Alles Sinnen und Trachten(総てを感じ、そして努力すること):第47週 by Monika Rinck(1969ー )
2007年のフランクフルト書籍市での詩人
【原文】
die menschen waren schlechte dichter
und ihre Töchter trugen riesige Bastarde aus.
das ist das ende, beschied Gott im Himmel.
und kein Fünkchen Güte erhellte den pechschwarzen uferwall.
die Wasser stürzten.
(manch einer sagte sich:
bevor ich aus allen Tieren
paare bilde und verlade,
geh ich lieber unter.)
【散文訳】
人間たちは、出来の悪い詩人だった
そして、その娘たちは、巨大な私生児を月満ちるまで懐胎した。
これで、終わりだと、神は天国にゐて、さう命じた。
そして、どんな小さな火花としての善も、不運に黒い岸辺の壁を明るく照らすことはなかった。
川水は、墜落し、転覆した。
(幾多の男が独りごちた:
俺が、総ての動物の中から
幾つもの一組の雌雄(めすおす)を育て、そして積み込む前に
俺は、むしろ墜落し、没落し、滅亡するのだ。)
【解釈と鑑賞】
この詩人のWikipediaがあります。
http://de.wikipedia.org/wiki/Monika_Rinck
ドイツの詩人です。
第1連第2行で、「月満ちるまで懐胎した」と訳したドイツ語は、もうひとつの意味が掛けてあって、それは、詩作などを成熟するまで懐抱するという意味です。
人間はタチの悪い詩人であって、その娘たちは女であるから、更に妊娠をして、詩の私生児、私生児としての詩を月みちるまで懐胎して、産んだというのです。その子供たちは、巨人のように大きな子供たちであった。
この詩には、幾つもの掛詞が使われていて、この詩人の才能をよく示しています。
最初に述べた、月満ちての懐胎と詩作の成熟もさうですが、岸辺の壁と、そのあとの川の水、そして川の水の墜落と、最後の男の墜落と滅亡。そして、火花とpechschwarz(不運に黒い)と善と、更にこれらが岸辺の壁を全く明るくしないという否定的な関係。
これらの詩想は、すべて最初の一行から生まれています。即ち、
人間たちは、できの悪い詩人だったという、この一行です。
括弧の中にある最後の蓮を読むと、この女性は相当何か複雑な感情を男にも、女にも抱えていることが伺われます。
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