2014年11月29日土曜日

【Eichendorfの詩94】Frühe(朝まだき)


Eichendorfの詩94Frühe朝まだき)  
  

【原文】


Im Osten graut's, der Nebel fällt,
Wer weiss, wie bald sich's rühret!
Doch schwer im Schlaf noch ruht die Welt,
Von allem nichts verspüret.

Nur eine frühe Lerche steigt,
Es hat ihr was geträumet
Vom Lichte, wenn noch alles schweigt,
Das kaum die Höhen säumet


【散文訳】

東が白み、霧が落ちる
どのように直(ぢ)きに物事が生動するのかを誰が知らうか!(たれも知らない)
何と言っても、世界は、まだ、眠りの中に重く憩っているのだ
全てについて、何も感じることもなく。

ただ一羽の朝の雲雀が昇る
雲雀は何かを夢見たのだ
光について夢見たのだ、もしまだ全てが沈黙しているならば
高みを、ほとんど押し度止めることのない、あの全てが。


【解釈と鑑賞】

短い詩ですが、含蓄のある詩です。

このように歌われると、第2連の雲雀は既にもはや鳥である雲雀ではなく、それ以上の何かになって朝の霧と灰色の白んだ空間を昇って行くように見えます。

第2連では、その雲雀が夢を見ていると歌っている。それは、光についての夢を見ているのだという。何故ならば、まだ全てが朝まだき時間であって、沈黙しているからなのです。

ぢきに物事の生動することになる前の、それ以前の時間、というよりは、空間の中を昇る一羽の雲雀です。

この空間で沈黙するのは、全てであり、万有であり、これは、雲雀の飛翔して昇るその高さをほとんど押しとどめることがない。すなわち、高速で上昇することをゆるすのだと歌われております。

この詩は、何か言葉を超えた言葉以上の言葉になっております。


このような詩が、アイヒェンドルフという詩人の真骨頂なのだと思います。

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