2014年9月6日土曜日

【西東詩集84】 Hatem


【西東詩集84】 Hatem


【原文】

Hatem

LOCKEN! haltet mich gefangen
In dem Kreise des Gesichts!
Euch geliebten braunen Schlangen
Zu erwidern hab’ ich nichts.

Nur dies Herz es ist von Dauer,
Schwillt in jugendlichstem Flor;
Unter Schnee und Nebelschauer
Rast ein Aetna dir hervor.

Du beschämst wie Morgenröte
Jener Gipfel ernste Wand,
Und noch einmal fühlet Hatem
Frühlingshauch und Sommerbrand.

Schenke her! Noch ein Flasche!
Diesen Becher bring ich Ihr!
Findet sie ein Häufchen Asche,
Sagt sie: der verbrannte mir.


【散文訳】

誘惑!これがわたしを虜にし続けるのだ
あの顔の円環の中に!
お前達に、愛された茶色の蛇に
答えるべき何ものも、わたしは持ってはいない。

ただ、この心臓だけが、続いていて
最も若い花盛りの中で膨(ふく)れ上がる
雪と霧の驟雨の下で
一つのエトナ火山が、お前の前に現れ、憩っている。

お前は、朝日のように、恥ずかしめ、赤面させる
あの山頂の真剣な壁を
そして、もう一度、ハーテムは感じるのだ
春の息吹と夏の情熱を

さあ、酒を注(つ)げ!もう一壜を持って来い!
この盃を、わたしはズーライカに持参するのだ!
ズーライカは、小さな灰の一山を見つけて
こう言うのだ:あの人は、わたしのせいで灰になり、
わたしのものになった、と。



【解釈と鑑賞】

「愛された茶色の蛇」には、論理的に解釈をすると、ふたつあり得て、ひとつは、顔の中にこれらの「愛された茶色の蛇」が居るということ、もうひとつは、「愛された茶色の蛇」とは、前の詩で歌いかけて来た娘達であるということです。

後者の意ととることにします。

しかし、何故これら娘である蛇達の色が茶色なのでしょうか。それは、多分詩人の愛するズーライカの色とは違って、くすんだ色をしているからでしょう。ズーライカに劣っているといいたいのです。

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