2012年7月4日水曜日

【Eichendorfの詩3】Allgemeines Wandern (みんなの旅)


【Eichendorfの詩3】Allgemeines Wandern (みんなの旅)

【原文】

Allgemeines Wandern

Vom Grund bis zu den Gipfeln,
So weit man sehen kann,
Jetzt blueht's in allen Wipfeln,
Nun geht das Wandern an:

Die Quellen von den Klueften,
Die Ström auf grünem Plan,
Die Lerchen hoch in Lueften,
Der Dichter frisch voran.

Und die im Tal verderben
In trueber Sorgen Haft,
Er moecht sie alle werben
Zu dieser Wanderschaft.

Und von den Bergen nieder
Erschallt sein Lied ins Tal,
Und die zerstreuten Brueder
Fasst Heimweh allzumal.

Da wird die Welt so munter
Und nimmt die Reiseschuh,
Sein Liebchen mittendrunter
Die nickt ihm heimlich zu.

Und ueber Felsenwaende
Und auf dem grünen Plan
Das wirrt und jauchzt ohn Ende -
Nun geht das Wandern an!


【散文訳】

みんなの旅

大地の底から山巓までも
かくも遥々(はるばる)と見渡すことができ
さあ、これから全ての梢で花がさき
こうして、いよいよ旅が始まるのだ

大地の割れ目から湧く泉
青い平野の川の流れ
空中高く飛ぶ雲雀
詩人は新鮮なこころで前進する。

そして、谷に住む人々は腐って行く
暗い心配事に捕われて
詩人は、その人々をみな
この旅に加わるように誘いたいのだ。

そして、山々から降って来て
詩人の歌が谷の中へと響き渡る
そして、気もそぞろになった兄弟達を
同時に郷愁が捕まえるのだ。

さあ、そこで、世界はかくも陽気になり
そして、旅の靴を履き
詩人の恋人も一緒に捉えると
娘は詩人に密やかに頷(うなづ)いて合図をする。

そして、岩の壁を超えて
そして、青い平野を進み
それは、際限なく、混乱し、歓声を上げるのだ
こうして、今、旅が始まるのだ!


【解釈と鑑賞】

谷に住む人々が腐って行くという一行は、強い一行です。

腐って行くとは、滅び、死んで行くということでもあります。

これで、旅がどのようなものであるかが、逆に良く理解されます。それは、常にfrisch、新鮮であるということなのです。

前の二つの詩もそうでしたが、frisch、新鮮という形容詞が深い意味を持っています。そして、季節は春である。

そうして、新鮮であり、春であることは、そうである旅は、いつも際限なく混乱し、紛糾し、歓声を上げている。

これが、今まで見たところの、アイヒェンドルフの旅のイメージ、形象です。

そうして、題名に戻ってみると、この詩の題名は何を意味しているのでしょうか。

Allgemeinとは、共通の、公共の、一般のという意味です。
わたしは、みんなの旅と訳しましたが、恐らく詩人のこころは、旅人の旅は、自分ひとりのためなのではなく、みんなの為にも旅するものなのだというこころではないでしょうか。

どんな人が旅をしても、旅とはこのようになり、このようであるものなのだということを言っている題名なのだと思います。



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