【西東詩集89】 Hatem
【原文】
Hatem
Ach Suleika, soll ichs sagen?
Statt zu loben moecht ich klagen!
Sängest sonst nur meine Lieder,
Immer neu und immer wieder.
Sollte wohl auch diese loben,
Doch sie sind nur eingeschoben;
Nicht von Hafis, nicht Nisami,
Nicht Saadi, nicht von Dschami.
Kenn ich doch der Väter menge,
Sil’ um Silbe, Klang um Klaenge,
Im Gedaechtnis unverloren;
Diese da sind neu geboren.
Gestern wurden sie gedichtet.
Sag’ ! hast du dich neu verpflichtet?
Hauchest du so froh-verwegen
Fremden Atem mir entgegen,
Der dich eben so belebet,
Eben so in Liebe schwebet,
Lockend, ladend zum Vereine
So harmonisch als der meine?
【散文訳】
ハーテム
ああ、ズーライカよ、わたしにそれを言えというのか?
誉め称える代わりに、わたしは嘆きたいのだ!
さもなければ、お前は、ただわたしの歌のみを歌うだろうから
いつも新しく、何度も何度も
もしこれらのわたしの歌が誉め称える歌であるというのであれば
それらの歌は、合間にこっそりとただ挿入されただけなのだ
ハーフィスによってではなく、ニサミによってではなく、
サーディによってではなく、ヂャーミーによってではなく。
わたしは、しかし、父祖達の一群を知っている
ひとつひとつの音節を、ひとつひとつの響きを
記憶の中で喪われることなく
其処で、これらのわたしの音節や響きは、新しく生まれたのだ。
昨日、これらの音節や響きは詩作された。
言ってくれ!お前は、わたしに新しく義務を課したのか?
お前は、かくも歓びに満ち向こう見ずに
わたしに向って、今迄にない、わたしの知らない息を吹きかけて来るのか?
その息は、お前をまさにそのように活き活きとさせ
まさにそのように、愛の中に浮かび
誘惑しながら、一つになるように誘いながら
わたしの息と同じように、そのように調和しながら?
【解釈と鑑賞】
第1連の
ああ、ズーライカよ、わたしにそれを言えというのか?
という言葉は、前の詩のSuleikaの言葉、
あなたが、静かに、ご自分の中へと還っていらした
何が窮屈にしたのでしょう?そして、何が圧迫し、邪魔したのでしょうか?
という行を承けている。
第3連の父祖達の一群とは、第2連で歌われたハーフィスであり、ニサミであり、サーディであれい、ヂャーミーのことです。
第2連で否定的に、これらの詩人の名前を列挙して、そうしてこれらの詩人たちによってではなく、わたし、ゲーテ、ハーテムによって密かに差し入れられたという表現に、詩人としてのゲーテの自負もあり、またこれらの詩人に対する敬意の表明を見る事ができます。これは、詩人としての本望でありましょう。
第4連、第5連は、詩作と性愛を歌う、艶冶な感じの歌になっております。
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