2016年5月22日日曜日

22. MAI:Wer wußte je das Leben recht zu fassen(一体今までに誰か人生をきちんと掴まえへた奴がゐるのか)by August von Platen

22. MAI:Wer wußte je das Leben recht zu fassen(一体今までに誰か人生をきちんと掴まえへた奴がゐるのか)by  August von Platen





【原文】

Wer wußte je das Leben recht zu fassen,
Wer hat die Hälfte nicht davon verloren
Im Traum, im Fieber, im Gespräche mit Toren,
In Liebesqual, im leeren Zeitverprassen?

Ja, der sogar, der ruhig und gelassen,
Mit dem Bewußtsein, was er soll, geboren,
Frühzietig einen Lebensgang erkoren,
Muß vor des Lebens Widerspruch erblassen.

Denn jeder hofft doch, daß das Glück ihm lache,
Allein das Glück, wenn’s wirklich kommt, ertragen,
Ist keines Menschen, wäre Gottes Sache.

Auch kommt es nie, wir wünschen bloß und wagen:
Dem Schläfer fällt es nimmermehr vom Dache,
Und auch der Läufer wird es nicht erjagen.


【散文訳】

一体今までに誰か人生をきちんと掴まえへた奴がゐるのか
その半分を失った奴は誰だ?
夢の中で、熱に浮かされて、愚か者たちとの会話で
愛の苦悶の中で、むなしい時間の浪費の中で、失った奴は?

さうさ、おまけに、平然とし、悠然として、
自分が、生まれた以上は、早い時期に人生の行路を、
どうしても選ばねばならぬといふ意識でゐる奴なんぞは、
ざまあみろ、人生の矛盾の前で青ざめねばならないのさ。

といふのは、何といつても、誰もがかう思つてゐるからさ、
幸せは自分に笑ひかける、と
しかし、幸せといふ奴は、もし実際に来たとしたら、それに堪えるといふこと、
これは、人間の問題ではなく、神さま(Gott)次第の事だらう。

幸せが決して来ないといふならば、我々は唯願ふのみで、そして勇気を出すのだ、即ち、
眠る者には、もはや断じて、幸せが棚からぼた餅といふことはない、
そして、走る者も、幸せを狩りで追いかけても捕らへられない、と願ふ勇気を。


【解釈と鑑賞】

この詩人のドイツ語のWikiです:


これには、

Karl August Georg Maximilian Graf von Platen-Hallermünde - auch „[...] von Platen-Hallermund“ und kurz „August von Platen“ - (* 24. Oktober 1796 in Ansbach, Ansbach-Bayreuth; † 5. Dezember 1835 in Syrakus, Königreich beider Sizilien) war ein deutscher Dichter. Oft wird er August Graf von Platen oder schlicht Graf Platen genannt.

とありますので、生まれ育ちはドイツのアンスバッハといふフランケン族の土地、没っした地はシシリアのシラクサといふ人生は、数奇な、普通の人とは異なる人生であつたことを思はせます。

確かに、この詩の歌ふところでありませう。

蛇足ですが、ドイツ語から割合に直訳調にfassenを「掴まえる」と訳しましたし、それは間違つてをりませんが、これの意味するところを他の日本語で言ひ換えれば、理解をするといふ事です。即ち、人生とは何かといふ問ひに、日常の実感を以つて回答する事です。

最後の連の、

眠る者には、もはや断じて、幸せが棚からぼた餅といふことはない、

と訳したところの「棚からぼた餅」といふのは、ドイツ語を其の儘に訳すると、幸せが屋根から落ちれくる事はないといふ訳になります。

この原文を読んで、私の思ふのは、それは農家の屋根で、その下にあつて本来は仕事をして、土地に鋤(すき)を入れたり、耕したりして額に汗しなければならないものを、屋根の下で日向ぼっこでもして眠りこけてゐる奴などには、幸せはやつて来ないといふ意味でありませう。



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