2015年5月23日土曜日

Europas Kuss (ヨーロッパの口づけ):第22週 by Rufin(西暦1世紀)


Europas Kuss (ヨーロッパの口づけ):第22週 by  Rufin(西暦1世紀)




【原文】

Europas Kuss ist,
auch wenn er nur
meine Lippen erreicht,
ganz und gar süß,
den Rand meines
Mundes berührt.

Sie aber berührt mich
nicht nur mit dem
Rand ihrer Lippen,
sondern sie presst
meinen Mund und zieht
meine Seele von den
Zehenspitzen herauf.



【散文訳】


ヨーロッパの口づけは
仮令(たとへ)彼女が只
わたしの唇(くちびる)だけに達してゐやうとも
実に実に甘く
わたしの唇の縁(まはり)にまで触れるのだ。

彼女は、しかし、わたしに触れる
ただ、その唇の縁(まはり)を以ってのみならず
わたしの唇に押し付け、そして
わたしの魂を
爪先立ちしてゐる其の爪先から上へと、連れて行くのだ。



【解釈と鑑賞】


この詩人の、Wikipediaはありませんでした。西暦紀元1世紀に生きた古代ギリシャの詩人です。

しかし、ドイツ語の世界で此の詩人を調べますと、やはり女性の好きな詩人であったものと見えて、やはり女性に恋する、それも相当に狂ほしい恋の歌を歌つてゐるやうであります。

上の詩でも、キスをするための部位として、口に関する言葉が三つ出てきます。

一つは、Lippen。これは、くちびるのことです。ふたつに上下に割れてゐるくちびるです。

den Rand meines Mundesといふのが二つ目。これは、くちびるも含んだ(変な言葉ですが)口周りのその縁(へり)といふ意味です。 

三つ目は、Rand ihrer Lippenです。これは、くちびるの縁(へり)であり、縁(ふち)といふ意味です。

ですから、この詩人の恋人は、この詩人に口づけするのに、くちびるーくちびるのキス、口周りへのキス、くちびるのへりへのキスと三つのキスを使い分けて、その愛情を此の詩人に伝へてゐるといふことになります。

古代ギリシャ人の口づけは、誠に洗練されてゐたものと見えます。

勿論、最後の連の最後の二行は、この女性が詩人に背伸びをして、その魂に口づけするのです。




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