2013年3月9日土曜日



seitdem du da bist(お前がそこにいるようになってから):第11週 by Helga M. Novak(1935 - )


【原文】


seitdem du da bist

seitdem du da bist
gehen die Stühle aus dem Leim
das Bett hängt durch das Sofa
unter mir biegen sich alle Balken
so schwer
hab ich mich fallenlassen

wenn du weg bist
steht alles wieder an seinem Ort
das Ausgebeulte wird sich glätten
die Möbel richten sich auf
und mir
werden die Haare zu Berge stehen


【散文訳】


お前がそこにいるようになってから

お前がそこにいるようになってから
椅子が(膠(にかわ)がとれて)バラバラになり
ベッドはソファを突き抜けてぶらさがり
わたしの下では、すべての梁(はり)が
こんなに重くなってしまって
わたしは自分が落ちるにまかせたほどだ

もしお前がいなくなれば
全てのものは再び所を得て
殴られて凹んだところも、平になり
家具も直立して
そして、わたしの
髪は、(恐怖や憤怒の感情から)山になって逆立つのだ


【解釈と鑑賞】


この詩人のWikipediaです。


東ドイツに生まれた詩人です。


個人的な人生に触れることは、わたしの好むところではありませんが、これを読むと、生みの親の顔を知らず、養い親に育てられたとあります。

10代から、自分の意思の強い、主張をはっきりする子供だったようです。その分、不安と苦しみも多かったことでしょう。


ライプツィッヒ大学でジャーナリズムと哲学を学んだとありますので、これらふたつの領域の学問は、上の苦しみと関係があることでしょう。


東ドイツの共産党を批判する文章を書いた理由で、市民権を剥奪されています。まあ、もっとも共産党の全体主義国家に市民権なるものが本当にあればの話ではありますが。

1967年に西ドイツに移住。以後、ベルリン、ユーゴスラビア、フランクフルト(西側の)に住みます。アイスランドの国籍を有しています。

何か、変わったところのある詩人です。

この詩も、風変わりです。

お前と訳しましたが、これを優しく、あなたと言っても良いし、また発話者が女性でも男性でも、いづれでも読み方ができて、それぞれに多様な解釈をゆるすでしょう。

また、お前を、共産党ととっても、またそれはそれで解釈が可能です。


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