Spiel(遊戯):第34週 by August Stramm(1874~1915)
【原文】
Spiel
Deine Finger perlen
Und
Kollern stossen necken schmeicheln
Quälen sinnen schläfern beben
Wogen um mich.
Die Kette reisst!
Dein Körper wächst empor!
Durch Lampenschmimmer sinken deine Augen
Und schlürfen mich
Und
Schlürfen schlürfen
Dämmern
Brausen!
Die Wände tauchen!
Raum!
Nur
Du!
【散文訳】
遊戯
お前の指は、真珠のやうにきらきらと光り
そして
ごろごろと鳴り、ぶつかり、揶揄(からか)ひ、擽(くすぐ)り
苦しめ、深く思ひ、眠らせ、激しく震へ
大波が立つ、私の周りで。
鎖が裂ける!
お前の体が高く成長する!
灯火(ランプ)のちらちらする光を通つて、お前の両目は沈み
そして、私をぴちゃぴちゃ舐める
そして
ぴちゃぴちゃ舐めて、ぴちゃぴちゃ舐めて
日が暮れ沈むときのやうに仄(ほの)かに光り
風が唸り、水が騒(ざわめ)き、波が立ち騒ぐ!
四囲の壁は、水中に潜つて、姿を消す!
空間だ!
ただ
お前だけだ!
【解釈と鑑賞】
この詩人は、ドイツの詩人です。
ドイツ表現主義の詩人であり、劇作家だとあります。
上の詩も、文法は勿論踏み外してはをりませんが、正書法を踏み外してをりますので、そのやうな破格を好んだのでありませう。
しかし、他方、この写真を見ますと、礼儀正しい、律儀な人間であるやうに思ひます。
上のWikipediaにはまた、次のやうな詩も載つてをりました。
【原文】
Patrouille
Die Steine feinden
Fenster grinst Verrat
Aeste würgen
Berge Sträucher blättern raschlig
Gellen
Tod.
【散文訳】
パトロール(警邏)
あまたの石が敵するのだ
窓が裏切りを、にやにやと口歪めて嗤う
あまたの大枝が、絞め殺す
あまたの潅木の山々が、かさかさ音を立てて、葉を落とす
鋭く響く、甲高い音がする
死。
【解釈と鑑賞】
feinden, raschligといふ語は、この詩人の造語です。
このやうな世界を、パトロール(警邏)したといふか、またはパトロール(警邏)したら、それは、このやうな世界であつたといふのでありませう。
二行目の、
Fenster grinst Verrat
といふ一行の解釈は三つあり、一つは、上で訳したやうに、
「窓が裏切りを、にやにやと口歪めて嗤ふ」といふものですが、
二つは、ひっくり返して、そして、窓を単数だと解して、
「裏切りが、窓を、にやにやと口歪めて嗤ふ」
といふ解釈であり、三つ目は、
「裏切りが、あまたの窓を、にやにやと口歪めて嗤ふ」
といふものです。
これらの意味を含めての此の一行といふことになりませう。
Gellen
鋭く響く、甲高い音がする
とは、その前の一行の、
Berge Sträucher blättern raschlig
あまたの潅木の山々が、かさかさ音を立てて、葉を落とす
といふ、その音なのでありませう。
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