2012年10月17日水曜日

【Eichendorfの詩 12】Der Soldat (兵士)


【Eichendorfの詩 12】Der Soldat (兵士) 

【原文】

Der Soldat
                         1

Ist auch schmuck nicht mein Roesslein,
So ist's doch recht klug,
Trägt im Finstern zu 'nem Schloesslein
Mich rasch noch genug.

Ist das Schloss auch nicht prächtig:
Zum Garten aus der Tür
Tritt ein Mädchen doch all naechtig
Dort freundlich herfuer.

Und ist auch die Kleine
Nicht die Schönst auf der Welt,
So gibt's doch just keine,
Die mir besser gefällt.

Und spricht sie vom Freien:
So schwing ich mich auf mein Ross -
Ich bleibe im Freien,
Und sie auf dem Schloss.

                       2

Wagen musst du und flüchtig erbeuten,
Hinter uns schon durch die Nacht hör ich's schreiten,
Schwing auf mein Ross dich nur schnell
Und küss noch imi Flug mich, wildschönes Kind,
Geschwind,
Denn der Tod ist ein rascher Gesell.



【散文訳】

兵士
                         1

実際、わたしの馬が、高雅な馬であるならば
それは、なんといっても、誠に聡明な馬なのであり
闇の中を、とある城まで
わたしを、迅速に、まだ十分に運んでくれるのだ。

城が、実際、壮麗なものでないとしても
庭で、その戸から外へと
ひとりの娘が、勿論、夜毎夜通し
そこで、親しげに、こちらへと歩み来るのだ。

そして、その可愛らしい女性が
世界で一番の美女でなければ
わたしの気に入った美女は
勿論、全くいないのだ。(それ位、その女性は美しい。)

そして、その女性が、郊外について話すならば
わたしは、わたしの馬の背の上で、我が身を振り動かす
わたしは郊外に留まり
そして、女性は城に留まるのだ。

                       2

馬車を、お前は奪わねばならぬし、それもあっという間に奪わねばならぬし
わたしたちの後ろには、既に、夜中中、わたしには行進する足音が聞こえているし
わたしの馬の背中に、お前を素早く乗せるがよい
そして、まだ飛んでいる最中に、わたしに口づけをせよ、酷く美しい子供よ、速やかに
何故ならば、死神は、素早い仲間だからだ。


【解釈と鑑賞】

兵士を歌った詩です。

しかし、何か奇妙な兵士です。これは、いわゆる戦争詩、普通に戦争を歌った詩ではない。

城に美女がいるという設定は、これまでの詩でも、たびたび見て来たところです。

第3連の言い方は、一寸複雑ですが、しかし、わたしにとっての絶世の美女がそのお城にいるのです。

しかし、第2連は、一体何をいっているのでしょうか。城が壮麗ではない場合には、娘は、夜に、親しそうにしてわたしの方へと歩を進めるというのは、どういう意味なのでしょうか。

アイヒェンドルフの小説を読みますと、王子が臣下の者を引き連れて旅にでて、途上、お城に行き、そこで美女とであうわけですが、その場合にも、何かこう城の庭というものが重要な役割を演じています。何か出来事の起こる場所であり、城の中の出来事を王子が伺う場所でもあります。

この第2連から、何か物語が始まる、そのような予感がします。

第4連を読むと、この美女は、城の外へ出たいといっているように読めます。あるいは、城の外、町の城壁の外はどうなっているのですか?と訊かれて、わたしは馬に揺られて、城門の外へ出る。そうして、わたしは城門の外に留まり、美女は城に留まる。

そうして、これは別れを意味しているのかどうか、詩人は何も言葉を費やしておりません。

二つ目の詩篇は、趣を一つ目の詩篇と異にしていて、実際の兵士の行進が歌われています。これは敵方の兵士の行進です。

この詩篇を読むと、わたしという兵士は、一つ目の詩篇の美女を城から出して、あるいは美女は城を出て、わたしと一緒に、わたしの馬に飛び乗って、飛ぶ様に走っている。何故ならば、死神は、素早い、迅速な仲間だからだ。

このように読んで来ると、この詩は、美女と一緒に一瀉千里に走る馬に乗って、死から逃れるわたしという兵士を歌った歌だということになります。



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