2015年5月17日日曜日

Zuflucht noch hinter der Zuflucht (避難所の後ろに未だ避難所あり):第21週 by Reiner Kunze(1933~)


Zuflucht noch hinter der Zuflucht (避難所の後ろに未だ避難所あり):第21週 by  Reiner Kunze(1933~)




【原文】

(für Peter Huchel)


Hier tritt ungebeten nur der wind durchs tor

Hier 
ruft nur gott an

Unzählige leitungen läßt er legen
vom himmel zur erde

Vom dach des leeren kuhstalls
aufs dach des leeren schafstalls
schrillt aus hölzerner rinne
der regenstrahl

Was machst du, fragt gott

Herr, sag ich, es
regnet, was
soll man tun

Und seine antwort wächst
grün durch alle fenster



【散文訳】


(ペーター・フッヘルのために)


そこで、祈られもしてゐないのに、ただ風だけが扉(ドア)を通って入つて来る

そこで、ただ神だけが、電話をする

数え切れない導線を、神は敷設する
天国から地上へと

空らつぽの牛小屋の屋根から
空つぽの羊小屋の屋根の上まで
木で出来た雨樋の中から外へと
雨の輝きが金切り声を上げる

お前は、何をしてゐるのだ、と神は問ふ

主よ、と私は言ふ、
雨が降つてゐるのです、
だうしたらよいものでせうか

すると、神の答へは、成長するのだ
青々として、すべての窓という窓を通つて


【解釈と鑑賞】


この詩人の、Wikipediaです。東ドイツ生まれの詩人です。



詩の題に添えて、(ペーター・フッヘルのために)とありますので、この友人のために書いた詩です。

何か、ドイツのこのやうな農場の世界で、この友人と会ひ、このやうな話をしたのでせうか。あるひは、しなかつたとしても、このやうに思ふやうな時間と場所であつたのでありませう。さうして、間違いのないことは、雨に降られたといふことです。

ドイツの平坦な景色を思ひながら、この詩を読んでみるとよいのではないでせうか。

さて、かうして此の詩の題名の意味を考へてみますと、広い農場に雨が降って、雨宿りをしてゐるところを、天にまします神さまより電話がかかって来て、神まさに質問をしたところ、その答えを得たのです。

その答えを何であるとは文字では書いてをりませんが、しかし、その回答が、そのまま青々と成長する緑の自然としてある其の姿であると歌つてをります。

その自然の成長が、全ての窓窓を通じてとある、この最後の一行が、この詩で、この詩人の歌ひたかつたことでありませう。

全ての窓とありますので、この農場の牛小屋や羊小屋の窓のみならず、世界中の窓といふ意味になります。

窓がドイツ人のみならず、ヨーロッパ人にとって、生活の中で如何に深い意義を有しているものかは、稿を改めて論じます。







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