【解釈と鑑賞】

アイヒェンドルフは、何故この詩を書いたのでしょうか。


交換原理に従う商業の世界は、この詩人の世界とは全く異質の世界であると思われるのに。

【西東詩集66】 GINGO BILOBA(銀杏)


【西東詩集66】 GINGO BILOBA(銀杏)


【原文】

DIESES Baums Blatt der von Osten
Meinem Garten anvertraut
gibt geheimen Sinn zu kosten
Wie’s den Wissenden erbaut.

IST es Ein lebendig Wesen
Das sich in sich selbst getrennt?
Sind es Zwei die sich erlesen
Dass man sie als Eines kennt?

Solche Frage zu erwidern
Fand ich wohl den rechten Sinn;
Fühlst du nicht an meinen Liedern
Dass ich Eins und doppelt bin.


【散文訳】

この樹木の葉は、東から来て
わたしの庭に任せていて(親しく)
秘密の感覚を享受するように与えてくれる
物事の本質を知っている者を教化、善導するように。

それ(葉)は、一個の生き生きとした生物であり
それ自身の内に自ら分かたれているものではないのだろうか?
それ(葉)は、互いを選んだふたつであって
そのふたつをひとつとして知るものなのではないのだろうか?

このような問いに答えることが
まさしく正しい感覚だということを発見したのだ
お前は、わたしの歌々に接して感じないだろうか
わたしが、ひとつであり、且つふたつになっているということを。


【解釈と鑑賞】

銀杏の葉っぱは、ひとつの葉がふたつに分かれているので、そのこころを、自分と恋人のありかたに譬えた詩で、これは有名な詩です。

Heidelbergの街中を散歩しているときに、書店の窓にでありましたか、この詩を写して、銀杏の葉っぱを象(かたど)ったワッペンのごとき装飾をみたことがあります。



Pilgerreise(巡礼の旅):第18週 by Georg Maria Roers




Pilgerreise(巡礼の旅):第18週 by  Georg Maria Roers





【原文】

Nackten 
Fuesses

andrere
Wege
einschlagen

geh 
auf
Sand

und
ueber
Kieselsteine

ins
gelobte
Land


【散文訳】


裸足で

他の道を
選んで、踏み分けること

砂地を行け

そして
石英の礫の上を行くのだ

褒められた
土地の中へと


【解釈と鑑賞】


この詩人のことを書いたWikipediaです。



敢えて、簡潔な短行詩です。


一行、即ち一語、その一語に深い意味を籠めたのでしょう。あたらためて、その一語を考える契機を与えてくれる詩です。

何か、この一語一語が、巡礼の旅の一歩一歩を連想させます。

2014年4月20日日曜日

【西東詩集65】 HATEM


【西東詩集65】 HATEM


【原文】

HATEM

DIES zu deuten bin erbötig!
Hab’ ich dir nicht oft erzählt,
Wie der Doge von Venedig
Mit dem Meere sich vermählt?

So von deinen Fingergliedern
Fiel der Ring dem Euphrat zu.
Ach zu tausend Himmelsliedern,
Suesser Traum, begeisterst du!

Mich, der von den Indostanen
Streifte bis Damaskus hin,
Um mit neuen Karawanen
Bis ans Rote Meer zu ziehen,

Mich vermählst du deinem Flusse,
Der Terrasse, diesem Hain,
Hier soll bis zum letzten Küsse
Dir mein Geist gewidmet sein.

KENNE wohl der Männer Blicke,
Einer sagt:》ich liebe, leide!
Ich begehre, ja verzweifle!《
Und was sonst ist kennt ein Mädchen.
Alles das kann mir nicht helfen,
Alles das kann mich nicht rühren;
Aber Hatem! deine Blicke
Geben erst dem Tage Glanz.
Denn sie sagen:》Die gefällt mir
Wie mir sonst nichts mag gefallen.
Seh ich Rosen, seh ich Lilien,
Aller Gärten Zier und Ehre,
So Zypressen, Myrten, Veilchen,
Aufgeregt zum Schmuck der Erde;
Und geschmückt ist sie ein Wunder,
Mit Erstaunen uns umfangend,
Uns erquickend, heilend, segnend,
Dass wir uns gesundet fühlen,
Wieder gern erkranken möchten.《
Da erblicktest du Suleika
Und gesundetest erkrankend,
Und erkranketest gesundend,
Lächeltest und sahst herüber
Wie du nie der Welt gelächelt.
Und Suleika fühlt des Blickes
Ewge Rede:》Die gefällt mir
Wie mir sonst nichts mage gefallen.《

【散文訳】

ハーテム

その意味を解き明かすことこそ、わたしの覚悟である!
わたしは、お前にしばしば語りはしなかっただろうか
どのようにして、ヴェネツィア共和国総督が
海と婚姻を結んだのかを?

同じようにして、お前の指の節々から
指環は落ちて、ユーフラテス河へと落ちたのだ。
ああ、幾千もの天の歌に合わせた
甘い夢だ、霊感を与えよ!

新しい隊商を組んで
紅海まで往くために
インドスタンから地上を旅して
ダマスクスまで行くこのわたしと

このわたしと、お前は、お前の河で
段丘で、この神域の森で、婚姻を結ぶ
ここでは、最後の接吻まで
お前に、わたしの精神は捧げられることになるのだ。

男達の視線をよく知るがいい
ある者はこう言う:わたしは愛し、苦しむ!
わたしは熱望し、そう、絶望する!
感動させることはできない
しかし、ハーテム!お前の視線こそは
やっと、昼間に輝きを与えるものだ。
何故ならば、男達はこういのだから:この女は、わたしの気に入った
それ以外には、何もわたしの気に入ることがないほどに。
わたしは薔薇を見る、わたしは百合を見る
総ての庭という庭の飾りと名誉を見る
同じようにして、糸杉を、ミルテ(桃金嬢)を、菫(すみれ)を見る
これらが、上気して、地上の飾りとなっているのを見る。
そして、飾られているのは、彼女、ひとつの不思議である
驚きを以て、わたしたちを捕まえながら
わたしたちを慰めながら、癒しながら、祝福しながら
その結果、わたしたちは自分が健康であると感じ
再びよろこんで病気になることさへあるかも知れないほどだ。
すると、お前、ズーラライカは、それを看取って
そして、最も健康に病みながら
そして、最も病んで健康でありながら
微笑み、そしてこちらを見たのだ
お前が、決して世界に微笑むことのない微笑みを見せながら。
そして、ズーラライカは、その視線の
永遠の議論を感ずるのだ:この女性は、わたしの気に入った
それ以外には、何もわたしの気に入ることがないほどに。


【解釈と鑑賞】

ハーテムの、前のズーラライカの詩に対する回答の詩です。

古代のヴェネツィア共和国の総督もまた、このふたりの恋人たちと同じように、河に指環を落として、海の女神と結婚をしたのでしょう。

第3連では、中近東を隊商を組んで、駱駝に乗って行く形象(イメージ)が歌われています。これは、西東詩集の最初におかれている詩、HEGIREの第4連に通じるものがあります。このような想像をすることは、楽しいことでしょう。

ズーラライカが、最も病みながら健康に、最も健康に病みながら、微笑むという詩行もまた、ゲーテらしいと、わたしは思います。

2014年4月19日土曜日

【Eichendorfの詩 63】Morgenlied(朝の歌)

【Eichendorfの詩 63】Morgenlied(朝の歌)

【原文】

Morgenlied

Ein Stern still nach dem andern fällt
Tief in des Himmels Kluft,
Schon zucken Strahlen durch die Welt,
Ich wittre Morgenluft.

In Qualmen steigt und sinkt das Tal;
Verödet noch vom Fest
Liegt still der weite Freudensaal,
Und tot noch alle Gaest.

Da hebt die Sonne aus dem Meer
Eratmend ihren Lauf;
Zur Erde geht, was feucht und schwer,
Was klar, zu ihr hinauf.

Hebt grüner Wälder Trieb und Macht
Neurauschend in die Luft,
Zieht hinten Städte, eitel Pracht,
Blau Berge durch den Duft.

