2009年11月22日日曜日

オルフェウスへのソネット(XVI)(2)

このソネットには、リルケ自身による註釈があります。

それは、次のようなものです:

このソネットは、一匹の犬に向けられたものです。「わたしの主人の手」というところに、オルフェウスへの関係が出来ていて、オルフェウスは、今度は、詩人(リルケ)の主人というわけです。詩人は、この手を誘って、その手も、詩人の限りない関与と献身のためにその犬を祝福するのですが、犬は、ほとんどエサウ(モーゼ27、ヤコブ1を読んでください)のように、自分自身には帰属しない相続というこころの中では、自分の毛皮を実際ただ身に纏っただけなのです。すなわち、全く人間的なものに、苦難と幸福を以って預かるということなのです。

リルケの冒頭いっている「わたしの主人の手」というところに、読んでいて異質なものを感じた。何故ならば、わたしのという所有代名詞が、ドイツ語では斜字体になっているからです。

この冒頭の一文を読むと、リルケは、ソネットXIVに出てくる主人、Herr、ヘアという言葉と同様に、掛け言葉をして遊んでいることがわかります。

このソネットXVIでは、わたしは、主人のほかには、神にかけました。

この註釈を読むと、リルケは犬が本当に好きなんだなと思います。


また、悲歌8番は、動物のことで始まります。そこにある通り、動物は開かれた存在だからなのでしょう。人間との対照で、そう歌われている。犬も動物ですから、やはり開かれていることでしょう。

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