2013年3月19日火曜日

【西東詩集38】 Gruss(挨拶)



【西東詩集38】 Gruss(挨拶)


【原文】

Gruss

O wie wie selig ward mir!
Im Lande wandl ich
Wo Hudhud ueber den Weg laeuft.
Des alten Meeres Muscheln
Im Stein sucht ich die versteinten;
Hudhud lief einher
Die Krone entfaltend;
Stolzierte, neckischer Art,
Ueber das Tote scherzend
Der Lebendge.
Hudhud, sagt ich, fuerwahr!
Ein schöner Vogel bist du.
Eile doch, Wiedehopf!
Eile, der Geliebten
Zu verkünden dass ich ihr
Ewig angehoere.
Hast du doch auch
Zwischen Salomon
Und Sabas Koenigin
Ehmals den Kuppler gemacht!



【散文訳】

挨拶

おお、なんと、なんとお前達は神聖だったことか!
フドフドが道を走る
その国を、わたしは逍遥した。
古い海の貝殻を
石の中に、石と化したものたちを、わたしは探した
フドフドは、悠然と走って来た
冠をひろげながら
気取って歩いた、滑稽な様に
死者をからかいながら
その生きている鳥は

フドフドよ、とわたしは言った、なるほど本当に!
お前は美しい鳥だ。
ほら急げよ、もう一度飛ぶんだ!
急げよ、愛するひとに
わたしが永遠にそのひとのものだと告げるために。
お前は、また、なんといっても
ソロモンとサバスの女王との間にたって
嘗(かつ)て、縁結びをしたではないか!



【解釈】

Hudhudという鳥の写真を掲示します。雌と雄とで冠の色が違うようです。詩に歌われているのは雄なので、多分冠の赤い美しい方が雄なのでしょう。或いは、冠の色は、季節によるのかも知れません。



また、貝殻というものもまた、恋に関係があるのでしょうか。

歌われているのは、明らかに、死と恋と聖なる世界です。

しかし、この詩は少しも暗くありません。

フドフドという鳥に挨拶をしているゲーテの心は深いというべきでしょう。


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