【西東詩集35】 Bedenklich(躊躇して)
【原文】
Bedenklich
Soll ich von Smaragden reden,
die dein Finger niedlich zeigt?
Manchmal ist ein Wort vonnöten,
Oft ists besser dass man schweigt.
Also sag' ich: dass die Farbe
Grün und augerquicklich sei!
Sage nicht dass Schmerz und Narbe
Zu befürchten nah dabei.
Immerhin! du magst es lesen!
Warum übst du solche Macht!
>>So gefährlich ist dein Wesen
Als erquicklich der Smaragd.<<
Liebchen, ach! im starren Bande
Zwängen sich die freien Lieder,
Die im reinen Himmelslande
Munter flogen hin und wider.
Allem ist die Zeit verderblich,
Sie erhalten sich allein!
Jede Zeile soll unsterblich,
Ewig wie die Liebe sein.
【散文訳】
躊躇して
わたしは、エメラルドのことについて語るべきだろうか
お前の指が上品に示しているそのエメラルドを?
よく、ひとつの言葉が必要とされるもののだ
それは、沈黙している方が、時には、よいものだ、という言葉である。
そういうわけで、わたしは言うのだ:色彩が
緑であり、眼を奪うようだ!と。
そうすると苦痛になり、傷跡のあばたになるからといって
恐れてはならないのだと、わたしは言わないのだ。
それはそうだ!何しろ、お前は、それを読みとってくれ!
何故、お前はその力を行使するのだ!
>>かくも危険なのだ、お前という存在は
エメラルドが眼を奪うほどに<<
愛する者よ、ああ!、凝固した紐帯の中で
自由な歌達が無理に押し通るのだ
純粋な天国の地にあって
陽気に行ったり来たりして飛んでいた歌が
総てにとって、時間というものは、腐ってゆくものなのだ
その歌々は、自らを一人に持してあれ!
どの行も、不滅であり
愛のように永遠であれよかし。
【解釈】
繊細な、恋愛感情と言葉による表現についての、ゲーテの詩です。
否定的にではなく、肯定的に相手の女性の美を歌う、自由な振る舞いをゲーテは願って、この詩を書いております。
「純粋な天国の地」という言葉の「純粋な」という言葉から、この西東詩集の冒頭の詩、ヘジラの中で、
そこで、即ち、純粋であるものの中、正しいものの中で
わたしは、人類の
源泉の深みへと突き進みたい
と歌ったゲーテの心情を、ここで思い出すことに致しましょう。
純粋なという感情(と敢えて申し上げますが)は、ここにも響いて、続いているのです。
歌を歌い、歌い続けるとは、このようなこころを維持することの努力の継続ではないでしょうか。
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