【西東詩集57-7】 Buch der Sprüche(箴言の書)
【原文】
WER auf die Welt kommt baut ein neues Haus,
Er geht und lässt es einem zweiten,
Der wird sich's anders zubereiten,
Und niemand baut es aus.
HERR! lass dir gefallen
Dieses kleine Haus,
Groessre kann man bauen,
Mehr kommt nicht heraus.
DU BIST auf immer geborgen,
Das nimmt dir niemand wieder:
Zwei Freunde, ohne Sorgen,
Weinbecher, Buechlein Lieder.
》WAS brachte Lokman nicht hervor,
Den man den garstgen hiess!《
Die Süßigkeit liegt nicht im Rohr,
Der Zucker der ist Süß.
HERRLICH ist der Orient
Uebers Mittelmeer gedrungen;
Nur wer Haffs liebt und kennt
Weiss was Calderon gesungen.
》WAS schmückst du die eine Hand denn nun
Weit mehr als ihr geburhrte?《
Was sollte denn die linke tun,
Wenn sie die rechte nicht zierte?
【散文訳】
この世に来る者は、新しい一個の家を建てる
この者は往き、そして、その家を二人目の者に委ねる
二人目の者は、違った風に家を手を入れて
そして、誰も家を拡張することがない。
主よ!お気にめしますよう
この小さな家が
より大きな家々を、世間のひとは建てることができますが
それ以上のものは、何もそこからは出て来ないのです。
お前は、永遠に庇護され、隠されているのだ
それをお前から、誰も再び取戻すことはできない:
二人の友、心配もなく
葡萄酒の盃、小さな歌の本
》ロクマンは何も創造しなかっただろうか
世間が最も厭わしい者と呼んだあのロクマンが!《
甘味は(芦のような植物の)管の中にはないのだ
甘いのは、砂糖なのである。
素晴らしいのは、オリエントである。
地中海を超えて迫って来る
ハーフィスを愛し、ハーフィスを知る者のみが
カルデロンが歌ったものを知っているのだ。
》お前、片方の手は、一体こうして今
その手に相応しい以上の何を以て飾るというのか?《
一体左手は何をすべきなのか
もしその手が右手を飾ることがないならば?
【解釈】
第3連の詩は、いい詩です。このような詩を私は好むのだということが判ります。
第4連のLokmanという男性の名前は、トルコによくある名前のようです。註釈によれば、賢者であり、伝説的な寓話作家であり、コーランの中の1章において褒め称えられているという人物です。
第5連のカルデロンとは、17世紀のスペインのバロック精神の詩人であり劇作家です。このWikipediaの記述を読むと、実に優れた芸術家であったことがわかります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ペドロ・カルデロン・デ・ラ・バルカ
わたしの西東詩集の註釈には、次のようなゲーテによる、カルデロンの翻訳者に当てた感謝の言葉が載っています。カルデロンもまた、ペルシャやイスラムの世界を舞台にした、或いはそれに色濃く通じる戯曲や詩を書いたのでしょう。以下、註釈の訳出です。
「カルデロンは、偉大なスペインの劇作家(1600-1681)であり、ゲーテはワイマール劇場用にその作品を新たに活かすことを試みた。この詩人の翻訳者に対して、ゲーテは(1816年5月29日付で)次のように書いている:わたしのオリエントでの滞在は、わたくしには、そのアラビア風の教養を拒否しない素晴らしいカルデロンを、ただただ更に価値あるものと致します。それは丁度ひとが、高貴な族長たちを、その品位ある孫達の中に、よろこんで再び見出し、そして不思議に思い、驚くようなものです。」
最後の連は、いづれの場合にも、誰と一緒に仕事をしても、そのひとのこころの在り方を歌っているように思われます。
0 件のコメント:
コメントを投稿