Spannt aus die grünen Teppiche weich,
Von Stroemen hell durchrankt,
Und schallend glänzt das frische Reich,
So weit das Auge langt.

Der Mensch nun aus der tiefen Welt
Der Träume tritt heraus,
Freut sich, dass alles noch so hält,
Dass noch das Spiel nicht aus.

Und nun geht’s an ein Fleissigsein!
Umsumsend Berg und Tal
Agieret lustig gross und klein
Den Plunder allzumal.

Die Sonne steiget einsam auf,
Ernst über Lust und Weh
Lenkt sie den ungestoerten Lauf
Zu stiller Glorie.―

Und wie er dehnt die Flügel aus,
Und wie er auch sich stellt,
Der Mensch kann nimmermehr hinaus
Aus dieser Narrenwelt.



【散文訳】

朝の歌

ひとつ、またひとつと、星が静かに落ちる
深く、天の峡谷の中へと
既に、光線は世界を貫いて、震動している
わたしは、朝の空気を、その気配を感ずる。

朦々(もうもう)たる煙雲のなかに、谷は立ち昇り、そして、沈む
祝祭によって、なほ荒涼となって
広い歓喜の大広間は、静かにあり
そして、すべての客は、まだ死んだままだ。

すると、太陽が海の中から昇る
その軌道を呼吸しながら;
湿ったもの、重いものは、大地へと向かい
清澄なものは、太陽へと昇り行くのだ。

緑なす森という森は、衝迫と力を
新たにささめきながら、空気の中へと揚げ
町々の背後で、虚栄の華美を引き
青い山々を、その芳香の中を引いて行く。

緑なす絨毯の中から、柔らかく広がり渡り
河の流れに明るくからみつかれて
そして、響きを立てながら、新鮮な王国が輝いている
眼の届く限り。

人間は、夢々の深い世界から、こうして
歩き出て
すべてが、まだかくも堪えてあることに歓び
まだその遊戯が終っていないことに喜ぶのだ。

そして、こうして今度は、一種勤勉であることが肝心だという話になるのだ!
大騒ぎをしながら、山と谷が
陽気に、大きくなり小さくなりして、
同時に、ばか騒ぎの振る舞いをする。

太陽は、孤独に昇り
真剣に、陽気と悲嘆を通って
邪魔されることのない軌道を操縦して
静かな栄光へと向かうのだ。

そして、その軌道が、両の翼を一杯にひろげるにつれ
そして、その軌道が、実際軌道に載ったにつれて
人間は、もはや出ることができないのだ
この愚か者の世界からは、決して。


【解釈と鑑賞】

朝の様子を歌うアイヒェンドルフの言葉は、いつも素晴らしいものがあります。

この詩も、その言葉によって織られた絨毯でありませう。


最後の一行の、愚者の世界から人間は抜け出せぬというこの一行が、この詩人のこころの一面をあらわしていると思はれます。

William Shakespeareの詩:第17週 by William Shakespeare


William Shakespeareの詩:第17週 by  William Shakespeare





【原文】

Warum fehlt meinem Vers moderner Schick,
Erfindungsreichtum, Spannung, frischer Schwung?
Was schreib ich nicht, wie jeder heut, mit Blick
Auf rare Wörter, Stilerneuerung?
Was schreib ich bloss dasselbe früh und spät,
Beschreib den alten Hut auf alte Art,
Dass meinen Namen jedes Wort verrät
Und willig, wo es herkommt, offenbart?
Weil: liebster Freund, ich schreib allein von dir;
Liebe und du sind stets mein Gegenstand,
Den alten Wörtern leih ich neue Zier,
Verwende neu, was schon so oft verwandt.
Neu steigt die alte Sonne stets, wenn’s tagt.
Neu meine Liebe Altgesagtes sagt.


【散文訳】

何故わたしの詩には、今風の作法が欠けているのだろうか?
発明の豊かさ、緊張、新鮮な跳躍が
わたしは、何を書いていないのだろうか?誰もが今日、視線を凝らして
珍しい数々の言葉を観、様式の革新を観ているというのに
わたしは、単に同じことを、昔も今も書いているのだろうか?
古い様式に則って、古い帽子を記述しているのだ
だから、どの言葉も、わたしの名前を裏切って
そして、勇んで、その言葉が由来する場所で、わたしの名前を啓示するのだろうか?
何故ならば:最も愛する友よ、わたしは、君のことだけについて書いたのだから。
愛と君が、いつも、わたしの対象なのだ
古い種々(くさぐさ)の言葉に、わたしは、新しい飾りを施すのだ
既にかくもしばしば利用されたものを、新しく利用するのだ。
世が明けると、新しく、古い太陽が絶えず、昇り
新しく、わたしの愛が、古くから言われていることを言うのだ。


【解釈と鑑賞】


この詩人のことを書いたWikipediaです。



説明を要することはないでありませう。

含蓄の豊かな詩だと思います。ここで呼びかけられている君とは、実はシェークスピア自身ではないかと考えることができます。

もう一人の自分自身と、そして愛こそが、この詩人の言葉の由来するところだというのではないでせうか。

勿論、他にも様々な解釈を許容する詩です。

このような当たり前の豊かさを示唆する詩を読むと、疲れたこころも慰められるように思います。



2014年4月12日土曜日

【西東詩集64】 Suleika


【西東詩集64】 Suleika


【原文】

Suleika

ALS ich auf dem Euphrat schiffte,
Streifte sich der goldne Ring
Fingerab, in Wasserkluefte,
Den ich jüngst von dir empfing.

Also traeumt ich. Morgenroete
Blitzt ins Auge durch den Baum,
Sag’ Poete, sag’ Prophete!
Was bedeutet dieser Traum?


【散文訳】

ズーライカ

わたしがユーフラテス河を船で旅していたときに
黄金の指環が指からそっと抜けて
水の谷間に落ちてしまった
その指環を、わたしは最近になってあなたから受け取ったのです。

と、このような夢をわたしはみました。燭光が
樹木を貫いて、わたしの眼(まなこ)を一閃します。
詩人よ、言うがいい、預言者よ、言うがいい
この夢は何を意味するのか?


【解釈と鑑賞】

註釈無用の、この通りの詩ではないかと思います。

次の詩で、Hatemが、その夢の意味を解き明かします。

Unbekannte Epistel(知られざる書簡):第16週 by Tadeusz Rozewicz



Unbekannte Epistel(知られざる書簡):第16週 by  Tadeusz Rozewicz





【原文】


Aber Jesus beugte sich
und schrieb mit dem finger in den sand
danach beugte er sich abermals
und schrieb in den sand

Mutter sie sind so dunkel
und einfach ich muss ihnen zeichen geben
ich wirke so wunderliche wunder
überflüssige dinge
doch du verstehst mich
du verzeihst deinem Sohn
ich verwandle Wasser in wein
weck tote zum leben
gehe uebers meer

sie sind wie kinder
man muss ihnen ständig
neues zeigen
weisst du

Als sie ihm näher kamen
verbarg er und verwischte
die lettern
in saecula saeculorum


【散文訳】


しかし、イエスは腰をかがめて
そして、指で砂に書いた
その後、もう一度腰をかがめて
そして、砂に書いた

母よ、彼等はそれほどに暗く
そして単純であり、わたしは彼等に描いて示さねばならない
わたしは、かくもすばらしい数々の不思議(奇蹟)を実現し
有り余るものを実現するが
しかし、お前(母)は、わたしを理解しており
お前(母)は、お前の息子を赦す
わたしは、水を葡萄酒に帰る
死者達を目覚めさせて、生きることをさせ
海を渡って行く

彼等は、子供達のようである
ひとは、彼等に絶えず
新しいものを示さねばならない

彼等が彼(イエス)に近づいてきたときに
彼(イエス)は文字を隠し、そして拭い消した
永遠に、永劫に



【解釈と鑑賞】


この詩人のことを書いたWikipediaです。



ポーランドの詩人です。

saecula saeculorumとは、ギリシャ語由来のラテン語訳で、Webster Onlineによれば、

for ages of ages :  forever and ever

という意味とのこと。

第1行がAberで始まっているので、キリスト教徒が読むと、既に何か前提になっている事蹟があるのかも知れません。




【Eichendorfの詩 62】Chor der Schmiede(鍛冶屋の合唱)

【Eichendorfの詩 62】Chor der Schmiede(鍛冶屋の合唱)

【原文】

Bist zum kuenft’gen Holmgang
Nun gehaemmert, Nordmann!
Schlängelt sich im todkampf
Glutrot einst dein Schwertblitz―
Sehr weint da die Heldbraut―
Denk! der Waffenmeister
Hämmert, singet! Ist’s auch
Ungereimt, so klappt’s doch!


