2012年6月27日水曜日

【Eichendorfの詩2】Frische Fahrt (新鮮な舟旅)


【Eichendorfの詩2】Frische Fahrt (新鮮な舟旅)

【原文】

Frische Fahrt

Laue Luft kommt blau geflossen,
Fruehling, Fruehling soll es sein!
Waldwaerts Hoernerklang geschossen,
Mut'ger Augen lichter Schein;
Und das Wirren bunt und bunter
Wird ein magisch wilder Fluss,
In die schöne Welt hinunter
Lockt dich dieses Stromes Gruss.

Und ich mag mich nicht bewahren!
Weit von euch treibt mich der Wind,
Auf dem Strome will ich fahren,
Von dem Glanze selig blind!
Tausend Stimmen lockend schlagen,
Hoch Aurora flammend weht,
Fahre zu! ich mag nicht fragen,
Wo die Fahrt zu Ende geht!



【散文訳】

新鮮な舟旅

穏やかな気持ちのよい空気が、青く流れてやって来る
春だ、春が来たに決たのだ!
森の方で、角笛の響きが放たれ
その気満々の目の明るい輝き
そして、混乱が多彩に乱れ、もっと乱れて
魔的な野生の川になり
美しい世界の中へと入って行って
お前を、この流れの挨拶が誘惑するのだ。

そうして、わたしは自分自身の身を守りたいとは思わない!
お前達から遥かに、わたしを風が追いやり
流れの上を、わたしは船に乗って行くのだ
輝きのために、至福に盲(めし)いて!
幾千の声が誘惑しながら激しく響いている
高くオーロラが燃えてたなびく
そこへ船で行けよかし! わたしは問いたくないのだ
船の旅がどこで終わりになるのかを!


【解釈と鑑賞】

このGedichteと題された詩集には目次がなく、今この詩集の目次の全体をみることができないのですが、しかし、二つ目の詩を訳そうとして気がついたのですが、前回Wanderliederという題名として訳した4行詩は、正確には、「1. Wanderlieder」と題されていて、即ち、この詩集の第1章という意味であり、その章全体の名前なのでした。

更に即ち、前回の詩は、言わば、旅の歌という章のエピグラムというわけでした。

ですから、前回の詩のこころは、これから地上と天上を行き交う使者の歌をお届けします、という意味だったのです。そうしてまた、そのような使者の詩はいづれも、新鮮な胸からでなければ生まれて来ないという詩であったのです。

以上のことを、ここに訂正して、改めて、最初のこの「新鮮な旅」と題された詩を読むことにします。いづれの詩も、新鮮なこころから生まれた詩。そして、その最初の詩です。

Frische FahrtのFahrtは、船に乗って行く事をいっていますので、新鮮な船の旅という訳になるでしょう。

新鮮なとは、この詩を読みますと、春のという言葉と同義です。

春は、惑い、混乱の季節である。

空気、風、角笛、森、混乱、川、世界、流れ、挨拶、船、輝き、至福、盲目、誘惑、声、オーロラ、終わり

と詩の中から、これらの言葉を抜き出して並べてみると、この旅の詩人の世界を、またこの旅の詩を理解することができるのではないでしょうか。






0 件のコメント: