2012年6月19日火曜日

【番外篇】ゲーテの西東詩集 (Divan)からIm gegenwaertigen Vergangnes


【番外篇】ゲーテの西東詩集 (Divan)からIm gegenwaertigen Vergangnes

【原文】

Im gegenwaertigen Vergangnes

Ros' und Lilie morgentaulich
Blueht im Garten meiner Naehe,
Hinten an bebuscht und traulich
Steigt der Felsen in die Hoehe.
Und mit hohem Wald umzogen,
Und mit Ritterschloss gekroenet,
Lenkt sich hin des Gipfels Bogen,
Bis er sich dem Tal versoehnet.

Und da duftets wie vor alters,
Da wir noch von Liebe litten,
Und die Saiten meines Psalters
Mit dem Morgenstrahl sich stritten.
Wo das Jagdlied aus den Bueschen
Fuelle runden Tons enthauchte,
Anzufeuern, zu erfrischen
Wie's der Busen wollt und brauchte.

Nun die Waelder ewig sprossen
So ermutigt euch mit diesen,
Was ihr sonst fuer euch genossen
Laesst in anderen sich geniessen.
Niemand wird uns dann beschreien
Dass wirs uns alleine goennen,
Nun in allen Lebensreihen
Muesst ihr geniessen koennen.

【散文訳】

現前する過去の中で

薔薇と百合が朝露に濡れて
わたしのそばの庭で咲いている
後ろ直ぐには灌木が茂り、気持ちよく伸び伸びと
絶壁が高く聳えている。
そして、木々の高い森に囲まれて
そして、騎士の城を頂上に戴いて
山巓(さんてん)の弓なりの線は、続いている
絶壁が谷と仲良くなるところまで

すると、そこには、昔のように薫り立ち
わたしたちがまだ恋に苦しみ
そこでは、わたしの竪琴の弦が
朝日と争っていた。
狩りの歌が灌木の中から
満ち足りた丸い音を吐き出して
胸が欲し、必要とするままに
火をつけ、新たにした、そこでは。

こうして振り返ると、森という森は永遠に芽吹いたのだ
だからかくもこれらの森で勇を鼓せよ
お前達がかつては自分自身のために味わったことが
他の者たちの中で、享受されるのだ。
だれもだから、わたしたちのことを
自分たちだけに恵んでいるのだといって
罵り叫ぶことはないだろう
こうして振り返ると、すべての人生の順番で
お前達は味わうことができる筈なのだから。

【解釈】


何故か、この詩を思い出し、20代初めに読んで、意味の解らなかった連が、いよいよこの歳になって、実感として理解できるようになったということなのだと思う。

特に最後の連の最後の2行が思い出深い。

西東詩集を教わった当時の先生に、わたしがこの2行は今のわたしにはわからないなあと言ったら、そうだろうと返されたが、なに、その先生も、今思えば、まだ30歳を少し出ただけであったのにと、懐かしく思い出される。

Bill EvanceのBlue Monkを聴きながら訳してみる。

この西東詩集は、ゲーテの最晩年の詩集で、素晴らしい詩集です。中世のペルシャに詩人ハーフィスに我が身を仮託し、恋人のマリアンネをハーフィスの恋人ズーライカに擬して、ペルシャの世界と当時の現代の自分の人生を二重写しにしてみせた詩集です。

当時、全く散文的な世界に生きていたわたしが、唯一理解していた詩の世界です。

こうしてみると、詩文も散文もなく、やはり芸術のエッセンスが凝縮している世界であったからでしょう。

全く、人生は繰り返しています。

最後になりましたが、ゲーテのWikipediaです。

http://ja.wikipedia.org/wiki/ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ

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