【散文訳】

お前は、将来の孤島の決闘になるまで
こうして、鎚(つち)で叩かれ、鍛えられているのだ、北の男よ!
死の闘いの中で、うねって巻き付くのだ
お前の剣の閃光が、いつかは灼熱の赤色となって
すると、英雄の花嫁は大泣きをする
考えよ、武器の名人よ
鎚(つち)で叩き、歌を歌へ!たとえ
韻律が合わなくとも、ちゃんと鳴り響くさ!


【解釈と鑑賞】

Intermezzo(間奏曲)という題のもとに、この詩がおかれています。

Holmgang(孤島の決闘)については、次のWikipediaの説明があります。


もともとは、スエーデンの風習で、争議の決着をつけるための決闘のことであり、それが島で行われるというものでした。


2014年4月5日土曜日

【西東詩集63】 Suleika

【西東詩集63】 Suleika


【原文】

Suleika

HOCHBEGLUECKT in deiner Liebe
Schelt ich nicht Gelegenheit;
Ward sie auch an dir zum Diebe,
Wie mich solch ein Raub erfreut!

Und wozu denn auch berauben?
Gib dich mir aus freier Wahl;
Gar zu gerne moecht ich glauben―
Ja! ich bins die dich bestahl.

Was so willig du gegeben
Bringt dir herrlichen Gewinn,
Meine Ruh, mein reiches Leben
Geb ich freudig, nimm es hin.

Scherze nicht! Nichts von Verarmen!
Macht uns nicht die Liebe reich?
Halt ich dich in meinen Armen,
Jedem Glück ist meines gleich.


DER Liebende wird nicht irre gehen,
Waers um ihn her auch noch so trübe.
Sollten Leila und Medschnun auferstehn,
Von mir erführen sie den Weg der Liebe.

ISTS möglich dass ich Liebchen dich kose!
Vernehme der göttlichen Stimme Schall!
Unmöglich scheint immer die Rose,
Unbegreiflich die Nachtigall.


【散文訳】

ズーライカ

あなたの愛の中で、高く幸福になって
わたしは(それそのものが泥棒だというその)機会を非難は致しません
機会が実際あなたの場合には泥棒になったというのであれば
そのような略奪は、何とまあわたしを喜ばせたことでしょうか!

そして、何のために一体また略奪をするのでしょうか?
自由な選択肢の中から、あなたをわたくしにお与え下さい
全く喜んで、わたしは信ずることに致します
そうです、わたしこそ、あなたを盗む者なのです。

このように、あなたが喜んで与えて下さったものが
あなたに素晴らしい利益をもたらします。
わたしの休息、わたしの豊かな人生を
わたしは喜んで与えましょう、どうぞ、それらをおとり下さい。

冗談をおっしゃってはいけません!貧しくなるなどいうことは何ものでもありません!
愛は、わたしたちを豊かにするのではありませんか?
わたしはあなたを、わたしの両の腕(かいな)に抱くのです
わたしの幸福は、どの幸福にも似ているのです

愛する者は、道を踏み外しません
たとえ、愛する者のことで、こうやって、実際まだこのようにくすむことがあるとしても。
ライラとメデゥシュンがもし蘇ったならば
ふたりは、わたくしから、愛の道を学んで、歩むことでしょう。

わたしが、可愛いあなたを愛撫するということがあるなんて!
神々しい声の響きをお聴きなさい!
薔薇の花は、いつもあり得ないことに見えるものです
夜啼き鴬は、理解できないものに見えるのものです。



【解釈と鑑賞】

前のHatemの詩の内容を受けて、Sulaikeが更に一層それを深く解釈して歌っています。本当にこれが相聞歌であろうという感じが致します。

Vernehme der göttlichen Stimme Schall!を
神々しい声の響きをお聴きなさい!

