【Eichendorfの詩106】Die Freunde4(友達4)
【原文】
Schalkhafte Augen reizend aufgeschlagen,
Die Brust empört, die Wünsche zu verschweigen,
Sieht man den leichten Zelter dich besteigen,
Nach Lust und Scherzen durch den Lenz zu jagen.
Zu jung, des Lebens Ernste zu entsagen -
Kann ich nicht länger spielen nun und schweigen,
Wer Herrlichs fühlt, der muß sich herrlich zeigen,
Mein Ruhen ist ewig frisches Wagen.
Lass mich, solang noch trunken unsre Augen,
Ein'n blühnden Kranz aus den vergangenen Stunden
Dir heiter um die weiße Stirne winden;
Frag nicht dann, was mich deinem Arm entwunden,
Drück fest den Kranz nur in die muntern Augen,
Mein Haupt will auch und soll den seinen finden!
【散文訳】
悪戯(いたず)っぽい目を、魅力的に開けて
望みについては沈黙するほどに、胸は憤激して
軽い(側対歩で歩む婦人用の)馬に、お前が乗馬するのをみる
春の中を通って、陽気と冗談を狩るために。
生の持つ真剣さを捨てるには、余りにも若すぎるー
わたしは、これ以上長く、遊ぶことは今やできず、そして沈黙することができないのだろうか?
素晴らしいものを感じる者は、素晴らしく自分を示さねばならない
わたしの休息は、永遠に新鮮な馬車である。
わたしたちの眼が、未だに酩酊している間は、
過ぎ去った数々の時間の中から生まれた花咲く一個の王冠を、
明朗に、お前の白い額に巻かせてくれ
そして、お前の腕(かいな)からわたしをもぎとったものが何かを問うな
その王冠を、しっかりと、ただ陽気な眼の中に押し入れよ
わたしの頭(こうべ)もまたそうしたいと思い、そして、その頭の王冠を見つけることになるのだ!
【解釈と鑑賞】
連詩5篇からなる詩『友達』の第4の詩です。
後手に廻りましたが、この連作の詩のそれぞれには、誰それに宛てられたということが、その冒頭に示されています。
最初の詩には、特定の宛名がありませんので、この詩は、その後に続く4つの詩の意味を歌った詩だということになります。
ふたつめと三つ目の詩は、An L...と、Lで始まる友人に宛てられたものです。四つ目の今回の詩は、An Fraeulein...と書かれていて、詩の第二連の一行のこの書き出しを併せて考えますと、十代の少女だと思われます。
その愛らしい姿を、詩人は、乗馬をしているときに目にしたのでしょう。そして、季節は春です。
第2連の最後の行の、
わたしの休息は、永遠に新鮮な馬車である。
とは、言い換えれば、いつも新鮮に進むこと、そのような者であることが、わたしの休息であり、安らぎなのだ、という意味です。
この一行は、その前にある、この女性が馬に乗っていることから言われたことです。
最後の連には、
そして、お前の腕(かいな)からわたしをもぎとったものが何かを問うな
とありますから、愛し合ってから実際に別れたのか、しかしそうではなく、この少女と距離をおいて、もはや自分はそのような少女と一緒にいるような人間ではないと思って、そのように歌ったのか、これは解釈が分かれるところでしょう。
しかし、最後の連の最後の一行がありますので、詩人のこころは、この少女から離れることはないのです。
以上は、少女と思って解釈しましたが、しかし、20代の初めの女性と思っても、よいと思います。
夢が現であり、うつつが夢であるような詩です。アイヒェンドルフは、そのように生きたのでしょう。
そうして、最初の詩に戻って、この詩を読むと、アイヒェンドルフの、この女性に対するこころが一層よく判ります。以下に引用します。最初の連が、今回の詩の最初の連に照応していることがお分かりでしょう。
誰でも、大波の上で眠ってゐる者がゐれば、その者は
一人の、優しく揺り籠に揺られている子供なのであり
生の深さを知らず
甘く夢見る余りに、盲目である。
しかし、数々の嵐が、この者を捕(とら)まへる
野生の踊りと祝宴の場で
高く、暗い数々の通りで
間違つた世界が、この者を唆(そそのか)す:
この者は、勇敢に活動することを学ぶ
夜と崖を通り抜けて
この者は、操縦桿を握るのだ
確実な、真剣なこころを以つて
この者は、本物の芯が備わってゐて
陽気と苦痛で試される
この者は、神と星々を信仰する
この者こそ、わたしの船の船乗りならむ!
0 件のコメント:
コメントを投稿