【西東詩集57-9】 Vertrauter(信頼されたる者)
【原文】
DU HAST so manche Bitte gewährt
Und wenn sie dir auch schädlich war;
Der gute Mann da hat wenig begehrt,
Dabei hat es doch keine Gefahr.
【散文訳】
お前は、かくも多くの願いを叶えてやった
たとえ、それらの願いが、お前にも害をなそうとも
善なる男は、そこで、少なく求めた
だから、それは危険はないことだろう。
【解釈】
何故この詩句を、一連の箴言詩の連続のあとに、ここに持って来たのか。
この信頼される者という者が、この詩句を歌っているのか。それとも、この信頼せる者に対して、この詩の話者が語りかけているのか。
世間、世俗で、しかもワイマールの宮廷の政治家としても生きて来たゲーテにとっては、この箴言の巻の詩は、いづれも苦い経験と知識に裏打ちされたものであったでしょう。政治の世界ですから、裏切りもあり、誹謗中傷もあったことでしょう。
しかし、そのような世の中にあって、尚、信頼をおくに足る人間がいたというのです。それが、このVertrauter、信頼される男という題名にして、この男に話をさせた、この詩なのだと思います。
とすると、やはり、この信頼される者という者が、この詩句を歌っているのだということになります。
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