2014年1月1日水曜日

【西東詩集57】 Buch der Sprüche(箴言の書)


【西東詩集57】 Buch der Sprüche(箴言の書)


【原文】

TALISMANE werd' ich in dem Buch zerstreuen,
Das bewirkt ein Gleichgewicht.
Wer mit gläubiger Nadel sticht
Überall soll gutes Wort ihn freuen.

VOM heutigen Tag, von heutiger Nacht
Verlange nichts
Als was die gestrigen gebracht.

WER geboren in boes'sten Tagen
Dem werden selbst die bösen behagen.

WIE etwas sei leicht
Weiss der es erfunden und der es erreicht.

DAS Meer flutet immer,
Das Land behaelt es nimmer.

WAS wird mir jede Stunde so bang?―
Das Leben ist kurz, der Tag ist lang.
Und immer sehnt sich fort das Herz,
Ich weiss nicht recht ob himmelwärts;
Fort aber will es hin und hin,
Und möchte vor sich selber fliehen.
Und fliegt es an der Liebsten Brust
Da ruhts im Himmel unbewusst;
Der Lebe-Strudel reisst es fort
Und immer hängts an Einem Ort;
Was es gewollt, was es verlor
Es bleibt zuletzt sein eigner Tor.


【散文訳】

護符を、わたしはこの書の中に散りばめるだろう
それが、ひとつの均衡(バランス)を生み
信心深い針を以て刺す者は、
至るところで、善き言葉が、その者を喜ばせることになりますように。

今日の日に、今日の夜に
何も求めるな
昨日の日々がもたらしたもの以外のものを。

最も空くしのある日々の中に生まれた者。
その者には、悪意ある人々でさへ、心地よいものになるのだ。

何かが軽いということがあれば、それがどのように軽いのかを
それを発明した者は知り、それに至った者は、それを知るのだ。

海はいつも満潮になり
陸は、いつもそれを決して持つ事がない。

どの時間もわたしには不安になるのは何が不安なのか?
人生は短く、日は長い。
そして、いつも、先へ先へと心臓が憧れて
わたしは、どちらが天国への方角なのかがよくわからなくなる;
先へと、しかし、心臓は、先へ先へと行きたいのだ
そして、前へ前へと逃げたいのだ
そして、心臓は、最も愛する女性の胸で憩うのだ;
生きることの渦巻きが、心臓を先へと裂いてしまい
そして、いつも、心臓は、ある一つの場所に掛かっているのだ;
心臓が欲したものも、喪ったものも
それは、最後には、心臓自身の門のままでいるのだ。


【解釈】

この箴言の書は、このような無題の長い詩で始まっています。数ページに亘って歌われています。其の後に、2篇の有題の詩が来て、この書は終ります。

適当な長さに切って、訳し、解釈を付したいと思います。

2014年の新年早々に相応しく、最初はTalismane、護符という言葉で始まります。

「いつも、心臓は、ある一つの場所に掛かっている」とある、一つの場所とは、其の後に来る門のことです。

人間にとって、門という言葉は、実に意味深長です。誰が門の支配者(管理人)なのか、誰が門番なのか、その人は誰か、扉は門番が開けるのか、自分が開けるのか等々の設問を立てることができます。

どの連も、ゲーテという人間の叡智の言葉のように、わたしには思われます。奥深い言葉。





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