【Eichendorfの詩90】Eldorado(黄金卿)
【原文】
Es ist von Klang und Düften
Ein wunderbarer Ort,
Umrankt von stillen Klüften,
Wir alle spielten dort.
Wir alle sind verirret,
Seitdem so weit hinaus
Unkraut die Welt verwirret,
Findt keiner mehr nach Hause.
Doch manchmal taucht’s aus Träumen,
Als leg es weit im Meer,
Und früh noch in den Bäumen
Rauscht’s wie ein Grüßen her.
Ich hoert den Gruss verfliegen,
Ich folgt ihm über Land,
Und hatte mich verstiegen
Auf hoher Felsenwand.
Mein Herz ward mir so munter,
Weit hinten alle Not,
Als ginge jenseits unter
Die Welt in Morgenrot.
Der Wind spielt’ in den Locken,
Da blitzt’ es drunten weit,
Und ich erkannt erschrocken
Die alte Einsamkeit.
Nun jeden Morgenschimmer
Steig ich ins Blütenmeer,
Bis ich Glücksel’ger nimmer
Von dorten wiederkehrt.
【散文訳】
響と芳香の在る
素晴らしい場所だ
静かな峡谷に絡(から)みつかれて
わたしたちは皆、そこで遊んだのだ。
わたしたちは皆、道に迷っているのだ
それ以来、かくも遠くへと出てきたのだ
雑草が生い茂って世界を乱雑にしている
もはや誰も家路を見つけることがない。
しかし、それでも、それは、時折に、数々の夢の中から浮かび上がる
恰も遥か海の中に在るかの如くに
そして、まだ早い時機には、木々の中で
挨拶であるかのように、それはさやけき音を立てる。
わたしは、その挨拶が空を飛び去る音を聞く
わたしは、国中を挨拶に従って行く
そして、登りすぎて、道を失う
高い巌(いわお)の壁の上で
わたしのこころは、かくも陽気であった
遥か、あらゆる苦難の後ろにあって
恰も彼岸へと没するかの如くに
世界が曙光の中で
風は、巻き毛の中で遊んでいた
すると、遥か下の方で稲妻が光った
そして、わたしは、はっきり知って驚いた
あの懐かしい孤独を
さてかうして、どの朝の光をも
わたしは登って、花盛りの海の中へと入って行く
わたしが、幸福至福の者が、決して二度と
そこから戻って来ることがなくなるまで。
【解釈と鑑賞】
アイヒェンドルフの黄金卿は、この詩ではただ、それと丈呼ばれています。
読者は、それが黄金卿であることを、詩の題名から知っているのみです。
このエルドラドは、高いところにあり、また同時に海の中にあるかの如くです。
そこでは、全くの孤独でありますが、しかし幸福至福である黄金卿なのです。
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