2012年7月7日土曜日

第29週: (小人) by Dieter Roth (1930 - 1998)



第29週: (小人) by Dieter Roth (1930 - 1998) 

【原文】

Auf einem kühlen Berg,
an eines Hauses Wand,
hinter einem Fenster,
bei Sonnenschein,
da ward mir schlecht,
da ward mir suess,
da hat er mich fertiggemacht,
der innere Zwerg
mit seiner Turnerei
zwischen meinen Ohren.


【散文訳】

涼しい山の上に
一軒の家の壁の傍に
窓の後ろに
太陽の光が燦々としているところで
そうすると、そこで、わたしの気分が悪くなったり
そうすると、そこで、甘い気分になったり
そうすると、そこで、彼奴がわたしをノックアウトした
内なる小人が
その体操をして
わたしの両耳の間で

【解釈と鑑賞】

この詩人のWikipediaです。

http://en.wikipedia.org/wiki/Dieter_Roth

これによれば、アイスランドの詩人です。詩人であるばかりではなく、造形作家、画家でもあります。精悍な顔つきをした作家です。

最初は商業アートの世界にいましたが、パウル•クレーの絵画に触れて、衝撃を受け、絵画と造形の道に入って来たとあります。

そ思ってこの詩を読むと、この詩も、思いなしか、パウル•クレーの絵に似ています。

パウル•クレーの絵の持つ構成要素とその配置を、同様にこの詩人の言葉に於いて思わせるものがあります。

内なる小人とは、この詩人のもうひとりのわたしなのでしょう。

人間ではなく、小人であるところに、この詩人の創作の秘密が隠れているのだと思います。

その衝動を小人と言った。

わたしは、この詩を読んで、トーマス•マンの「Der kleine Friedemann」(小男フリーデマン)を思い出しました。



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