2012年7月28日土曜日

第32週: Bleiben will ich (留まりたい) by Thomas Brasch (1945 - 2001 )



第32週: Bleiben will ich (留まりたい) by Thomas Brasch (1945 - 2001 ) 

【原文】

Bleiben will ich

Was ich habe, will ich nicht verlieren, aber
wo ich bin, will ich nicht bleiben, aber
die ich liebe, will ich nicht verlassen, aber
die ich kenne, will ich nicht mehr sehen, aber
wo ich lebe, da will ich nicht sterben, aber
wo ich sterbe, da will ich nicht hin:
Bleiben will ich, wo ich nie gewesen bin.




【散文訳】

わたしは留まりたい

わたしの持っているものを、わたしは失いたくない、しかし
わたしのいる場所に、わたしは留まりたくない、しかし
わたしの愛する人たちのもとを、わたしは去りたいとは思わない、しかし
わたしの知っている人たちを、もはや見たいとは思わない、しかし
わたしの生きている場所で、わたしは死にたくはない、しかし
わたしの死ぬ場所で、そこで、あの世へ行きたくはない
留まりたいのだ、わたしが今まで居なかった場所に


【解釈と鑑賞】

この詩人のWikipediaです。

http://de.wikipedia.org/wiki/Thomas_Brasch

父親がベルリンのソヴィエト連邦占領区域に住んで、即ちDDRに住んだために、東ドイツで育った詩人です。

この詩は、何か不機嫌なものを、大いに感じさせます。

一行の最後に、しかしという逆説の接続詞が来て、その前の一行を否定して行くという歌い方になっています。

このaber、しかし、憂鬱に響く。しかし、強い意志も感じさせます。




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