2012年6月25日月曜日

【Eichendorfの詩1】Wanderlieder (旅の歌)


【Eichendorfの詩1】Wanderlieder (旅の歌)

【原文】


Wanderlieder

Viele Boten gehen und gingen
Zwischen Erd und Himmelslust,
Solchen Gruss kann keiner bringen,
Als ein Lied aus frischer Brust 



【散文訳】

旅の歌

多くの使者たちが行く、そして行ったものだ
地上と、天の喜びの間を
だれも、そんな挨拶を運んで来ることができない
新鮮な胸から生まれたひとつの歌以外には


【解釈と鑑賞】

これは昨日アメリカのamazon.comのeBookで購入したアイヒェンドルフの詩集、Gedichte (1841年刊行)の最初の詩です。

著作権が切れており、また電子書籍ですので、ゼロドルでした。凄い時代になったものです。

この詩人の散文の作品も、主人公は旅をしているものが多いのではないかと思います。

わたしがこの詩人を思い出し、その詩を読んで、改めて感銘を受けたのは、昨年のドイツ語詩53週のカレンダーの「Weihnachten」(クリスマス、またはクリスマスの夜、あるいは聖夜)を読んだときでした。素晴らしい詩なので、ここにURLアドレスを置き、お読み戴ければと思います。

http://shibunraku.blogspot.jp/2011/12/weihnachten52.html

さて、この詩の題名は、旅の歌ではありますが、原文では歌という名詞は複数形になっています。

即ち、地上と天上の喜びの間を行き来する使者の数程に、旅の歌があるという意味なのでしょう。

その旅の歌という歌すべてに対抗して、唯一新鮮な胸から生まれるひとつの歌が均衡しているという構成になっています。

そのような歌というものが、どのような歌であるのか、その解釈は読者に委ねられています。

新鮮な胸から生まれる歌の齎す挨拶。

詩人は、新鮮な、frischという形容詞に深い意味を持たせています。

これから、毎週週末にアイヒェンドルフの詩を、この詩集から、長短に拘らず一篇訳し、解釈と鑑賞をしたいと思います。





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