2015年1月12日月曜日

【Eichendorfの詩99】Trost(慰め)


【Eichendorfの詩99】Trost(慰め) 
  

【原文】

Es haben viel Dichter gesungen
Im schönen deutschen Land,
Nun sind ihre Lieder verklungen,
Die Sänger ruhen im Sand.

Aber solange noch kreisen
Die Stern um die Erde rund,
Tun Herzen in neuen Weisen
Die alte Schönheit kund.

Im Walde da liegt verfallen
Der alten Helden Haus,
Doch aus den Toren und Hallen
Bricht jährlich der Frühling aus.

Und wo immer müde Fechter
Sinken im mutigen Strauss,
Es kommen frische Geschlechter
Und fechten es ehrlich aus.


【散文訳】

多くの詩人たちが歌を歌って来た
美しい、ドイツの国で
さて、かうして、今になってみると、詩人たちの歌の響きは止み
歌い手たちは、砂の中に憩ふてゐる。

しかし、依然として、
星々が、地球の周囲を巡つている限り
心臓は、新しいやり方で
古い、懐かしい美を告げ知らせる。

森の中、そこに朽ちてゐるのは
古い英雄たちの家
しかし、門扉という門扉、回廊という回廊からは
毎年、春が芽を出す。

そして、いつも剣士が疲れて
勇敢な死闘の中に沈む場所で
新鮮な同じ種族の者たちがやって来て
そして、誠実に戦い抜く。


【解釈と鑑賞】

このやうな詩を読みますと、現実を荘厳することが、詩人の使命であり、その仕事だといふことを、やはり思ひます。

どのやうな詩人も、修辞を巧みにして、即ち譬喩(ひゆ)を以って、このやうに歌う。

どのやうな出来事を見て、アイヒェンドルフが此の詩を書いたのかはわかりませんが、現実は、ここに書いてあることの裏返しであつたのでせう。

最後の連の、剣士が沈むとある此の沈むとは、そのまま戦いに敗れて身が沈むといふ形象であり、従い没するといふ意味であり、死ぬといふことを言い表しております。

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