2014年10月26日日曜日

【Eichendorfの詩89】Kriegslied(戦争の歌)


Eichendorfの詩89Kriegslied戦争の歌)  
  


【原文】

Nicht mehr in Waldesschauern
An jäher Kluefte Rand,
Wo dunkle Tannen trauern,
Siehst du die Brut mehr lauern
Auf wüster Felsenwand.

Die Greifen nicht mehr fliegen,
Lindwurm auf heissem Sand
Nicht  mehr mit Löwen kriegen,
Auf ihren Bäuchen liegen
Die Drachen im platten Land.

Doch wo das Leben schimmelt,
So weit man reisen kann,
Von Wuermern es noch wimmelt,
Und was auf Erden himmelt,
Sie hauchen’s giftig an. 

Noch halten sie in Schlingen
Die wunderschöne Braut,
Bei Nacht hört man ihr Singen
die stille Luft durchdringen
Mit tiefem Klagelaut.

Das ist die Brut der Natter,
Die immer neu entstand:
Philister und ihre Gevatter,
Die machen gross Geschnatter
Im deutschen Vaterland.

Sank Georg, du blanker Streiter,
Leg dein Lanze ein,
Und wo ein wackrer Reiter,
Dem noch das Herz wird weiter,
Der steche frisch mit drein!



【散文訳】

もはやこれ以上は、森のにわか雨の中で
険しく切り立った峡谷の縁で
暗い大森林が嘆き悲しむその場所では
お前は、生まれた毒蛇の子が潜み隠れているのをみることはない
荒涼たる岩壁の上に。

グリフィンは、もはや飛ぶことはない
リントヴルムを、熱い砂の上で
もはや、獅子と共に捕えることはない
グリフィンの腹の上に、龍たちが横たわる
平地の国で。

しかし、生命が輝いている場所では
かくも遠くへと旅することのできる限りは
虫けらどもが、まだうじゃうじゃしていて
そして、地上では、空中を飛び廻るものに
虫けらどもは、毒の息を掛ける。

おまけに、虫けらどもは
美しい花嫁を掻き抱いている
夜には、虫けらどもの歌う声が
静かな空気を突き通すのを聞く
深い嘆きの音を立てながら

これが、毒蛇の子供だ
いつも新しく生まれた来たその子供だ
俗物とその教父どもが
こいつらが、大きな声でがあがあと鳴いてゐる
ドイツ人の祖国の中で

聖ゲオルグよ、お前、輝ける戦士よ
お前の槍を脇に抱えよ
そして、勇敢なる騎士の
まだ心臓が膨らむ場所で
その騎士よ、新鮮に、(聖ゲオルグと)一緒に刺し込むのだ!



【解釈と鑑賞】

グリフィンという想像上の動物は、このような姿をしております。



また、その説明には、Wikipediaがあります。:


リントヴルムという生物は、ゲルマン民族の伝説上の龍で、このような姿をしております。クラーゲンフルト市のリントヴルム像が有名のようです。その写真です。




このゲルマン民族の龍についてのWikipediaがあります。:


これによれば、

1200年代からの別のドイツの物語。クラーゲンフルトの近くに住んでいたリントヴルムが川に沿って旅行者を襲い続けた。そして、河の主であるドラゴンの存在は脅威であった。 そこで、懸賞をつけたので街は大騒ぎとなり、何人かの青年が雄牛をチェーンに結んだと言って、リントヴルムが雄牛を飲み込んだ時に魚のように釣って殺したという。

とあります。

また、聖ゲオルゲという聖人は、このようなひとです。




この聖人についてのWikipediaがあります。:



この詩は、世俗の俗物どもと、その俗物どもの教父、名付け親にすらなっているその通俗的な擁護者に対する痛罵であり、悪罵であり、猛烈な批判です。

俗を批判するに、グリフィンやリントヴルムや龍やを持って来たところに、アイヒェンドルフの激しさがあります。何故ならば、これらの生き物は、この世のものではなく、想像の世界の、しかし確たる、生き物であるからです。










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