2012年6月3日日曜日

第24週:norbert von xanten (ノルベルト・フォン・クサンテン) by Norbert Hummelt (1962 - )



第24週:norbert von xanten (ノルベルト・フォン・クサンテン) by Norbert Hummelt (1962 -  ) 

【原文】

norbert von xanten

hl. norbert bitte für mich
an deinem todestag ich denke nur an dich
der du wie die legende will
konntest als junker machnen schluck vertragen
bis du im walde fast vom blitz erschlagen
hl. norbert bitte für mich
der du wie die legende will
konntest auf heilignuechternen magen
selbst jene giftige spinne vertragen
welche dir unter den einsetzungsworten
fiel in den kelch den du leertest auf ex..
u. die legende will es dass die spinne kroch
ohne dir weh zu tun aus deinem nasenloch..
hl. norbert wie werd ich asket
hl. norbert es ist schon spät
hl. norbert bitte für mich
an meinem namenstag ich denke nur an dich


【散文訳】

ノルベルト・フォン・クサンテン
(クサンテンのノルベルト)


聖人ノルベルトよ、どうかわたしのために嘆願してくれ
お前の死んだ日に、わたしはただお前のことを思うから
伝説のようにありたいと思い
森の中でほとんど電光に打ち殺されるまで
ユンカーとして幾多の酒の一気飲みに堪えることができたお前を思うから
聖人ノルベルトよ、どうかわたしのために嘆願してくれ
伝説のようにありたいと思い
神聖なほど冷静な胃袋で
あの毒蜘蛛、聖体制定の言葉の最中に、お前が乾杯をして一気に飲み干したそのお前の杯の中に落下したあの毒蜘蛛にさえ堪えることができたお前聖人ノルベルトよ
そして、伝説は、その蜘蛛が這って
お前に苦痛を与えずに、お前の鼻の穴から出て来るという事を欲するのだ。
聖人ノルベルトよ、どうしたらわたしは禁欲者になれるのだろうか
聖人ノルベルト、もう遅いよ
聖人ノルベルトよ、どうかわたしのために嘆願してくれ
わたしの聖名祝日に、わたしはお前のことだけを思うから


【解釈と鑑賞】

この詩人のドイツ語のWikipediaです。

http://de.wikipedia.org/wiki/Norbert_Hummelt

詩の題名であるvon XantenのXantenという地名についての日本語のWikipediaの記述をお読み下さい。

http://ja.wikipedia.org/wiki/クサンテン

一部引用しますと、

クサンテンとは、オランダ国境に近く、ライン川左岸に位置する小さな町。

クサンテンとは、聖者達の場所という意味とのことです。

聖ヴィクトル大聖堂の守護聖人ヴィクトルは、キリスト教徒の大迫害で知られるディオクレティアヌス帝の時代に、クサンテンの近くで殺害されたとされる。現在は大聖堂の前にヴィクトルの立像が飾られている。

クサンテンは、ブルグント族の英雄叙事詩に基づいて作られたワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』に登場するジークフリートの生誕地ともされている。
と、またこのような土地、このような町です。

クサンテンという地名を思ったのは、ここが殉教者の土地だからかも知れません。

しかし、いづれにせよ、聖人ノルベルトというひとは、11世紀の後半から12世紀の始めに歴史に存在した信心深い僧侶でした。これは、実在の人物です。

とはいえ、その事蹟を読んでも、この詩のように、毒蜘蛛が鼻の穴から出て来たというような話はありません。

ですから、クサンテンの聖人ノルベルトが実際にいたかはわかりません。

この詩で歌われている聖人ノルベルトを実在の人物ととるもよし、仮構の人物ととるのもよし、だと思います。

何しろ、これは詩の世界、文学の世界のことですから。

ユンカーが何故酒を一息で呑むことに堪えなければならないのか、これがよくわかりません。ご存知の方がいれば、お教え下さい。

また、この詩は、本歌取りの詩で、何かの典拠のパロディーになっているのだと思います。本歌をご存知のかたがいらしたら、お教え下さい。

詩中の聖名祝日とは、当人と同じ名前の聖徒の日、ということです。






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