【Eichendorfの詩 53-3】Sonette(ソネット)
【原文】
3
Ein Wunderland ist oben aufgeschlagen,
Wo goldne Ströme gehen und dunkel schallen,
Gesänge durch das Rauschen tief verhallen,
Die möchten gern ein hohes Wort dir sagen.
Viel goldne Brücken sind dort kühn geschlagen,
Darueber alte Brueder sinnend wallen―
Wenn Töne wie im Fruhelingsregen fallen,
Befreite Sehnsucht will dorthin dich tragen.
Wie bald laeg unten alles Bange, Trübe,
Du strebtest lauschend, blicktest nicht mehr nieder,
Und höher winkte stets der Brüder Liebe:
Wen einmal so berührt die heil'gen Lieder,
Sein Leben taucht in die Musik der Sterne,
Ein ewig Ziehn in wunderbare Ferne!
【散文訳】
不思議の国が、上方では、打開いてあり
そこでは、黄金の(複数の)流れが、行き、そして暗く鳴り響いていて
歌という歌が、さらさらという音を通じて、深く響き、消えて行く
それらの歌は、よろこんで、高い言葉をお前に歌いたいと思っているのだ。
多くの黄金の橋が、そこでは、勇敢にも打ち掛けられていて
その向こうには、懐かしい兄弟達が、思い深く、湧き立っているている
音という音が、春の雨の中でのように、落ちて来るならば
自由になった憧憬が、そこへとお前を運んで行くと言っている。
どんなに早く、下方には、すべての不安と憂鬱があることだろうか
お前が、聞き耳を立てて努力し、もはや下を見ず
そして、より高くへと、絶えず兄弟達の愛が合図をするのだ:
一度でも、神聖な歌という歌が触れた者は
その人生は、星辰の音楽に浸り
不思議の遥か彼方の中へと、永遠に行くのだ!
【解釈と鑑賞】
第3連が、接続法I式で歌われています。
これは普通に考えれば、誰かが話をしているその内容なわけですが、それは、ここではこの詩を歌っている話者が、更に話者を重ねて、その歌われる中にまた話者が歌っているということになるでしょう。
その話中話の歌われる歌が、最後の第4連というわけです。
しかし、第4連は、現在形で書かれています。
この第4連の言葉が、黄金の橋の向こうで待っている兄弟達、同胞(はらから)の合図の言葉なのです。
第3連が接続法I式で歌われているために、第2連で言われているような、黄金の橋の向こうに渡って行くということが、何か夢のことのように思われます。
やはり、それは夢とはいえ現実なのです。それを実感するには、第3連を現在形で、第4連を接続法I式またはII式で引っくり返してみれば、わかると思います。普通には、これが普通の順序ではないでしょうか。
夢とうつつの逆転した、アイヒェンドルフの世界です。素晴らしい。
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