と訳しましたが、この神々しい声とは、Hatemの声のことでせう。あなたは、あなたがどのような存在かがわからないの?と、言っているのです。最後の2行も、そのこころから生まれた2行だと思います。



Kafkaの詩:第15週 by Franz Kafka



Kafkaの詩:第15週 by  Franz Kafka





【原文】


“Auch ist das eigentlich nicht Liebe, wenn ich sage, dass du mir das Liebste bist;

Liebe ist, dass du mir das Messer bist, mit dem ich in mir wühle.”



【散文訳】

「もしわたしが、お前はわたしにとって最愛のものだといったならば、それは、実際また、そもそも愛ではないのだ。愛とは、お前がわたしにとってナイフであるということなのであり、そのナイフで、わたしは、わたしの中を掘り返し、探るのだ。」


【解釈と鑑賞】


この詩人のことを書いたWikipediaです。。





詩人というよりは散文家で名の高いカフカです。説明の必要はないでしょう。

その散文家が書いた詩ということで、興味深いものがあります。


詩とはいへ、既に最初から引用符がついていますので、これはどこかからの引用であるのか、カフカが敢えて、引用符をつけて、このことを言ったのか、いづれにせよ、散文的な趣向ではあります。カフカらしい。




【Eichendorfの詩 61】Terzett(三重唱)

【Eichendorfの詩 61】Terzett(三重唱)

【原文】

Hirt

Wenn sich der Sommermorgen still erhebt,
Kein Woelkchen in den blauen Lüften schwebt,
Mit Wonneschauern naht das Licht der Welt,
Dass sich die Aehrenfelder leise neigen,
Da sink ich auf die Knie im stillen Feld,
Und bete, wenn noch alle Stimmen schweigen.

Jaeger

Doch keiner atmet so den Strom von Lüften,
Als wie der Jäger in den grünen Klüften!
Wo euch der Atem schwindelnd schon vergangen,
Hat seine rechte Lust erst angefangen,
Wenn tief das Tal auffunkelt durch die Bäume,
Der Aar sich aufschwingt in die klaren Räume.

Hirt

Und sinkt der Mittag müde auf die Matten,
Rast ich am Baechlein in den kuehlsten Schatten,
Ein leises Flüstern geht in allen Bäumen,
Das Bächlein plaudert wirre wie in Traeumen,
Die Erde säuselt kaum, als ob sie schliefe,
Und mit den Wolken in den stillen Raeumen
Schiff ich still fort zur unbekannten Tiefe.

Jaeger
Und wenn die Tiefe schwül und träumend ruht,
Steh ich am Berg wie auf des Landes Hut,
She fern am Horizont die Wetter steigen,
Und durch die Wipfel, die sich leise neigen,
Rauscht droben schwellend ein gewaltig Lied,
Das ewig frisch mir durch die Seele zieht.

Hirt

Es blitzt von fern, die Heimchen Ständchen bringen,
Und unter Blüten, die im Wind sich rühren,
Die Mädchen plaudernd sitzen vor den Türen;
Da lass ich meine Flöte drein erklingen,
Dass ringsum durch die laue Sommernacht
In Fels und Brust der Widerhall erwacht.

Jaeger

Doch wenn die Täler unten längst schon dunkeln,
Seh ich vom Berge noch die Sonne funkeln,
Der Adler stuerzt sich jauchzend in die Gluten,
Es bricht der Strom mit feuertrunknen Fluten
Durchs enge Steingeklüft wie er sich rette
Zum ew’gen Meer ― ach, wer da Flügel hätte!

Angela

Wenn von den Auen
Die Floete singt,
Aus Waldesrauschen
Das Horn erklingt,
Da steh ich sinnend
Im Morgenlicht―
Wem ich soll folgen,
Ich weiss es nicht.

