Chaplinesqueの第2階層(2,4)のうちの後者、すなわち第4連の詩を今日は読む。
いうまでもなく、同じ階層の連同士は呼応し合っている。これは、ほかの詩の場合もすべて、white buildingしている限り、Hart Craneの詩はそうなっていることは言うまでももはやない。
C 33というCraneの処女詩を今日も電車の中で読んでいて幾つもの意味を知った。謎を解く喜び。この題はCraneらしく幾つものことを掛け合わせた題であるのだが、後僕の未知の領域は、33をラテン語で言った場合にanus(尻の穴)という文字配列が並ぶことがあるかどうかという領域である。時間との関係ではあるのだが、純粋に数詞としては、どのようになるものか。誰か知っている人がいたら教えて欲しい。
さて、しかし、仕事とは単調なものだ。今日の日課に励むことにしよう。珍奇なるものは一瞬人の目を驚かせるが、その発見をもし僕が本当に大切にし、Craneの言葉を大切にしようと思ったのであれば、やはり胸底ならぬきょう底に秘めて熟成させることになるから。こういうときには、神をも複数形にして、詩の神と呼びたくなる。そうして沈黙したくなる。
〔第4連〕
And yet these fine collapses are not lies
More than the pirouettes of any pliant cane;
Our obsequies are, in a way, no enterprise.
We can evade you, and all else but the heart:
What blame to us if the heart live on.
〔表の訳〕
前回の訳をそのまま転用する。
しかし、こういった、強権的にやられての、繊細な意気消沈、意志阻喪、これらは、どれひとつとっても、決して嘘ではない(”ここには嘘がない。”)。それは、どんなに幾ら曲げられても折れることない、(あのパスカルのいった)蘆、その蘆(すなわち、人間)が、バレーのピルエットをやって、一本脚でクルクル独楽のように激しく素早く回転するその踊りの(訓練されて獲得する表現)様式以上のものだ。
僕らの刑死、その死刑の儀式は、ある意味では、事業ではない。
(法令書には、そうしろと書いてあるのだからな。しかし、だからこそ、また、それにもかかわらず、別の意味では、僕らが死刑になり、法律に則った儀式に従うというのは、これは、立派な一個の社会的な事業なのさ。)
僕達は、戦略的に、お前達を正面から攻めること、正面衝突を避けて、サイドステップを踏むことができるし、それは、その他にも何だって、やろうとおもえば、そうやって身をかわすことができる、しかし、心臓だけは別だ(”それは、お前達にもできないことなのだ。ここが、僕達とお前達の共通の場所だ”)。つまり、心臓が脈拍を打っているのに、だれが、こうすることが悪いといって、僕達を責める奴がいるか、いるわけがない。お前達にできるか?できるわけがない。
〔裏の訳〕
さて、しかし、このような最高の堕落、極限まで肉体を訓練して成し遂げられる夜の無意識の中でのこの男色者であることの崩壊と分解は、嘘ではないが、しかし安息でもないのだ。だから、これらの男色者が快楽を得るためにとる様々な姿勢は、バレーの踊り子という女性がその身体を鍛えて一本の葦が独楽のように一本脚で回転して見せる以上の難しいものなのだ。
ぼくたちの死刑執行は、男色者の方法で、このように行われ、それは、だから、バレーのような観衆の面前での興行などではなく、従って金儲けのビジネスでもないのだ。興行ならば拍手喝采で prizeももらえようが、僕達男色者は男色者仲間ではpraiseを貰うことが名誉なのさ。何故ならば、このような男色行為そのものが、社会の掟に違反した者達としての僕達の死刑執行なのだから。
だから、自分たちの掟を持っているのだから、僕達男色者は、そうしようと思えば、おまえ達昼間の人間達に我が身を翻して身を避けて、生きることができる自由を手にしているのだし、そのほかのことでも皆そうすることができるのだが、しかし心臓、この生きているということそのものの象徴である心臓だけは別だ。この事実から身をかわすことは、男色者もできないのだ。しかし、だからといって、この男色者の心臓が脈々と生きているのであれば、だれがそうだからといって僕達男色者とその社会を非難することができようか、できるわけが無い。
〔解釈〕
(1) a wayは、不定冠詞がついているので男色者の方法、流儀という意味。
(2) lieには、二つの矛盾した意味、第1連のcovertと嘘の意味が掛け合わされている。これはCraneらしい言葉遊び。そうして論理展開としてもCrane好みなのは、not liesとしていることで、言いたいことは、真実なのだという意味である。しかし、Truthとはいわないのだし、むしろ言ってはいけないのだ。ふたつの両極端のもののそれぞれのいづれかを否定するが、しかし、否定されたその極端が、反対側の他端であるかというと論理的にはそうはならないという不分明を詩人は愛しているのだ。その典型的な詩のひとつがWhat Nots?という題名の即興のような詩であるが、勿論これ以外にもこの詩あの詩のあちこちにこの論理展開が、段落、文、語に亘る階層のそれぞれに仕掛けてある。
(3)この論理の上に、uncoiled shellといったような形容詞が成立している。原初的な、原初に戻る、戻らせる力を有する形容詞。そうして、冠詞と名詞と形容詞の組み合わせ、僕が前回To Brooklyn Bridgeを訳し論じたときに「揺れる形容詞」と名付けた形容詞の配置もここにある。The dessert whiteといったように(C 33)。
(4)昼間の社会での褒賞はprise or prizeであるが、そうしてこれはこれで身を粉にして働いて得るものであるが、他方夜の男色者の社会での褒賞は、男色行為の最中に得られるpraise、自分がstarsの一つとして舞台に立って演じた役割の見事さに賞賛の嵐の来るpraiseなのさ。
(5)the heartは、定冠詞がついていて、先日解釈を伝えたthe worldとともに、男色者の心臓を言っている。同性愛者も異性愛者も共に共有し定冠詞をつけて、従って社会的な心臓。
(6)この連の最後の一行にあるto usのusは勿論男色仲間の僕達であり、前置詞のtoは男色仲間の社会を示すときにCraneがいつも使用する前置詞である。これは場所を表す。To Brooklyn Brideといったように。このToは斜字体になっていることを思い出して欲しい。その他にも、The Complete Poems of Hart Craneをぱらぱらと捲(めく)って見ると、To Emily Dickinson, To Shakespeare, To Earth, To Liberty, To the Empress Josephine’s Statue, To Buddha, To Conquer Varietyと題してある詩は皆この男色者の仲間の社会を意味している。堅牢な前置詞、zu。詩の中でのzuも同様である。Shakespeareについてはこのブログのどこかで述べたことだが、槍を振れ振れというのであるから、これも男根を動かす男の比喩である。前回Chaplinesqueを論じ、訳したときに、何故ここにzuが必要なのか、何故What blame us….ではいけないのかと僕が問うたことに対するこれが今回の答えである。千石先生は、CraneはMelvilleの直径の子孫だとおっしゃたけれども、Melvilleを歌った詩の題は、At Melville's Tombであるので、Zu Melville's Tombとはなっていない。これはまた別の評価がこのMelvilleに対しては、Craneは持っていることを示している。MelvilleはCraneとは別の宇宙の住人である。
〔語釈〕
(1) fine
(1.1 ) noun
Function: noun
Etymology: Middle English, from Old French fin, from Latin finis boundary, end
1 obsolete : END, CONCLUSION
2 : a compromise of a fictitious suit used as a form of conveyance of lands
3 a : a sum imposed as punishment for an offense b : a forfeiture or penalty paid to an injured party in a civil action
- in fine : in short
(1.2) adj
Etymology: Middle English fin, from Old French, from Latin finis, noun, end, limit
1 a : free from impurity b of a metal : having a stated proportion of pure metal in the composition expressed in parts per thousand (a gold coin .9166 fine)
2 a (1) : very thin in gauge or texture (fine thread) (2) : not coarse (fine sand) (3) : very small (fine print) (4) : KEEN (a knife with a fine edge) (5) : very precise or accurate (a fine adjustment) (trying to be too fine with his pitches) b : physically trained or hardened close to the limit of efficiency -- used of an athlete or animal
3 : delicate, subtle, or sensitive in quality, perception, or discrimination (a fine distinction)
4 : superior in kind, quality, or appearance : EXCELLENT (a fine job) (a fine day) (fine wines)
5 a : ORNATE 1 (fine writing) b : marked by or affecting elegance or refinement (fine manners)
6 a : very well (feel fine) b : ALL RIGHT (that's fine with me)
7 -- used as an intensive (the leader, in a fine frenzy, beheaded one of his wives -- Brian Crozier)
(3) collapse
Function: verb
Etymology: Latin collapsus, past participle of collabi, from com- + labi to fall, slide -- more at SLEEP
intransitive senses
1 : to fall or shrink together abruptly and completely : fall into a jumbled or flattened mass through the force of external pressure (a blood vessel that collapsed)
2 : to break down completely : DISINTEGRATE (his case had collapsed in a mass of legal wreckage -- Erle Stanley Gardner)
3 : to cave or fall in or give way
4 : to suddenly lose force, significance, effectiveness, or worth
5 : to break down in vital energy, stamina, or self-control through exhaustion or disease; especially : to fall helpless or unconscious
6 : to fold down into a more compact shape (a chair that collapses)
transitive senses : to cause to collapse
(4) lie
(4.1)noun
1 chiefly British : LAY 6
2 : the position or situation in which something lies (a golf ball in a difficult lie)
3 : the haunt of an animal (as a fish) : COVERT
4 British : an act or instance of lying or resting
(4.2)noun
Etymology: Middle English lige, lie, from Old English lyge; akin to Old High German lugI, Old English lEogan to lie
1 a : an assertion of something known or believed by the speaker to be untrue with intent to deceive b : an untrue or inaccurate statement that may or may not be believed true by the speaker
2 : something that misleads or deceives
3 : a charge of lying
(5) enterprise
Main Entry: ;prise
Function: noun
Etymology: Middle English, from Middle French, from Old French entreprendre to undertake, from entre- inter- + prendre to take -- more at PRIZE
1 : a project or undertaking that is especially difficult, complicated, or risky
2 : readiness to engage in daring action : INITIATIVE
3 a : a unit of economic organization or activity; especially : a business organization b : a systematic purposeful activity (agriculture is the main economic enterprise among these people)
(6) evade
Function: verb
Inflected Form(s):
Etymology: Middle French & Latin; Middle French evader, from Latin evadere, from e- + vadere to go, walk -- more at WADE
intransitive senses
1 : to slip away
2 : to take refuge in evasion
transitive senses
1 : to elude by dexterity or stratagem
2 a : to avoid facing up to (evaded the real issues) b : to avoid the performance of : DODGE, CIRCUMVENT; especially : to fail to pay (taxes) c : to avoid answering directly : turn aside
3 : to be elusive to : BAFFLE (the simple, personal meaning evaded them -- C. D. Lewis)
synonym see ESCAPE
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