2015年1月12日月曜日

【西東詩集102】 SCHENKE spricht(酌人が語る)

【西東詩集102】 SCHENKE spricht(酌人が語る)


【原文】

DU, MIT deinen braunen Locken,
Geh mir weg, verschmitzte Dirne!
Schenk ich meinem Herrn zu Danke,
Nun so küsst er mir die Stirne.

Aber du, ich wollte wetten,
Bist mir nicht damit zufrieden,
Deine Wangen, deine Brüste
Werden meinen Freund ermüden.

Glaubst du wohl mich zu betriegen
Dass du jetzt verschämt entweichest?
Auf der Schwelle will ich liegen
Und erwachen wenn du schleichest.

SIE haben wegen der Trunkenheit
Vielfältig uns verklagt,
Und haben von unsrer Trunkenheit
Lange nicht genug gesagt.
Gewöhnlich der Betrunkenheit
Erliegt man bis es tagt;
Doch hat mich meine Betrunkenheit
In der Nacht umher gejagt.
Es ist die Liebestrunkenheit,
Die mich erbärmlich plagt,
Von Tag zu Nacht, von Nacht zu Tag
In meinem Herzen zagt.
Dem Herzen, das in Trunkenheit
Der Lieder schwillt und ragt
Dass keine nüchterne Trunkenheit
Sich gleichzuheben wagt.
Lieb-, Lied- und Weines Trunkenheit,
Ob nachtet oder tagt,
Die göttlichste Betrunkenheit,
Die mich entzückt und plagt.

DU KLEINER Schelm du!
Dass ich mir bewusst sei
Darauf kommt es überall an.
Und so erfreu ich mich
Auch deiner Gegenwart,
Du allerliebster,
Obgleich betrunken.

WAS in der Schenke waren heute
Am frühsten Morgen für Tumulte!
Der Wirt und Mädchen! Fackeln, Leute!
Was gabs für Händel, für Insulte!
Die Flöte klang, die Trommel scholl!
Es war ein wüstes Wesen -
Doch bin ich, Lust und Liebe voll,
Auch selbst dabei gewesen.

Dass ich von Sitte nichts gelernt
Darüber tadelt mich ein jeder;
Doch bleib’ ich weiblich weit entfernt
Vom Streit der Schulen und Katheder.


【散文訳】

お前、お前の茶色の巻き毛をしたお前
俺の元から去れ、狡賢(ずるがしこ)い女め!
俺が、わが主人(あるじ)に、感謝のために、酒を注(つ)ぐのだ
さて、今や、わが主人は、俺の額に口付けするのだ。

しかし、いいか、よく聞けよ、俺は賭けてもいいが
お前は、俺にはちっとも満足なものじゃない
お前の頬、お前のふたつの胸は
俺の友達(主人)を疲れさせること必定だ。

お前はきっと、俺を騙したいと思っているんだろう?
お前は、さて今から、恥ずかしく思って、逃げようと、そう思っているんだろう?
俺は、敷居の上に寝転んでいて
そして、お前が足音を忍ばせると、目覚めてやるのさ。

客人たちは、酩酊の故に
様々に俺たちを告発した
しかし、俺たちの酩酊については
長いこと、語っても、不十分にしか語らなかった。
普通は、酩酊には
朝が来るまでは逆らえないものだ
しかし、俺の酩酊と来たら
夜中でも、俺をあっちにもこっちにも狩り立てた。
俺を、哀れにも苦しめるのは
愛の酩酊なのだ
昼も夜も、夜も昼も
その酩酊は、俺の心臓の中で、臆病にしているのだ。
数々歌われる歌の酩酊の中で膨れ上がり、聳(そび)え立つ、その心臓に於いては
だから、どんな素面(しらふ)の(世俗の)酩酊も
敢えて対抗しようなどとは思わないのだ。
愛の、歌の、酒の酩酊は
夜が来ようと、朝が来ようと
最も神々しい陶酔であり
俺を魅了し、苦しめるのだ。

お前、いたずら坊主よ、やい!
俺は知っているということ
どこにいても、これが大事なのだ。
そして、俺は喜んでいるのだ
実際、お前が今目の前にいるということを
お前、一番可愛い奴よ
酔っ払ってしまっていても。

酒場で、今日いた者たちは何なのだ
一番早い朝にいて、それも陶酔のために!
酒場の亭主に娘達!松明(たまつ)!人間たち!
喧嘩のために、侮辱のために!
横笛という横笛が鳴り響いた、太鼓が鳴った!
それは、荒涼たる物事だった
しかし、俺は、陽気と愛で一杯になって
自分もその場にいたのだ。

俺が、礼儀作法や道徳について学ばなかったということ
これについては、誰もが俺を非難する
しかし、俺は、女々しいことに、遥かに遠いままなのさ
学校と講壇の戦いからはね。


【解釈と鑑賞】
最後から3連目は、これは、酌童が自分が酌する主人になって、その役を演じて、その口ぶりも真似ているのでしょう。

これ以前の、この巻の主題のひとつである酩酊、陶酔という、酒を飲んでのこの人間の状態を、酌童の目から歌った詩ということになります。

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