【Eichendorfの詩82】Rückblick(回顧)
【原文】
Ich wollt im Walde dichten
Ein Heldenlied voll Pracht,
Verwickelte Geschichten,
Recht sinnreich ausgedacht.
Da rauschten Baeume, sprangen
Vom Fels die Baeche drein,
Und tausend Stimmen klangen
Verwirrend aus und ein.
Und manches Jauchzen schallen
Liess ich aus frischer Brust,
Doch aus den Helden allen
Ward nichts vor tiefer Lust.
Kehr ich zur Stadt erst wieder
Aus Feld und Wäldern kühl,
Da kommen all die Lieder
Von fern durchts Weltgewueht.
Es hallen Lust und Schmerzen
Noch einmal leise nach,
Und bildend wird im Herzen
Die alte Wehmut wach,
Der Winter auch derweile
Im Feld die Blumen bricht―
Dann gibt’s vor Langeweile
Ein überlang Gedicht!
【散文訳】
わたしは森の中で詩作したいと思った
壮麗で一杯の英雄の歌を
込み入った歴史や物語を
正に意味深く考え出したそれらの話を
そこでは、木々がさやけき音を立てた
岩から、幾つもの川が、その中へと飛び込んだ
そして、千の声が鳴り響いた
混乱させながら、出たり入ったりして
そして、幾多のヤッホーという声が鳴り響かせた
わたしの新鮮な胸の中から
しかし、とはいへ、英雄皆の中からは
深い悦びの余り、何も生まれなかった。
わたしは、やっと再び、町に戻る
涼しい野原と森の中から
するとそこに、すべての歌がやって来る
遠くから、世間の雑踏を通して
陽気と苦痛とが残響する
もう一度微かに
そして、こころの中では、何かを造形しながら
古い哀愁が目覚める
冬もまた、その間に
野原で花々を折る
すると、退屈の余り
長過ぎる詩が生まれる!
【解釈と鑑賞】
やはり、アイヒェンドルフの詩作をするのは、森の中でした。他の詩の中では、森の大広間とも言っておりました。
木々はさやけき音を立て、小川は流れ、木々の音と交わる。
前半の連の最後に、深い悦びの余りに、英雄達の中からは何も生まれなかったというこの二行と、後半の連の最後の、退屈の余り長過ぎる詩が生まれるという二行は、対応し、照応し合っています。
前半の最後の二行は何を言っているのでしょうか。自分の詩の中に登場する英雄達の中からは、深い悦びの余り何も生まれなかった、或いは、無が生まれた。と、日本語では言い換えることができます。
後半の連では、冬が来て、野原の花を折るのですが、ここでは、やはりドイツの中世の町の城郭の外に、野原があるという景色を想像して下さい。町との対比で歌われる野原は、いつもこの景色の中で歌われるのです。
他の色々なこの詩人の詩を読むと、町の中に詩人が戻っていると、そうして野原へ出て、このような哀愁を思い、詩が生まれるようです。
しかし、その詩は長過ぎると言っているので、やはり森の中での詩とは違って、良い詩ではないのでしょう。或いは、そこまでは、言っていないのかも知れません。
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