2015年3月21日土曜日

【Eichendorfの詩109】Die Freunde5-3(友達5の3)


【Eichendorfの詩109】Die Freunde5-3(友達5の3)  
  



【原文】

In Stein gehauen, zwei Löwen stehen draussen,
Bewachen ewig stumm die heil'ge Pforte.
Wer sich, die Brust voll Weltlust, naht dem Orte,
Den füllt ihr steinern Blicken bald mit Grausen.

Dir wächst dein Herz noch bei der Wälder Sausen,
Dich rühren noch die wilden Riesenworte,
Nur Gott vertrauend, dem höchsten Schirm und Horte−
So magst du bei den alten Wundern hausen.

Ob auch die andern deines Lieds nicht achten,
Der Heldenlust und zarten Liebesblüte,
Gedanken treulos wechselnd mit der Mode:

So felsenfester sei dein grosses Trachten,
Hau klingend Luft dir, ritterlich Gemüte!



【散文訳】

石の中に切り込まれて、二頭の獅子が外に立つている
永遠に黙つて、神聖なる門を見張つてゐる
胸を現世の快楽で一杯にして、その場所に近づく者がゐれば
その者を、二頭の石の視線が、直ぐ様ぞつとする恐怖で満たすのだ

お前の心臓は、まだ森といふ森の轟々と鳴る所で、成長し
お前を、まだ、野生の巨きな言葉たちが感動させてゐて
神だけを信頼しながら、最高の庇護と財宝のもとで(お前の心臓は成長している)ー
このやうに、お前は古い、懐かしい数々の奇蹟の元に棲んでゐる。

他の者たちも、お前の歌に注意を払はないだらうか
英雄の愉楽と柔和な愛の精華には注意を払はないだらうか
といふ考へが、慰めも無く世俗の流行と交代しながら。即ち、

かくも巌のやうにより硬くあれ、お前の偉大な志は
音響かせて、お前の空気を切り込むのだ、騎士の心情よ!
(といふ考えが)



【解釈と鑑賞】



連詩5篇からなる詩『友達』の第5の3の詩です。

石の中に切り込まれて、二頭の獅子が外に立つている
永遠に黙つて、神聖なる門を見張つてゐる

とある最初の出だしの門の中の向かうに、お前と呼ばれる詩人はゐるのです。

そこは、第2連にあるように、

古い、懐かしい数々の奇蹟の元

なのです。

この永遠の場所が、どんなに素晴らしい場所かが、第2連で歌われてをります。

この森のある、森の中の世界は、いつもの変わらぬアイヒェンドルフの世界です。

この世界の中へは、世俗の快楽をしか知らぬ者は入ることができません。二頭の獅子の視線に当たると、怖気付いてしまふからです。

さて、しかし、第3連と第4連を読みますと、この詩人は、その森の世界の門の扉を開けて、世俗の世界へと脚を踏み入れるのではないかと予感されます。

世俗の世界に棲む人間たちの心がわからないので、あれこれを思つてみるのです。さうして、最後に、

かくも巌のやうにより硬くあれ、お前の偉大な志は
音響かせて、お前の空気を切り込むのだ、騎士の心情よ!

と、その出発の決心と覚悟が歌われてをります。











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