【西東詩集119】SIEBENSCHLÄFER(七人の眠る者)
【原文】
SECHS Begünstigte des Hofes
Fliehen vor des Kaisers Grimme,
Der als Gott sich lässt verehren,
Doch als Gott sich nicht bewähret:
Denn ihn hindert eine Fliege
Guter Bissen sich zu freuen.
Seine Diener scheuchen, wedelnd,
Nicht verjagen sie die Fliege.
Sie umschwärmt ihn, sticht und irret
Und verwirrt die ganze Tafel,
Kehret wieder wie des hämschen
Feigengottes Abgesandter.
Nun! so sagen sich die Knaben,
Sollt’ ein Flieglein Gott verhindern?
Soll’ ein Gott auch trinken, speisen,
Wie wir andern? Nein, der Eine
Der die Sonne erschuf, den Mond auch,
Und der Sterne Glut uns wölbte,
Dieser ists, wir fliehen!—Die zarten
Leicht beschuht-, benutzten Knaben
Nimmt ein Schaefer auf, verbirgt sie
Und sich selbst in Felsenhöhle.
Schäfershund er will nicht weichen,
Weggescheucht, den Fuss zerschmettert,
Drängt er sich an seinen Herrn,
Und gesellt sich zum Verborgnen,
Zu den Lieblingen des Schlafes.
Und der Fürst dem sie entflohen,
Liebentrüstet, sinnt auf Strafen,
Weiset ab so Schwert als Feuer,
In die Höhle sie mit Ziegeln
Und mit Kalk sie läßt vermauern.
Aber jene schlafen immer,
Und der Engel, ihr Beschützer,
Sagt vor Gottes Thron berichtend:
So zur Rechten, so zur Linken
Hab’ ich immer sie gewendet,
Dass die schönen, jungen Glieder
Nicht des Moders Qualm verletze.
Spalten riß ich in die Felsen
Dass die Sonne, steigend, sinkend,
Junge Wangen frisch erneute.
Und so liegen sie beseligt.—
Auch, auf heilen Vorderpfoten,
Schläft das Hündlein süßen Schlummers.
Jahre fliehen, Jahre kommen,
Wachen endlich auf die Knaben,
Und die Mauer, die vermorschte,
Altershalben ist gefallen.
Und Jamblika sagt, der Schöne,
Ausgebildete vor allen,
Als der Schaefer fürchtend zaudert:
Lauf ich hin! und hol euch Speise,
Leben wag’ ich und das Goldstück!
Ephesus, gar manches Jahr schon,
Ehrt die Lehre des Propheten
Jesus. (Friede sei dem Guten!)
Und er lief. Da war der Tore
Wart und Turn und alles anders.
Doch zum nächsten Bäckerladen
Wand er sich nach Brot in Eile.—
Schelm! so rief der Bäcker, hast du,
Jüngling, einen Schatz gefunden!
Gib mir, dich verrät das Goldstück,
Mir die Hälfte zum Versöhnen!
Und sie hadern.— Vor den König
Kommt der Handel; auch der König
Will nur teilen wie der Bäcker.
Nun betätigt sich das Wunder,
Nach und nach, aus hundert Zeichen.
An dem selbsterbauten Pallast
Weiss er sich sein Recht zu sichern.
Denn ein Pfeiler durchgegraben
Führt zu scharfbenamsten Schätzen.
Gleich versammeln sich Geschlechter
Ihre Sippschaft zu beweisen.
Und als Ururvater prangend
Steht Jamblikas Jugendfülle.
Wie von Ahnherrn hört er sprechen
Hier von seinem Sohn und Enkeln.
Der Urenkel Schar umbiegt ihn,
Als ein Volk von tapfern Männern,
Ihn den jüngsten zu verehren.
Und ein Merkmal übers andre
Dringt sich auf, Beweis vollendend;
Sich und den Gefährten hat er
Die Persönlichkeit bestätigt.
Nun, zur Höhle kehrt er wieder,
Volk und König ihn geleiten.—
Nicht zum König, nicht zum Volke
Kehrt der Auserwählte wieder:
Denn die Sieben, die von lang her,
Achte warens mit dem Hunde,
Sich von aller Welt gesondert,
Gabriels geheim Vermögen
Hat, gemäß dem Willen Gottes,
Sie dem Paradies geeignet,
Und die Höhle schien vermauert.
【散文訳】
宮廷の六人の、皇帝の寵愛を受けたる者たちが
皇帝の憤激の余りに逃げ出すのだ
皇帝は、神として自ら崇められたる者であり
しかし、神だということを確かに証明している者ではない
というのは、一匹の蝿が、皇帝の
佳き食事を摂る喜びの邪魔をしているからだ。
皇帝の召使は、追い払い、追い払いしても
この蝿を追い払って、撃退することがない。
蝿は皇帝の周りをブンブンと言って飛び廻り、刺して、あちこちへと迷い
そして、食卓全部を混乱させて
再び、戻って行くのだ、意地の悪い
無花果(いちじく)の神の使節のように。
さて、さて、どうしたものか!と少年たちは独りごちる
一匹の小さな蝿は、神の邪魔をするものかな?
