2013年3月10日日曜日

【西東詩集36】 Schlechter Trost(拙劣な慰め)



【西東詩集36】 Schlechter Trost(拙劣な慰め)


【原文】

Schlechter Trost

MITTERNACHTS weint und schluchzt ich,
Weil ich dein entbehrte.
Da kamen Nachtgespenster
Und ich schäme mich.
Nachtgespenster, sagt ich,
Schluchzend und weinend
Findet ihr mich, dem ihr sonst
Schlafendem vorueberzogt.
Grosse Gueter vermiss ich.
Denkt nicht schlimmer von mir
Den ihr sonst weise nanntet,
Grosses Uebel betrifft ihn!−
Und die Nachtgespenster
Mit langen Gesichtern
Zogen vorbei,
Ob ich weise oder toerig
Voellig unbekuemmert.



【散文訳】

拙劣な慰め

夜中に、わたしは声をあげて泣き、そしてむせび泣いた
お前が無しにはいられなかったからだ。
そこへ、夜の亡霊どもがやってきて
そして、わたしは恥ずかしいと思う。
夜の亡霊どもよ、とわたしは言った
すすり泣きながら、声をあげて泣きながら
わたしを見つけよ、お前達が普通ならば
眠っている者としてあるわたしのそばを通り過ぎるものを
大きな財宝がないことを、わたしは嘆く
わたしのことを、これ以上悪く考えないでくれ
お前達が、いつもならば、賢明であると呼んだわたしのことを
大きな災いが、この男を襲ったのだ!
そして、夜の亡霊どもは
長い顔をして(不満げな顔をして)
通り過ぎていった
わたしが賢明であろうと、愚かであろうと
全く頓着することなしに



【解釈】

恋人を思って、夜泣き濡れる話者の歌です。

夜の亡霊という者たちが、出て来るということが、何か時代めいていると同時に、やはり今でもこの亡霊たちは夜に徘徊しているのではないかと思わせられます。

いつも夜にやってきて、眠る者を観てゆく亡霊達。そうであることを知っている、この詩の歌い手。

そうしてみると、この詩の内容もなにか、この世のことではないように思われます。

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