2012年7月14日土曜日

【西東詩集5】Talismane(タリスマンという護符)


【西東詩集5】Talismane(タリスマンという護符)

【原文】

Talismane

Gottes ist der Orient!
Gottes ist der Okzident!
Nord-und südliches Gelände
Ruht im Frieden seiner Hände.
       *
Er, der einzige Gerechte,
Will fuer jedermann das Rechte.
Sei, von seinen hundert Namen,
Dieser hoch gelobet! Amen.
       *
Mich verwirren will as Irren;
Doch du weisst mich zu entwirren.
Wenn ich handle, wenn ich dichte,
Gib du meinem Weg die Richte.
       *
Ob ich Irdisches denk und sinne,
Das gereicht zu höherem Gewinne.
Mit dem Staube nicht der Geist zerstoben,
Dringet, in sich selbst gedrängt, nach oben.
       *
Im Atemholen sind zweierlei Gnaden:
Die Luft einziehen, sich ihrer entladen.
Jenes bedrängt, dieses erfrischt;
So wunderbar ist das Leben gemischt.
Du danke Gott wenn er dich presst,
Und dank ihm wenn er dich wieder entlässt.


【散文訳】

タリスマンという護符

東の世界は神のものだ!
西の世界は神のものだ!
北と南の土地は
その両手の平安の中に憩っている。
       *
彼、唯一の正義なるものは
誰のためにも正義を欲する。
その百の名前によって
このものは、高く尊崇されてあれ!アーメン。
       *
道に迷うことが、わたしを混乱させようとする
しかし、お前はわたしを混乱から遠ざけることができる
わたしが商いをし、わたしが詩作をするときには
どうか我が道に真っ直ぐに正しい方向を与え賜へ
       *
わたしが地上のことについて考え、そして思うかどうか
それが、より高い利益となる。
塵となって、精神は雲散霧消するものではない
自己の中へと駆り立てられて、上の方へと迫るがよい
       *
息を吸うことの中には、二色(ふたいろ)の恩恵がある
空気を吸引すること、それを吐き出して軽くなること
前者は圧迫し、後者は新鮮にする
かくも不思議に、生は混交している。
神がお前を押して圧迫するときには、神に感謝せよ
そして、お前を再び放つときには、神に感謝せよ。


【解釈】

Freisinn、自由の感覚、自由の志操を歌ったあとで、ゲーテは再びタリスマンと呼ばれる護符の題の詩を置きます。

この詩は、*印を間においた5つの連、あるいは5つの詩から構成されています。この*がそれぞれの連を分ち、また繋げるという緩やかな連関の役目を果たしています。

読者は自由な組み合わせで読んでよいということでしょう。

註釈によれば、第1連と第3連は、コーランの詩句であるとのことです。

詩の題からいって、タリスマンという護符は、この5つの連のような生活を保証してくれるものだということなのでしょう。

タリスマンは、西東詩集の最初の詩、Hegire(ヘジラ)に歌われている通りの、単純簡素な生活を与えてくれる。

Googleの画像検索でtalismanと検索すると、古典的な護符の他に、今流行の電子的なゲームの世界の護符も数多く現れます。

時代は異なれ、世代も異なれ、心底において、人間は同じものを求めるものと見えます。

















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