XX
DIR aber, Herr, o was weih ich dir, sag,
der das Ohr den Geschöpfen gelehrt? —
Mein Erinnern an einen Frühlingstag,
seinen Abend, in Rußland —, ein Pferd...
Herüber vom Dorf kam der Schimmel allein,
an der vorderen Fessel den Pflock,
um die Nacht auf den Wiesen allein zu sein;
wie schlug seiner Mähne Gelock
an den Hals im Takte des Übermuts,
bei dem grob gehemmten Galopp.
Wie sprangen die Quellen des Rossebluts!
Der fühlte die Weiten, und ob!
Der sang und der hörte —, dein Sagenkreis
war in ihm geschlossen. Sein Bild: ich weih's.
前のソネット全体の主題を受けて、しかし、といって、このソネットは始まる。呼びかける相手は、神。前のソネットの最後の2行を直接には受けているのでしょう。
【散文訳】
しかし、お前、神よ、ああ、わたしはお前の御許(みもと)で言祝(ことほ)ぎ、浄(きよ)める、そう、被造物に耳を教えたお前よ。ある春の日の、わたしの思い出、その夕べ、ロシアで、1頭の馬が….
村からこちらへと、その白馬が、1頭だけ、やってきた。
体の前にある枷(かせ)の木杭に身を打ちつけながら
その夜を草原でひとりでいるために。
どんなに、その鬣(たてがみ)の縮ぢれた髪が、酷(ひど)く阻(はば)まれて疾駆しながらも、それに負けずに、奔放不羈の拍子をとって、首を打っていたか。どんなに馬の血の数々の源が、跳ねていたことか。
その馬は、遥かな距離を感じていた、勿論、そうだ。
馬は、歌い、そして、耳傾けた ― お前の伝説の環は、
この馬の中で閉じていたのだ。この馬の像、それをわたしは
言祝ぎ、浄(きよ)める。
【解釈】
リルケがロシアを訪れたときの、思い出を歌ったものだろう。
身につけた枷を前にしながら、猛々しく走る白馬の様子を見て、リルケは、このようなことを思ったのだ。この馬の姿、像は、果てしない距離を思う人間やその他の生物の姿のようだ。
オルフェウスの歌と竪琴は、そのような生物のこころを慰め、従わしめる。
最初の「お前」は神だが、最後の「お前」は、「伝説の環」とあるので、オルフェウスだと思う。
こうしてみると、話者は、リルケ自身が顔を出したと読むこともできる。
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