Schlaf krankes Kind(眠れよ、病気の子供よ):第42週 by Yvan Goll(1851 ~1950)
【原文】
Schlaf krankes Kind:
Ich will die Drehung der Erde aufhalten
Des Mondes Zahnräder oelen
Die rostig sind von deinen Tränen
Ich will den asthmatischen Wind erwürgen
Der ganz Europa aufweckt …
Damit du schlafen kannst
Will ich die Trambahnschienen wattieren
Den Regen in Schnee verwandeln
Und jeden Morgen die Amseln morden
Deren Gesang dein Rehherz ritzen könnte:
Damit du schlafen kannst
【散文訳】
眠れよ、病気の子供よ
わたしは、地球の廻転を止めたい
月の歯車から油を絞りとりたい
お前の涙で赤錆たその歯車から
わたしは、喘息の風の首を絞めて殺したい
全欧州を起こし、目覚めさせるその風の首を
そうすれば、お前は眠ることが出来る
わたしは、路面電車の軌道に綿を詰めたい
雨を雪に変形させたい
そして、毎朝、黒歌鳥を殺したい
その歌が、お前の鹿の心臓に裂け目をつくるかも知れないその黒歌鳥を
そうすれば、お前は眠ることができる
【解釈と鑑賞】
この詩人のことを書いたウエッブ頁です。
アルザス生まれのフランスの詩人です。しかし、この土地の歴史から、ドイツ語も理解し、ドイツ語とフランス語の両方の言語で詩を書いた詩人です。
ドイツの表現主義とフランスのシュールレアリスムと親密な関係があると、上のWikipediaには書かれています。
「月の歯車」とは、時の運行であり、その前の行の「地球の廻転を止めたい」からわかるように、その時間を止めたいと、この詩人は考えている。
従い、「月の歯車から油を絞りとりたい」とは、時間の中にある物事の本質を抽出して、言葉にしたいということなのです。
各行の末尾はみな、殺したいという言葉で終っていますが、しかし、穏やかな詩であると思います。品のある詩、抑制と節度のある詩です。この詩人の人柄が偲ばれます。
黒歌鳥(くろうたどり)という、ドイツ語でAmselという名前の鳥は、このような鳥です。英語では、blackbird。
この鳥の鳴き声は、YouTubeで聞く事ができます。
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