2015年5月17日日曜日

【Eichendorfの詩117】 Sonette(ソネット) 2


Eichendorfの詩117 Sonette(ソネット) 
  

【原文】
Wir sind so tief betrübt, wenn wir auch scherzen,
Die armen Menschen muhen sich ab und reisen,
Die Welt zieht ernst und streng in ihren Gleisen,
Ein feuchter Wind verlöscht die lustigen Kerzen.

Du hast so schone Worte tief im Herzen,
Du weißt so wunderbare, alte Weisen,
Und wie die Stern am Firmamente kreisen,
Zehn durch die Brust dir ewig Lust und Schmerzen.

So laß dein' Stimme hell im Wald erscheinen!
Das Waldhorn fromm wird auf und nieder wehen,
Die Wasser gehen und einsam Rehe weiden.

Wir wollen stille sitzen und nicht weinen,
Wir wollen in den Rhein hinuntersehen,
Und, wird es finster, nicht von sammen scheiden.



【散文訳】

わたしたちは、かくも深く悲しい心だ、たとへ冗談を言つてゐても、
貧しい人間たちが、あくせく働いて疲れ切つて、そして旅に出る
世界は、真剣に、そうして力強く、その者たちの軌道を行く
一陣の湿つた風が、数々の陽気な蠟燭(ろうそく)を吹き消す

お前は、かくも美しい言葉の数々を、深くこころに抱いてゐる
お前は、かくも素晴らしい、懐かしい方法を知つてゐる
そうして、星々が、蒼穹を周回するやうに
お前の胸を通じて、永遠の愉悦と苦痛が行く。

だから、お前の声を、明朗に、森の中に出現せしめよ!
森の笛は敬虔にして、上へ下へと、風に吹かれて鳴り渡る
川の流れは行き、そうして、孤独に、野呂鹿たちは草を食む

わたしたちは、静かに座して、そうして、泣きはしない
わたしたちは、ライン河の中を見下ろして
そうして、真つ暗の闇になり行けど、わたしたちは分かれることは思はない。


【解釈と鑑賞】

A何某に寄せると題した詩の二つ目のソネットです。

この人間と二人で、どこかライン河を眺める高みにゐて、その時を過ごしたのでありませう。暗く、夜になるまで。

この世に生きることの悲しみと、神聖な森の中で鳴り響く狩りの笛の音が、ふたりの共有する世界なのであつたのでせう。


夜の中にゐても、分かれることのないことを知つてゐるふたりであると歌つてをります。

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