Doch kehrt ihr beide
Im letzten Strahl
Der Sonne wieder
Zurück ins Tal,
Schaut mir so freudig
Ins Angesicht:
Da weiss ich’s plötzlich―
Doch sag ich’s nicht.


【散文訳】

羊飼い

夏の朝が静かに立ち上がるときには
青い空には、雲一片も浮かんではいない
歓喜に震えながら、光は、世界に近づいて来て
穂の実った畑という畑は、そっとお辞儀をする
と、わたしは静かな畑に膝まづいて
そして、祈る、まだすべての声が沈黙しているのであれば。

狩人

いや、しかし、誰もこのように、空の空気の流れを呼吸してはいない
狩人が緑の峡谷の中で呼吸するようには!
お前たちの呼吸が、目眩をおこしながら、既に去ってしまったそこで
狩人の本当の悦びが、やっと始まったのだ
谷が木々の間を通ってて深くきらきらと輝き放っているならば
アール河は、澄んだ空間の中へと跳躍するのだ。

羊飼い

そして、昼が疲れて茣蓙(ござ)の上に沈み
わたしは、小川のそばで、最も冷たい影の中で憩うのだ
そっと小さな囁きが、すべての木々の中を通って行く
小川が、夢の中でのように、錯乱したお喋りをする
大地はほとんどざわめく音も立てず、恰も眠っているかのようである
そして、雲たちと共に、静かな空間の中で
わたしは、静かに先へと、未知の深みの方へと船で進むのだ

狩人

そして、その深みが不安に、そして夢見て憩ふているならば
わたしは、山のそばに立っているのだ、国の歩哨のように
わたしは、遠く地平線に、雷雨が立ち昇るのを目にし
そして、かすかにお辞儀をしている木々の梢を通じて
その上の方では、力強い歌が膨れ上がって、さやさやと音を立てる
その歌は、わたしの魂の中を貫いて、永遠に新鮮に進行するのだ。

羊飼い

遠くで稲光がする、蟋蟀(こおろぎ)が窓の下で愛するひとのためにセレナーデを運んで来る
そして、風の中に互いに触れ合っている花盛りの下では、
娘達がお喋りをしながら、門という門の前に坐っている
そこで、わたしは、わが笛(フルート)を門の中へと響き渡らせると
周囲では、生温(なまぬる)い夏の夜を通って
岩の中に、胸の中に、反響が目覚めるのだ。

狩人

しかし、谷という谷が、下の方でもうずっと前に暗くなっているならば
わたしは、山から眺めて、まだ太陽が輝いているのを眼にするのだ
鷲が歓喜の声を上げて、灼熱の中へと墜落する
河の流れが、燃えるように陶酔した上げ潮で一挙に迸(ほとばし)り
狭い岩の峡谷を通って、自らを救いながら
永遠の海へと向かう―ああ、それなら翼があったらよいのに!

アンゲーラ

沃野から
笛(フルート)が歌ふと
森のさやけき音の中から
森の笛(ホルン)が鳴り響くと
わたしは感じながら立っている
朝の光の中に―
誰に従って行ったらよいのかを
わたしは知らない。

しかし、あなたたちふたりは
太陽の最後の輝きの中を
再び
谷へと戻り
わたしの顔がこのように歓んでいるのを見る
と、わたしはそれを突然に知るのです―
が、しかし、わたしはそれを言わないのです。


【解釈と鑑賞】

三重唱と題した詩です。羊飼いと狩人と、そして最後に出て来るAngelaという女性との三重唱です。

アール河は、スイスにあるライン河の支流です。アイヒェンドルフは、他の散文の作品を読んでもそうですが、ライン河がよく出て来ますので、この詩人はこの河を愛し、大切に思っているのです。

最後の狩人の詩の4行目にある、wie er sich retteは、wie er sich rettetのtの抜けたものとして解釈し、訳しました。

最後のアンゲーラという女性が何を知るのかというと、その前の連の、誰に付き従ったらよいのかという問いの意味を知るということなのだと思います。


自然の中を渡って行く、遠くまた近くお互いに歌われる、三重唱です。やはり、既にひとつの世界がここにあるという感じが致します。