2014年9月20日土曜日

【西東詩集86】 BUCH SULEIKA


【西東詩集86】 BUCH SULEIKA


【原文】

BUCH SULEIKA

ICH moechte  dieses Buch wohl gern zusammenschürzen,
Dass es den andern wäre gleich geschnürt.
Allein wie willst du Wort und Blatt verkürzen,
Wenn Liebeswahnsinn dich ins Weite führt?


AN VOLLEN Bueschelzweigen,
Geliebte, sieh nur hin!
Lass dir die Früchte zeigen
Umschalet stachlig-gruen.

Sie haengen laengst geballet,
Still, unbekannt mit sich,
Ein Ast der schaukelnd wallet
Wiegt sie geduldiglich.

Doch immer reift von Innen
Und schwillt der braune Kern,
Er moechte Luft gewinnen
Und saeh die Sonne gern.

Die Schale platzt und nieder
Macht er sich freudig los;
So fallen meine Lieder
Gehaeuft in deinen Schoss.



【散文訳】

ズーライカの巻

わたしは、この書物を、きっと喜んで、糸を通して一つに結びたいのだ
即ち、他のひとたちには、恰も一本の糸で結ばれているかのように。
しかし、お前は、どのように、言葉と紙を切り詰めるつもりなのか
愛の狂気が、お前を遥か彼方へと連れて行くならば?

一杯に満ちた灌木の枝々に
愛する者よ、ただあそこを見てご覧!
お前のために果実の数々を示させよう
刺のある緑色に外皮で包まれている果実を。

それらの果実は、長いこと、丸くなったまま、枝に下がっている
静かに、自分自身のことにも無知のままに
一本の大枝、左右に揺れ乍ら膨らむ大枝が
果実を忍耐強く、揺籃している。

勿論、いつも熟れるのは、内側からなのであり
そして、茶色の芯が膨れ上がり
それは、(外の)空気を獲得したいと思い
そして、太陽をよろこんで見ることになるだろう。

外皮が、音立てて割れ、そして下へと
芯は歓びながら、我が身を放って落とすのだ:
かのように、わたしの歌の数々も、下に落ちて
お前の膝の中に、堆積するのだ。


【解釈と鑑賞】

最後の連の最後の二行の、

So fallen meine Lieder
Gehaeuft in deinen Schoss.

かのように、わたしの歌の数々も、下に落ちて
お前の膝の中へと、堆積するのだ。

と歌われる、お前の膝、ドイツ語のSchossは、他の詩でもそうですが、性的な含意があって、お前の性愛の中へと、わたしの詩が実り落ちて堆積するのだと理解しても、いつも、間違いではありません。


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