【西東詩集53-7】 Buch des Unmuts(不満の書)
【原文】
MEDSCHNUN heisst―ich will nicht sagen
Dass es grad' ein Toller heisse;
Doch ihr müsst mich nicht verklagen
Dass ich mich als Medschnun preise.
Wenn die Brust, die redlich volle,
Sich entladet euch zu retten,
Ruft ihr nicht: das ist der Tolle!
Holet Stricke, schaffet Ketten!
Und wenn ihr zuletzt in Fesseln
Seht die Kluegeren verschmachten,
Sengt es euch wie Feuernesseln
Das vergebens zu betrachten.
【散文訳】
メデゥシュンという者は―わたしは言いたくはないのだが
それはまさしく一人の気違いの名前だということを;
しかし、お前達は、わたしを告発する必要はないのだ
わたしが我が身をメデゥシュンとして褒めることを。
もし胸が、この誠実で一杯の胸が、
お前達を救うために爆発するならば
お前達は叫んではならないのだ:そいつがその気違いだ!
縄を持って来い、鎖を持って来い!、と。
そして、もしお前達の方こそ遂には頸城(くびき)に捕われて
より聡明な者達が衰弱するのをみるならば
それは、お前達自身の身を、炎の刺草(いらくさ)のように、焼くのだ
それを観察しても無駄なことだ。
【解釈】
註釈によれば、MEDSCHNUN(メデゥシュン)という名前は、男性の名前で、もうひとつの女性の名前であるLeila(ライラ)という名前と一対になって、素晴らしい恋人同士の典型で、ペルシャの世界では、あるようです。
ゲーテは、そのような典型的な恋人(男性)に自らを比したのです。
そうして、その年齢から言って、70歳を超えているのに恋をすることを悪く言う世間に対して、これに反論をし、否定をしています。
メデゥシュンは気違いだという言い方に、ゲーテの感情の激しさを知ることができます。
最後の一行は、ゲーテが観察しても無駄だという意味にとります。しかし、また、世間の人間が自分の身を焼く事を観察しても無駄だともとることができます。
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