2009年11月22日日曜日

オルフェウスへのソネット(XVIII)

XVIII

HÖRST du das Neue, Herr,
dröhnen und beben?
Kommen Verkündiger,
die es erheben.

Zwar ist kein Hören heil
in dem Durchtobtsein,
doch der Maschinenteil
will jetzt gelobt sein.

Sieh, die Maschine:
wie sie sich wälzt und rächt
und uns entstellt und schwächt.

Hat sie aus uns auch Kraft,
sie, ohne Leidenschaft,
treibe und diene.

【散文訳】

主よ、聞こえますか、新奇のものが

鳴り響き、振動している音が。

それを高く掲げる告知者たちがやって来ます。

荒れ狂い、暴れま廻られた状態に置かれる中では、いくら聞いても、

完全ではなく、無傷ではなく、健全ではないのだが、

しかし、機械の部分は、今や、褒められたいと思っているのだ。

ごらんなさい、機械を。

どのように機械が雪崩を打って進み、そして復讐して、

そして、わたしたちを不具にして、そして衰弱させるかを。

機械が、わたしたちの中からも力を奪うならば、

機械という奴は、情熱もないくせに、駆り立て、奉仕する(役に立つ)のだろう。

【解釈】

機械文明への批判のソネットだ。

なによりも、騒音を問題としている。リルケの主人公、オルフェウスは、聴覚の世界の住人だからだ。また、その声と演奏を聴くものたちも。

このソネットは、現代でも、そのまま生きている。

リルケは、詩を書いていて、このとき、その場所で、騒音を聞いていた筈はないと思う。静かな小さな村にいたのではないか。パリにいたときの、過去の思い出から引用したのだろうか。

一人でいても、世界のことを考えていたということなのでしょう。

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