神は、また、飲んだり、食べたりするものかな?
わたしたちが、他の人たちのところでするように。いいや、唯一者は
太陽を創り、月をも創った方であり
星々の輝きを、我らが蒼穹に張り巡らした方である
それが、このお方だ、わたしたちの方が逃げるのだ!---柔らかい
音のせぬ金具の無い靴を履いた、皇帝に使えた少年たちを
羊飼いが受け容れて、匿(かくま)う
自分自身も一緒に、岩窟の穴の中に。
羊飼いの犬は、去ろうとはしない
去ることを厭い、足を粉砕して
自分の飼い主の元に身を押し寄せて
そうして、隠れる仲間に身を投ずる、即ち
眠りの(愛する)寵児たちへと。
さて、王侯は、子供達が逃げた当の者は
これらを愛する余りに怒り心頭に発して、罰することを思い
剣と火は使うなと命じて
洞窟の中に、少年たちを、煉瓦を使って
石灰を使って、洞窟をの入り口を塞いで壁をつくる。
しかし、少年たちはいつまでも眠り続ける
そして、天使が、その守護者が
神の玉座の前で報告することには、
右側はかくの如くに、左側はかくの如くにと
わたしはいつも、彼らを転々しましたので
美しい、若い四肢は
腐敗の芳香を傷つけることはありませぬ。
わたしは、巌の中に割れ目を裂いてつくりましたので
太陽が、昇り降りすると
若い頬を新鮮に新たにするのです。
そうして、彼らは、祝福されたまま眠ってをります。
勿論また、恢復した前足を枕に
あの子犬も、甘い眠りを眠ってをります。
幾星霜が去り、幾星霜が来て
ついに、少年たちは目覚める
そうして、壁は、腐敗していた
古びが故に、そして、崩れ落ちた。
そうして、ジャンブリカが言う、美しい
誰よりも陶冶されたジャンブリカが
羊飼いが、恐れながら、躊躇した時に:
わたしはひとっ走りして来る!そして、お前たちに食事を持って来る
勇気を出して生きてみよう、それに、この金貨があるではないか!
エフェススは、多年に亘って既に
預言者イエスの教えを尊んでいる
(安寧が善き人にありますように!)
さて、ジャンブリカは走った。門があった
望楼も塔も、他のすべてのものがあった。
しかし、直ぐ近くにあったパン屋の店に
急いで足を向けて、パンを求めた。
悪党め!とパン屋は叫んだ、お前は
若造め、俺様の作った有難いパンを見つけやがったな!
俺に寄越せ、その金貨のあることは知っているぞ
俺に半分を詫びを入れるために寄越すんだ!
そうして、二人は口論して争う。王の前に
訴訟は、出ることになり、王もまた
パン屋とただただ同じ意見を主張する。
さて、今や、奇蹟が起きて明らかになる
次第次第に、百の神威の印(しるし)の中から。
自分で建立した宮殿に拠って
王は、自分の正義を護ることができる。
といふのは、支柱が深く地中に埋め込まれていて
明らかに識別の文字の書かれている宝物へと通じているからだ。
直ちに、一族部族が集まる
その同じ血族たることを証明するために。
そして、先先代の父祖として光り輝いているのが
ジャンブリカといふ青春の充溢たる若者なのだ。
数々の父祖からのように、この若者は話を聞く
この地で、ここで、その息子と孫たちが話をするのを。
曾孫(ひまご)の軍隊が、若者を避けて通る
勇敢な男たちの一団として
若者を最も若い男として敬意を払って。
そうして、すべての他のひとたちの上を越える
印(しるし)が、押し寄せて来る、証明(しるし)を十分に満たしながら
自己と同行者たちに、若者は
その人間たること、その当人であることを証明したのだ。
さて、今や、洞窟へと、若者は再び向かい
民衆と王が若者に随行する。
王にではなく、民衆にではなく
この選び抜かれし者は、再び回帰する
なぜならば、七人は、長いことこの方
犬も入れれば八つのものであるが、
あらゆる世界から離れて
天使ガブリエルの密かなる能力が
神の意志に従い
これらの者を天国に捧げたのであり
そうして、洞窟は、塞がれて壁になっているように見えたからである。
【解釈と鑑賞】
これは、エフェススというトルコの地に伝わる七人の眠り者という伝説を詩にしたものです。英語でいうならば、Seven Sleepersということになります。
最後から二つ目の詩として、ゲーテが此の詩を置いたには、やはり理由があるでしょう。
ゲーテの此の世へのお別れの挨拶ともとることもできれば、これからも、そのように生きるという意味にも取ることができます。
最後の一行は、全く生と死と、この世とあの世を隔てる洞窟の壁が、塞がれて見えるとあるように、実際が塞がれているのかそうではないのか敢えて不分明に書いていて、そのお互いに通じていることを象徴させているのだと思います
これが、どのようなお話であるかは、この詩を読んで、ご想像下さい。
註釈によれば、パンを求めて洞窟を走り出るジャンブリカという若者は、六人の少年の中の最年長の少年ということです。
いよいよ、次回は、西東詩集の最後の詩『おやすみなさい』です。
この眠る七人の詩の後に、この題名の詩が来るのです。
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