【西東詩集117】BEGUENSTIGTE TIERE(恵みを受けた動物達)
【原文】
VIER Tieren auch verheißen war
Ins Paradies zu kommen,
Dort leben sie das ewige Jahr
Mit Heiligen und Frommen.
Den Vortritt hier ein Esel hat,
Er kommt mit muntern Schritten:
Denn Jesus zur Propheten-Stadt
Auf ihm ist eingeritten.
Halb schüchtern kommt ein Wolf sodann,
Dem Mahomet befohlen:
Lass dieses Schaf dem armen Mann,
Dem Reichen magst du’s holen.
Nun, immer wedelnd, munter, brav,
Mit seinem Herrn, dem braven,
Das Hündlein das den Siebenschlaf
So treulich mitgeschlafen.
Abuherriras Katze hier
Knurrt um den Herrn und schmeichelt:
Denn immer ists ein heilg Tier
Das der Prophet gestreichelt.
【散文訳】
四匹の動物もまた約束されて
天国へと来るように言われた
そこで永遠の歳月を生きるようにと
聖者と敬虔なる者たちと一緒に。
まづ最初に、驢馬が前に出る
陽気な足取りでやって来る
というのは、イエスが預言者の町に
驢馬に乗って入城したからだ。
半ば冷めた気持ちで、次に狼がやって来る
モハメットは狼に命じた:
この羊を此の貧しい男に委ねよ
金持ちの男には、お前が羊を取りに行ってやるのだ。
さて今や、いつもグルグルと廻りながら、陽気に、勇敢に
その主人、即ち勇敢なる男と一緒に
子犬が、あのドイツの中世の伝説の7人の睡眠者の聖者たちの其の睡眠を
かくも忠義に共に眠った其の子犬が、やって来る。
アブヘッリラスの猫が、ここに
喉をごろごと言わせせて、主人にまとはりついて、そして、体をすり寄せる:
というのは、いつも、猫は
預言者が愛撫した神聖なる動物であるからだ。
【解釈と鑑賞】
四匹の動物も天国に入ることができる。
驢馬、狼、犬、猫、この四匹です。
三番目の犬が選ばれているのは、7人の聖人である睡眠者という伝説上の人物たちと一緒に何百年も眠ったからということです。これが、次の次の詩で歌われている『7人の聖なる睡眠者』という詩なのでありませう。
ドイツ語でいうSiebenschläferという名前の動物がいて、この詩と二つ先の詩とは無関係ですが、やはりどうも眠る動物のようです。しかし、7という数字と眠る生き物であるというところが、何か神聖な物事に結びついているのではないでしょうか。
第4連のAbuherriras Katzeというこの猫の持ち主であるAbuherrirasという人物は、コーランに登場する預言者の一人です。
この預言者の名前は、アラビア語で猫の父というのだと、下記のウエッブページに「コーランの中の動物の世界」と題して説明がありましたので、URLを紹介致します。日本語で卑俗な言い方をすれば、猫の父さんというところ、猫和尚というところでありませう。
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