26. MAI:Der Körper ist der Grund der Liebe(体は愛の基礎)by Jehuda Amichai
【原文】
Der Körper ist der Grund der Liebe.
Danach ist er die Burg, die sie bewahrt.
Danach ist er der Kerker der Liebe.
Doch stirbt der Körper , tritt die Liebe aus ihm heraus,
frei und in großer Fülle,
wie ein Glücksautomat, der zersprungen ist,
und mit einem Mal spuckt er
ratternd alle Münzen
aller Glücksgenerationen
aus.
【散文訳】
体は、愛の基礎である。
そのあとで、体は、愛が守るお城となるのだ。
そのあとで、体は、愛の牢獄となるのだ。
しかし、体は死に、愛は体から外へと出て行く、
自由に、そして大いなる充溢の中を、
丁度、破壊されて粉々になつた、幸せ自動販売機のやうに、
そして、一度きに、この幸せ自動販売機は、吐き出すのだ
カタカタ音を立てながら、総ての硬貨を
幸せだといふ総ての世代たちの総ての硬貨を
一気に吐き出すのだ。
【解釈と鑑賞】
ドイツ系ユダヤ人の詩人です。
ドイツ語のWikiです:
人間の愛は、体あつてのもの種である。
さうして、体は城にも牢獄にもなる。さうして、体には寿命があり、死ぬと愛は自由になるといふ。
ここまでは、何か、私たち日本人にもあり得るやうな発想です。しかし、その後の、体が幸せ自動販売機だといふ隠喩は奇抜です。しかも、死んだ体は、壊された自動販売機で、壊れてゐるが故に、
「幸せだといふ総ての世代たちの総ての硬貨を
一気に吐き出す」
といふのです。
かうして考へますと、奇抜であるのは、愛を貨幣と等価で考へてゐるからでせう。しかも、等価になるのは、体が死んでからだといふ。普通は、生きてゐる間の体の中の愛は、いやお金では買へないと、通俗の人間はいふであらう、しかし、死んだらどうなるのだ?死んでしまつた体の中から抜け出して自由になつた愛は、実は「幸せだといふ総ての世代たちの総ての硬貨を/一気に吐き出す」のだ。
つまり、その時に初めて、愛の棲んでゐた体とは、幸せ自動販売機だと、人は知るのだ。既にそれは壊れて粉々になつてしまつてゐるのだけれども。つまり、その自動販売機には、もはや愛は棲んではゐないのだけれども。
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