【西東詩集104】 Schenke(酌人)
【原文】
Schenke
HEUTE hast du gut gegessen,
Doch du hast noch mehr getrunken;
Was hast du bei dem Mahl vergessen
Ist in diesen Napf gesunken.
Sieh, das nennen wir ein Schweinchen,
Wie’s dem satten Gast gelüstet;
Dieses bring ich meinem Schwane
Der sich auf den Wellen brüstet.
Doch vom Singschwan will man wissen
Dass er sich zu Grabe läutet;
Lass mich jedes Lied vermissen,
wenn es auf dein Ende deutet.
【散文訳】
酌人
今日は、旦那は、よく召し上がりになりましたねえ
それなのに、食べるよりもまだもっとお飲みになりましたよ
食事のときに旦那が忘れちまったことは
この小鉢の中に沈んじまってますよ。
ほら、いいですか、これを、われら酌人は子豚ちゃんと呼んでいるんです
その子豚ちゃんが、満腹した客人にまだ喰いたい喰いたいといっている通りでね
こいつを、おいらは、波の上で威張ってゐる
おいらの白鳥のところに持って行くんでさあ。
ところがどっこい、世間が、歌う白鳥のことで、知りたいのは
こいつが、弔鐘を鳴らしているってえことなんですよ
どの歌も願い下げだね
もしその歌が、旦那の 臨終を暗示しているのであればね。
【解釈と鑑賞】
第1連の小鉢と訳した容器には、何か吐いたり、吐き出したりしたものを、そこに吐き出すのではないかと思います。
第2連の、
波の上で威張っている白鳥
というのは、白鳥の歌という言われがあるように、最後の死の前の歌という含意があるのでしょう。それ故に、その次に弔鐘を鳴らすことを世間は期待していると続くのでしょう。
この白鳥と子豚の組み合わせは、食い過ぎて死なないようにというのが、一番単純な解釈でありませう。
かうしてみますと、酌人という若者も、やはり文藝の素養があって、そのことを仕事の上で要求されていたのかも知れません。
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